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🖤🤍
少しかぐや姫をイメージして書いたお話です。
🤍天使設定/セリフ少なめ/文章多め。
切ない系を作りたくて、書いてみました( T T )
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目黒は、ラウを初めて見た瞬間から、どうしようもなく惹かれていた。
最年少なのに、いつも背伸びをしているところ。
誰よりも大きな体で、誰よりも必死に踊るところ。
褒められると一瞬で思考が止まり、照れたように視線を逸らし、何もしゃべれなくなるところ。
そのすべてが、愛おしかった。
…守りたいな
そう思ったのは、恋だと気づくよりも先だった。
ラウはいつも笑っていた。
忙しくても、疲れていても、
「大丈夫」と言うのが癖みたいに。
目黒はその言葉の裏にある不安や孤独を、
ちゃんと見てしまっていた。
だからこそ、余計に好きになってしまった。
――でも。
そんな天使のような存在が、
いなくなってしまうなんて、
そのときは、まだ知らなかった。
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それを知ったのは、あまりにも突然だった。
「俺ね、めめにだけ言う」
夜のスタジオ。
誰もいないはずの場所で、ラウは静かに言った。
「この世界にいられるの、あと少しなんだ」
冗談だと思いたかった。
笑って誤魔化したかった。
でも、ラウの目は、冗談を言う目じゃなかった。
「期限があるんだ。もう、決まってる」
胸が、ぎゅっと締め付けられた。
(なんで、こんなことを俺に言うんだ)
問いかける前に、答えは分かってしまった。
――信じているからだ。
――そばにいたいと思ってくれているからだ。
「……じゃあ」
目黒は、喉の奥が痛くなるのをこらえながら言った。
「それまで、一緒にいよう」
ラウは少し驚いた顔をしてから、困ったように笑った。
「後悔するよ?」
「後悔してもいい」
目黒は即答した。
「後悔しないふりをして、何もしないほうが、俺は嫌だ」
その瞬間、ラウの目が揺れた。
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ラウside
ラウは、最初から知っていた。
自分がこの世界にいられる時間が、
長くはないことを。
ラウは、ある使命を与えられ、
この地に降り立った。
――「誰かの人生に、確かに“残る”こと」
誰かの心に、
忘れられない感情を残すこと。
それが、ラウに課せられた役目だった。
ラウは、その使命を静かに受け入れた。
ただ、
誰かの“大切な記憶”になれれば、それでよかった。
そして、
選ばれたのが、目黒だった。
優しすぎるほど優しくて、
誰かの痛みに、気づかずにはいられない人。
ラウは、本能的に分かっていた。
この人なら、
俺がいなくなっても、強く生きていける
それでも、
忘れないでいてくれる。
その確信だけが、
ラウをこの世界へと導いた。
──────────────
目黒side
それからの日々は、
驚くほど、普通だった。
一緒に笑って、
一緒に踊って、
並んで帰って、
何気ない会話を重ねた。
期限があるなんて、忘れたくなるくらい。
だからこそ、
期限が近づくたび、
胸の奥が、静かに壊れていった。
目黒は、決めていた。
――泣かない。
――縋らない。
――引き止めない。
ラウがこの世界にいた証を、
「幸せだった記憶」にしたかったから。
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最後の日。
ラウは、子供のように感情を抑えきれず、目黒の前で崩れ落ちる。
「俺……やっぱやだ。帰りたくない」
「この世界が好き。ここが好き。メンバーも……全部大好きなんだ……」
言葉は途切れ、涙が止まらなくなる。
使命よりも、心が先に溢れてしまった。
目黒は何も言えず、ただ強く抱きしめる。
その腕の中で、ラウは何度も泣いた。
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「めめ…」
「俺ね、めめに出会えてよかった」
目黒は笑ったまま、答える。
「俺もだよ」
ねえ、ラウ。
行かないで。
ずっと一緒にて。
ラウのこと…大好き。
目黒は最後まで言わなかった。
ラウは、優しく
そっと目黒の手を離した…
「ばいばい…めめ」
その温度を、
一生、忘れることはない。
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そして、ラウはいなくなった。
世界は何事もなかったように回り続ける。
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ラウがいなくなった夜。
目黒は、誰にも会わず、
灯りもつけず、
ひとり、部屋に座っていた。
ちゃんと笑った。
ちゃんと見送った。
――でも。
「……っ」
声にならない息が、喉から漏れる。
唇を噛みしめても、
涙は、止まらなかった。
床に崩れ落ちて、
両手で顔を覆ったまま、
肩を震わせる。
「……なんで……」
言わなかった言葉が、
一気に溢れ出す。
「行くなって……言えばよかった……」
愛していた。
どうしようもなく。
でも、言えなかった。
言ったら、
ラウを困らせてしまう気がして。
「……会いたい……」
声は、もう抑えられなかった。
ボロボロと、
子どもみたいに泣いた。
誰にも見せなかった涙。
誰にも知られない、崩れた姿。
――俺に、忘れられない恋を残し、消えていったーー
目黒の胸は、痛いほど締めつけられる。
優しすぎるのに、残酷で。
希望をくれたくせに、何もかも奪っていく。
……悪魔なのか、天使なのか
溢れ出した涙を拭いながら
小さく笑った。
「……ずるいよ」
泣きながら、笑ってしまうほどに、
この恋は深く刻み込まれていた。
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それでも
今も空の向こうでラウが見ている気がして
目黒は今日も前を向く