テラーノベル
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どーもー!
夜のさんぽです!
最近雨ばっかですね………。
でも涼しいからそれも好きだけど。
でも濡れるのは嫌だしなあ
暗くて気分も少し下がっちゃうのもあるし。
まぁ、頑張っていきましょね。
じゃあ物語、行ってらっしゃい!
10月31日。
僕にとって平安時代での2日目の朝。
とは言っても、ろくに眠れなかったが。
今日は──10月31日。
分かっている。
分かりすぎている。
『…………』
布団から起き上がり、ゆっくりと息を吐く。
がらっ。
「晴明。おはよう」
『…ああ、せいめいさん!』
『……おはようございます!』
「……うん、おはよう」
………どうしたんだろう?
せいめいさんの顔が、少し暗い。
僕のやろうとしていること、バレたかな?
………バレたとしても、関係ないけど。
「晴明…」
「行かないんだよね?」
『はい、どこへも行きませんよ』
僕の頬に、少し冷えた手がそっと当たる。
────せいめい殿ー?
────行くと仰られた時間にはなったが……
少し離れた場所で声が聞こえる。
「………」
「………晴明、行ってくる」
『はい、行ってらっしゃい!』
額と額がこつっと合わせる。
一体何を考えているのか。
何でそんなに、
苦しそうな顔をしているのか。
聞けるわけない。
少しして、顔と顔が離れた。
せいめいさんは、僕を隠しながら障子を開け
声のする方へ向かっていった。
────せいめい様!
────そろそろ行かないとでしょ~?
────行かなくていいなら僕はそれでいいけど~
────んな訳ねぇだろーが
────……ところでせいめいくん。どこ行ってたの
────…………布団を片付けにいってただけだよ
────……ふーん?
様々な声が聞こえる。
明るい声。
あぁ。
羨ましい。
羨ましいからこそ、
せいめいさんを死なせる訳にはいかない。
みんな。
揃って。
ほげ
5,374
2,370
腐ってて何が悪いですか?
2,417
#安倍晴明
ほげ
62
生きて。
昼。
障子越しの陽が暖かい。
みんなはまだ戻ってきていない。
自分が代わりになる。
頭では分かっている。
それが最善策だと。
心も、揺るがないはずだった。
でも。
手は微かに震えている。
心臓の鼓動も、僅かに早い。
まだ、せいめいさんは気づいていない。
『……あと少し』
みんなが帰ってきて、
せいめいさんが1人になったタイミングで、
夜になる前に、
告げるんだ。
せいめいさんに。
逃げて。と。
最後の言葉を。
じゃりっ。
砂利を踏み鳴らす音が聞こえた。
6人の足音。
6人の明るい話し声。
これから何が起きるのか。
誰も知ってない。
そんな声。
そんな内容。
『……はやく逃げて』
口に出すのはまだ早い。
でも、心の中ではもう何度も繰り返した。
言葉が詰まってしまうことがないように。
言い淀んでしまうことがないように。
障子越しの陽は、ますます傾き始める。
僕は、幸いせいめいさん以外の誰にもバレていない。
咄嗟に姿を隠すという判断ができて良かったと思う。
でなければ、入れ替わるという案を実行させようなんて出来なかったのだから。
息を整える。
心を整える。
──今日の夕方。
すべてを終わらせるための、最後の別れが待っている。
夕暮れの光が障子を朱に染める。
がらっ。
障子が静かに、ゆっくり開いた。
「……晴明。」
「……もう、隠れるなんてしなくていいと思うんだ」
「みんなに晴明のこと、告げても───」
『せいめいさん、服を交換しましょう!』
僕はせいめいさんの言葉を遮って言った。
せいめいさんは目を大きく見開いた。
「え……?交換って、どういう……」
『僕がせいめいさんの服を着て、』
『せいめいさんは僕の服を着る』
決してふざけてなどいない。
僕は真剣な眼差しをせいめいさんに向けた。
せいめいさんは戸惑い、少し後ずさる。
「でも……それって……なんで、そんなことを……?」
『説明してる時間がないんです』
『今ここで動かないと、間に合わない』
僕はネクタイに手をかけながら言う。
時間はない。
と言いつつも、僕の頭の中は静かだった。
『お願いです』
『僕の言うこと、信じてください』
シャツを差し出した。
せいめいさんは手を止め、布を見つめた。
「…わかった……」
小さく息をつき、せいめいさんは僕の服を手に取った。
せいめいさんは着方も分かってないみたい。
僕がベルトを締め、
シャツのボタンを留め、
ネクタイを締め、
数珠を手に通し。
「これ、変な感じだね……」
『慣れてください』
僕は微笑み、自分の体をせいめいさんの装束に通す。
お互い鏡を覗いた。
鏡に映る姿は、入れ替わったなんて分かりもしなかった。
動作、姿勢、呼吸のリズムまで、互いの存在を少しずつなぞる。
「……これでいいのかい?」
せいめいさんは小さくつぶやき、
僕の顔を覗き込む。
『はい、これで良いんです。』
『そして。』
『そのまま遠くへ逃げて』
コメント
3件
めっちゃ面白かったです!!!最近読み始めたんですけど一日に何回も観ちゃうほど好きです!続き待ってます!頑張ってください!
おお…夜のさんぽさんのエピソード、読み終えました。 まず、冒頭の「どーもー!」で一気に作品の空気に引き込まれましたね。雨の話から始まる導入が、なぜか物語の切なさと重なって見える不思議。 「手は微かに震えている。心臓の鼓動も、僅かに早い。」この一文が刺さりました。自分が代わりになると決意した主人公の覚悟と、それでも揺れる心の繊細な描き方。そして最後の「そのまま遠くへ逃げて」…もう、胸がぎゅっとなりました。服を交換するシーンの静かな緊迫感も素晴らしかったです。 あっという間の第7話でした。次が気になって仕方ないです!