テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
270
いちごバナナスムージー
51
試作品X号
31
その日は、空が高く眩しく見えました。
その子は日に日に、少しずつ細くなっていくように思えました。
『くわねぇと死ぬぞ』
いつぞやのお姉さんの言葉が内側から聞こえてきました。
あっ、と思ったら、喉の奥が勝手に開いてしまいました。
「ご飯、食べて行きませんか?」
声をかけた後、やってしまった、という後悔と僅かな高揚で顔が火照りました。いつも見ているものよりも僅かに見開いた瞳は、僕を映しています。風が、ウミネコの声を運んで来ました。
「…なに?今までもジロジロ見て来てたよね」
そりゃあバレているはずなのに、なぜか僕は驚きました。夕方の塩辛い風が頬に当たりました。それでも桔梗は、健気に咲いていました。
「…ありがと」
その子は僕と海辺のベンチでハンバーガーを食べました。民宿には、呼べなかったです。代わりに僕はお姉さんと食べる予定だった物を、二人で食べました。美味しそうに頬を膨らましていました。相反して、僕は隣の空気の温もりに触れて、味がしませんでした。帰っていく後ろ姿を、初めて見ました。
その夜、縁側に座りながらお姉さんが言った言葉が、忘れられません。
「…私も、君も、ただただ同性が好きってだけなのにね。」
おばあさんによると、お姉さんは24回目の告白で、振られたようです。しかも、周りに言いふらされたみたいでした。三日月を見上げるお姉さんの目は、湖みたいでした。
僕はなぜだか指先が冷たくなりました。
コメント
1件
読了しました〜!🌊 海辺でハンバーガーを頬張るシーン、切なくて胸がギュッてなった…。僕が味を感じないほど隣の存在が大きいのに、その子は美味しそうに食べてて、その温度差がもうエモすぎる😭 お姉さんの「ただただ同性が好きってだけなのにね」がずしんと刺さる…。三日月を見る目の「湖みたい」も綺麗で、ラストの指先の冷たさに全部持ってかれました。続きめっちゃ気になります!🫶