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⚠レイマリ百合要素、設定崩壊あり
二次創作設定あり・愛され表現?あり
それでもいい方は⬇へ
▷霊夢◁
魔理沙に手を引かれながら、私は明るい屋台の方へ出た。沢山の人でごった返していたものの、魔理沙が手を引いてくれたので、迷わずにすんだ。
「見ろよ霊夢!ゲンソーキョーいちのアイスだって!絶対チルノの奴だろ!」
屋台を指さしながらはしゃぐ魔理沙に、
(はしゃぎすぎよ、)と声をかけようと彼女の方を向いた。私は口を開いたのに言葉を発せなかった。魔理沙が普段とは違ったからだ。
(いや、まぁ、お祭りだし浴衣だし、違うのは当たり前なんだけどね。)
心の中で自分に突っ込みながら、魔理沙をもう一度見る。沢山の人の中に混じる美しい金髪は、提灯の灯りに照らされて、より綺麗に見えた。夏だから暑いのか、ほんのりと頬が淡い赤色に染まっていて、とても可愛らしい。そして、薄花色(簡単に言うととても薄い青色のこと)の浴衣から伸びるスラリと細い手足は白く、夜空の紺色に良く映えた。魔理沙は元がいいんだから、なんてセリフを何人もの人から聞いたことがある。私はその時は適当に流しているだけだったが、今になって彼女の美しさを知った。その証拠に、さっきからすれ違った人がかなりの高確率で魔理沙のことを見ていた。(特に男性だが)傍から見れば彼女は可憐な少女だろう。だが、性格は男勝り…なのだが、実は乙女だということを知っているのは私を含めたあと数人程度だ。魔理沙のことを私が一番知っているという事が、何故か嬉しかった。
「れーいむっ!」
そんなことを考えていると、金髪の美少女が私に何かを食べさせた。…結構熱い。
「ふぁふぃよ、ほれぇ!」(何よ、これ!)
はふはふさせながら食べると、彼女はさぞ楽しそうに笑った。
「上手いだろ?焼きそばって言うんだぜ!」
確かに美味いけども。無理矢理食べさせるのはいかんだろう。私の心臓が持たない。
「美味しいけど、人の口の中に突然突っ込むのはどうかと思うわよ。」
熱い麺を食べ切り、少し睨みながら彼女を叱った。内心、食べさせてくれる方が嬉しいのだが、それを他の人にされたらたまったものじゃない。彼女の可愛さに気づいた輩が狙ってくるのは勘弁だ。そういう意味を込めて少し冷たく説教したのに…
「霊夢ならいいと思ってさ!だって私、霊夢のことだーいすきだしな!」
と満面の笑みで返されては怒る気も吹っ飛んでしまう。魔理沙はお祭りとかの行事が大好きだから、気分が乗っているのだろう。当分前の宴で泥酔いしたときと同じテンションだった。
「んへへー!あ、これも食べるか?」
そう言って私の目の前にりんご飴を差し出すと、彼女はこてんと首を傾げた。その姿があまりに可愛らしく、思わず目を逸らす。
「べ、別に大丈夫よ。自分で買うわ。」
横を向きながらそう答えると、
「珍しいな、食べ物大好きな霊夢がそんな事言うなんて…って、さっきからどこみてるんだ?」
魔理沙は私と同じ方へ目をやった。そんな魔理沙を横目でチラリと見ると、唇が紅色に染まっていることに気づいた。りんご飴せいだろう。って自分はどこを見ているのだ、なんて考えていると、人混みだからか頭がクラクラしてきた。
(普段はこんなことになんないのに…どうして今になって体調が悪くなるのよ…!)
自分に自分で怒りを感じながら、私は体調不良と戦っていた。ふと魔理沙がこちらを向き、私と目が合った。
「霊夢…?お前、顔色悪くないか?」
魔理沙が覗き込んでくるものだから、私は顔が熱くなった。ただでさえ意識が保てそうにないのに、そんなことをされてはたまったものでは無い。
「大丈夫よ。」
そう返したものの、私は後ろによろめいてしまった。
「お、おい!」
魔理沙の慌てた声が聞こえた。
▷魔理沙◁
「お、おい!」
私は慌てて霊夢に駆け寄り、なんとか抱きとめた。赤面だったから熱があると思っていたが、体はそこまで熱くない。日頃の疲れが溜まっていたのかもしれない。そう思い私は近くの木の下まで霊夢を背負って歩くことにした。歩いていると、アリスと早苗に出会った。
「あら、貴方達も来てたのね。」
淑やかな浴衣に身を包んだ人形のような少女はそう言った。
「あれ、後ろに背負われているのは霊夢さん…ですか?」
明るい浴衣に身を包んだ緑髪の少女は私の背中の方を見た。
「ああ。さっきいきなり倒れてな…。熱くはないから熱では無いと思うんだ。だから木の下まで行こうと…。」
「それなら木の下より向こうの土手がいいと思うわよ。人もほぼいないし、花火もあそこからなら見やすいわ。」
私が困っているのを察したのか、アリスがそう助言してくれた。
「本当か、アリス!?助かったぜ!ありがとうな!!」
私は笑顔で感謝を伝えると、少し先にある土手まで歩くことにした。
〖アリスと早苗〗
七色の人形使いの気持ち
(はぁ、ホント魔理沙って可愛いわ。あんな笑顔で感謝されたら☠ぬわよ。普通。常に魔導書持って防衛魔法が使えるようにしないといけないようね…。ていうかなにあの格好。可愛すぎでしょ。金髪お団子は聞いてないわよ。魔理沙は元がいいからほんとになんでも似合うのよね。また今度新しい服を買いに行かせようかしら。はぁ…)
祀られる風の人間の気持ち
(霊夢さんの寝顔って天使ですよね、なんでなんでしょう。なんかの呪いでもかかってるんですかね。めっちゃまつげ長いし、顔整い過ぎでしょ。浴衣姿がしっかり目に焼き付けられなかったのが悔やまれますが…体調不良の霊夢さんを見れる方がレアですからね。あ、どーせなら写真撮れば良かった。絶対商売になりますし、文々。新聞にでも提供したらもっと霊夢さんの可愛さを知って貰えますかね…。はぁ…)
「ホント魔理沙って天使よね。」
「ホント霊夢さんって天使ですよね。」
▷霊夢◁
目が覚めると、私は誰かの膝の上だった。
「お、目が覚めたか?」
上から聞こえる聞き慣れた声…。ということはこの膝は…
「私が直々に膝枕してやったんだぜ。感謝しろよな。」
少し格好つけながら魔理沙は言った。が、私はそれどころではない。
(え、なんで?なんで私魔理沙の膝の上なの??どういう状況??…ていうか、ひ、膝枕…)
どう反応していいのか分からず、私は黙りこくってしまった。暫くして、魔理沙が慌て始めたのが分かった。彼女は顔を真っ赤にしながら、
「ご、ごめん。」
と謝った。どうやら私が恥ずかしがっているのを察したらしい。
「ここ、人少ないから、いいかな…って。」
「あ、嫌な訳じゃないのよ…。でも…」
そう言うと魔理沙は少しほっとした顔をした後、質問を投げ返した。
「じゃあ、なんで赤面なんだ?」
(魔理沙が意外に鈍感な事すっかり忘れてたわ…)
言葉にしないと伝わらないと思った私は、意を決して魔理沙に伝えることにした。
「だ、だから!」
「私は、アンタの事が好きだから!だから緊張してたのよ!!」
(…やばい、思いっきり可愛げの無い言い方になっちゃった…)
沈黙が流れ、私は心臓が大きく脈を打っているのを感じた。不安になり、チラッと魔理沙の方を見ると、彼女は髪を撫でながら、顔を真っ赤にして私から目を逸らしていた。丁度花火が打ち上がり、彼女の背景に大きな花が咲いた。髪を撫でるのは、恥ずかしい時にする彼女の癖だ。花火と共に映る目の前の金髪の少女がとても儚く感じた。
▷魔理沙◁
「私は、アンタの事が好きだから!だから緊張してたのよ!!」
顔を真っ赤にしながら彼女は言った。私のことをそんな風に思ってくれているの事に嬉しさを感じた。だが、それと同時に照れ臭くて霊夢の顔を見れなくなってしまった。気持ちがまだ追いついていない。私は暫く黙ってしまった。丁度花火が打ち上がる音が聞こえ、背後から鮮やかな光が差し込んだ。私は黙ったまま霊夢を隣に座らせた。霊夢は何も言わず、私に従った。膝枕をやったのは自分なくせに、好きと言ってくれた想い人を膝に乗せるのは私には到底出来なかった。恥ずかしすぎて死にそうだ。でも、凄く嬉しい。色々な気持ちが入混ざったままだった。横目で霊夢の方を見ると、霊夢は少し悲しそうな顔をして笑っていた。
(私が膝枕をやめちまったから、霊夢、嫌われてると勘違いしたのかもしれない…。)
「れ、霊夢!」
思い切って声をかけた。
「…どうしたの?」
諦めたような表情をして、霊夢はこちらを向いた。
「ほ、ほんとうに、私で、いいのか?」
震えるこぶしを握りしめながら、私は言った。そうすると霊夢は狐につままれたような顔をした後、笑顔でこう答えた。
「当たり前じゃない。」
言い終わるのが先か否か、私は霊夢に抱きついた。霊夢も抱きしめ返してくれた。ふわりといい匂いがして、霊夢が私のことを好きなのだ、両想いなのだということを実感した。また、花火が上がった。さっきよりも大きな赤い花火。霊夢はとても嬉しそうに、笑っていた。花火を背景に幸せそうに笑う黒髪の少女は、私が会った人の中で誰よりも綺麗だと感じた。…また、花火が上がった。私達は手を繋ぎ合ったまま、花火を見続けた…。
【end】