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るれ
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「それが嬉しくてさ、そこからずっと一緒にいる。なんて•••ごめんね、急な自分語り。」
鬼塚君は懐かしむように目を細める。
「ただ渡辺と違って、未だに全然ゲームもアニメにも興味ないから、ここに来ても眺めるだけなんだけどね。」
そう言って空になったカップをそっと鬼塚君が回収した。
「あ、私が片付けるよ。」
「いいよ、捨ててくるだけだし。白石さんは座ってて。」
颯爽と鬼塚君はゴミを捨てに行った。
(黒田君の知らない一面だ。)
「お姉さん、ちょっと道を教えてよ。」
「え?」
知らない声がして振り向くと、見慣れない人がいた。
(近い近い近い。)
「ここまで行きたいんだけどさ。」
「は、はぁ•••。」
グイグイ距離を詰められ、その度に後退る。
(神様!神様助けて!お願い!)
「あ、ここね!ありがとう、席確保してくれて!」
聞きなれた声が聞した。そこには日暮さんと旦那さんが立っていた。
「ちょっと、迷子って。代わりに送ってあげたら?」
「え、俺?兄ちゃんさ、地図アプリ見たらいいやん。」
旦那さんの鍛え上げられた体格と格闘ゲームのコスプレ姿も相まって、声をかけてきた人はどこかに行った。
「白石さん、大丈夫だった?あとあの人が一緒にでかけるって言ってた人?」
日暮さんが指を指す方を見ると鬼塚君は女の子に囲まれ、身動きがとれずにいた。
「あ、えと、その人のお友達です。」
「それならちょっと助けてあげよ。」
「えー、もう大丈夫だって。男の子だから強く生きないとー。」
普段の物腰柔らかい日暮さんからは想像出来ない強気な姿勢とさっきとは違う弱気な旦那さんの姿に驚きを隠せない。
「ゆいちゃんが言うなら、今回だけね。」
「ありがとう。」
そう言って渋々旦那さんは鬼塚君の元に行く。
「それにしても驚きました。日暮さんもいるなんて。」
「私達、お互いに共通のゲームで知り合ったし、旦那がレイヤーさんなんだ。で、どの子?どの子が白石さんの彼氏候補?」
日暮さんがキョロキョロと辺りを見ている。
「あの人が一緒にでかける人なんです。」
黒田君を指すと、日暮さんが驚く。
「セラウス君!?え、本当に!?」
そこに疲れた顔をした旦那さんと苦笑いの鬼塚君が帰ってきた。
「もうやだ•••、女の子怖いお•••。」
「すみません、助かりました。白石さんもごめんね。」
旦那さんの頭をなでてあげながら日暮さんが言う。
「セラウス君は女の子のレイヤーほぼ狙ってるみたいね。毎回断ってるみたいだけど。」
そう言って黒田君の方を見ると、確かに同じ作品の女性レイヤーさんに囲まれていた。
(そっか、私じゃなくても話せるんだよね。)
少し胸が苦しくなる。
そんな時、黒田君と目が合う。不意にニコッと笑いかけてくる姿にドキドキが止まらない。
視線が私の後ろに移動すると黒田君が声を張る。
「ベイル!久しいな!そっちに向かう!」
そして日暮さんの旦那さんに向け手を振るとこちらに移動してきた。
「鬼塚、ありがとう。我が半身を守ってもらい。借りが出来たな。」
「苦しゅうない、って言いたいとこだけど、俺っていうかベイルさん達かな。」
「奥方も久しぶりにお目にかかります。」
普段と違って饒舌な黒田君に驚いた。
(めっちゃ喋るやん。)
「すまないが、しばらく我が半身と2人になってもいいかな。」
その一言に3人はなにかピンときた様子で私達を送り出してくれた。
「すみません、白石さん。大丈夫でしたか?」
「うん。初めて来たから、ちょっとビックリしてる。」
「それにしても、ベイルさん夫婦とお知り合いだったとは。」
「ふふふ、本当にね。」
なんだか不思議な縁もあるものだなと笑ってしまう。
「•••あの、気持ち悪い、ですか?」
「え?」
改まった言葉はさっきの勢いとは違い、黒田君は下を向く。
「白石さんは、あんまりこういうの馴染みないかなって•••。すみません、ちょっと、あの•••。」
黒田君の手が震えているのがわかる。
きっと鬼塚君と出会う前のことが影響しているのだろう。
「すみません、自分から言ったのに、でも、少しだけ、白石さんと話したくて、2人に、なりたくて•••。でも、馴染みないなら、やっぱり」
自分の中でぐちゃぐちゃになっている気持ちを整理するかのように話している。
「黒田君、かっこよかったよ!」
「え。」
「駅で助けてくれた時も、今日のセラウスもかっこいいよ!」
黒田君の顔が赤くなる。
「だから大丈夫。それにこんな世界もあるなんてビックリしてるけど、凄く楽しいよ。」
「白石さん!」
黒田君が手を握る。
「あ、あの、え、あの•••次は、2人、で•••会いませんか?」
振り絞る声は少し震えている。
それでもまっすぐ私を見る目を反らすことはできなかった。
「•••はい。」
「本当、ですか?•••やった。」
小声で呟く黒田君の姿にくすぐったい気持ちになる。
「セラウス!久しぶり!」
女性の声がする。声の方を向くとフワフワなスカートのメイド服を着ている女の子が立っていた。
「あぁ、リナか。」
黒田君の空気が変わった。
「ねぇ、リナも一緒に行きたいな。」
「断る。我が半身はもう見つかったからな。」
そう言ってセラウスになりきる黒田君が私を抱き寄せた。
(黒田君!?え、ちょっと、黒田君!?神様、どういう!? )
私の動揺と同じようにリナと呼ばれる彼女にも動揺が走る。
「え、なんの冗談?」
「冗談ではない。」
あからさまに睨まれているのはわかる。
「セラウスの事、なにも知らない癖に。」
「そんな小さな事に拘らない。貴様こそ早く運命の半身を探すんだな。」
「むーかーつーくー!」
リナが地団駄を踏むと私を指差す。
「許さない!セラウスの事は私が一番理解してるんだから!」
「は、はぁ•••。」
「白石さん、相手にしなくていいですから。」
「白石ね、覚えたから!」
そう言ってリナはどこかに行ってしまった。
「•••すみません。」
黒田君がシュンとしてしまった。
「大丈夫だよ。日暮さんに黒田君は女の子にモテるって聞いてるから。」
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