「だ、誰?で……すか?」
俺は突然現れた男性に質問する。背が高くて髪は赤い。元からそうなのか?不思議だな。
「俺は、大石蓮だ。お前、どうしたんだ?病人が着るような服を着てんなぁ。俺に話してみろ、何があったか。あ、ちなみに俺は怪しくなんかないぜ★」
すごい陽キャだなぁ。でも不思議とこの人になら何を話しても大丈夫な気がする。俺はゆっくりと口を開き、状況を説明した。何もかも、隅から隅まで。しばらく蓮さんは黙っていたが、急に目を輝かせた。
「お前、最期の時を楽しみたいんだろ?なら…人を殺してみろ。」
は?意味不明だ。人を殺す?何でそんな事を…
「まぁ、気持ちは分かる。でもな、やってるとやめられないぞ。試してみろよ。ま、人を殺すと言っても犯罪者とかそういうクソみてーな奴らを殺すんだ。俺らにはボスがいるからな。そのボスが全ての情報を集めてくれる。だからさ、やってみよーぜ。」
いや、ついていけない。人を殺すことなんて出来ない。そもそもそんな事したら政府とかになんか言われるだろ?警察に捕まるだろ?
「ちなみにそういう許可は得てるから心配はいらねーよ。」
はぁ?許可なんか得てるの?ますます意味がわからない。でも……この人の話を聞いているとなんでも出来そうになってきた。どうしよう。やるか?やらないか?よし。俺は決断した。
「やります。」
「おー!Nice Idea! じゃ、これからよろしくな、しゅん!あ、あだ名みてーなのが必要になるな。とりあえず、ボスの所に行くか!」
「ボス?ボスって誰だ?」
「ま、見たら分かるって!」
蓮さんは夜の闇を無視して、屋根の上に飛び乗った。今夜は満月。その日の夜、まるで、蓮さんは夜からやってきた魔物のようだった。赤い髪は夜風に靡いて、目はランランと光る。オオカミみたいだな。
「おーい、しゅん!早く来いよ!って屋根の上なんかに乗れる訳ないか!わりー!」
蓮さんは屋根の上から飛び降りようとしたが、俺は蓮さんのいる所に軽やかに移動した。あれ?俺ってこんなに運動神経良かったっけ?蓮さんは俺を見てニヤリと笑った。
「へー。お前、中々やるじゃん。見込んだ甲斐があったわー!」
なんとなくだけど、俺はこの病気のおかげで体に少し不思議な事が起きている気がする。これからどんな最期が待っているのだろう。考えるだけでワクワクするのだった。
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