テラーノベル
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「この後、2人で飲み直しません?」
収録後の打ち上げ。翌日が仕事のメンバーもあって、早々のお開きになった。
この日を待っていた俺は、おそらくまだ飲み足りないであろう舘さんに耳打ちした。
「いいねぇ。ちょうどまだ飲みたくて、目黒を誘おうかなって思ってた」
舘さんはにこりと笑って、快い返事をくれた。
久しぶりに2人きりになれる…!
明日は俺も舘さんもオフだ。
何ヶ月ぶりかにお互いのスケジュールが合った。
本当はすぐにでも抱き潰したいところだけど、久しぶりだし、居酒屋デートを楽しんで、その後俺の家でゆっくりと過ごすのがいいかな。
そんなことを考えていたら、口元がだらしなく緩みそうになる。
ぐっと堪え、笑顔を取り繕った。
「じゃあ、店、予約しておきます」
「よろしく」
心做しか、舘さんの顔がほころぶのを俺は見逃さなかった。
「2人で会うの、久しぶりだね」
「ほんっとに!長かった…。俺もう少しで泣きそうでしたよ」
「大げさだね笑」
メンバーと別れて、行きつけの店に到着すると、まずは改めて…と、生ビールを二人で呷った。
季節外れの暑さと、移動中に少し汗ばんだせいか、冷えたビールが美味い。
ほぼ同時にジョッキが空になる。
この息が合った感じがまた、たまらなく嬉しい。
「目黒くん、さすがー!笑」
「“目黒くん”て笑」
タイミングよく運ばれてくる料理に舌鼓を打ちながら、他愛もない話をする。
暫く会えてなかった分、話したいこともたくさんあった。
聞き上手な舘さんに、ほとんど俺が喋ってばかりだけど…
相変わらず絶妙な間合いの語り口調で、多くは語らないけど彼の“ワールド”へ引き込まれてしまう。
舘さんの少し低く艶のある声は、心地よく耳の器官を通って頭の中心に滑り込んだ。
コージが舘さんのことを“共演者キラー”と言っていたのがよくわかる。
人の良さももちろんだけど、相手の話を聞くのが本当に上手い。
相手が話している間は、絶対に口を挟まない。
必ず向き合って腕を組んだりせず、胸を開いた態勢で聞いてくれる。
その聞く姿勢と、相手を否定しない言葉選びが、話す側にとってどんなに心地良いか…
本人は無意識にやっているんだろうけど、無意識だからこそすごいなと思う。
事務所の後輩や先輩だけでなく、多方面から誘いが来ているのは、俺も承知していた。
―――でも、正直ちょっと…いや、かなり心穏やかじゃない。
「…誰にも、取られたくないんだけどなぁ」
「え?ごめん、聞こえなかった。何を取られたくないって?」
「舘さんのこと♡」
「…ちょっと何言ってるかわからないな 笑」
「笑サンドさんじゃん笑笑」
「笑」
いい感じにほろ酔いになった頃、そろそろ出ようかと店を後にした。
夜風が火照った体をやんわりと包む。
「夜は少し冷えるねぇ。今はそれが気持ちいいけど」
鼻唄を歌いながら、街灯の淡い光と、柔らかく吹き抜ける風を纏うその人は、とても美しくて…
「目黒?どうしたの?口開いてる笑」
思わず見惚れて立ちつくしていた俺は、とても間抜けな顔をしていたと思う。
振り向いた舘さんは、俺の顔を見るなり吹き出すように笑った。
その笑顔が可愛くて、つられて俺も笑ってしまった。
「何?どうしたの?」
「舘さんが、あんまりに綺麗で見惚れてただけ」
「ふはっ何それ」
眉を下げてくしゃりと笑う。
あぁもう、ホント可愛い。
その笑顔も、たまらなく好き。
「ねぇ舘さん。今日、俺んち来るでしょ?」
「え、俺テイクアウトされちゃう?」
「ぜひ!持ち帰らせてくださいっ」
「どうしようかな…」
「もう、意地悪だなぁ」
「冗談。…そのつもりだったよ」
急に、ふわりと優しく微笑むから…
「ぇ、目黒…っ」
衝動的に、俺よりその少し小さな体を引き寄せ、抱きしめた。
勢いに任せて抱きしめたせいか、舘さんは苦しそうに腕の中で身を捩る。
「目黒、苦しいって笑」
「ごめんね、もう少し…」
「もう…。あのね、目黒の家で続きしたらいいんじゃないの?」
「……え」
「…持ち帰るんでしょ?」
小首を傾げて、口角を上げてみせる舘さんはあざといが過ぎると思う…
あぁ…
もう……
愛しくて仕方ない!
この人は、どこまで俺を沼らせるんだろう
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きたー!まってました