うたい…捨て子
凸もり…マフィア
【凸もり視点】
大粒の雨が地面に打ちつける。
俺は傘をさして歩く。今日の任務はちょっと手こずった。
反省しながらも俺は一歩一歩を刻む。
ふと暗い裏路地を見てみると誰かがいた。
俺は通り過ぎようとしたが、引き寄せられるように裏路地に入った。
近寄ると驚いたかのように、首元のマフラーをぐいっと上げた。
怖がってるのか,,,羊の角が生えていて、暖かそうな上着もマフラーも雨のせいで湿って冷たそうだ。
取り敢えず、声をかけてみるか
「君、どうしたの?こんなとこいたら風邪引くよ?」
「,,,」
返事が返ってこない。少し睨みつけるような目で俺を見てくる。
警戒心が強いな,,,
「家はどこ?」
そう質問すると目を伏せた。この時に俺は察した。この子は捨てられたんだ。
マフィアなんかが、こんな子を拾っていいものか。手を差し出そうとするが、どうしても出せない
あ”ぁ,,,俺が裏社会の人間でなければこの子に勇気を持って手を差し出せたのに。
こんな血に汚れた悪人の手を差し出すことができない。
「,,,食べ物,,,いる?」
少し顔を覗き込みながら俺は聞いてみる。俺のポケットには小さなキャラメルが5つ入っていた。
「コクッ」
少し頷いたので、キャラメルを3つ渡した。小さくて悴んだ冷たい手にキャラメルを乗っける。
「ちょっとでも食べろ。腹減ってるだろ。」
キャラメルを開けると、上に上げていたマフラーを少し下げて口に放り込む。
「,,,はむっ,,,」
美味しかったのか目を見開いた。睨みつけるような目元は少し力が抜けたように感じた。
俺の中で何かが葛藤する。こんな子を見捨てたらきっと死んでしまう。
でも、この子に手を差し伸べたところで俺はマフィアだ。裏社会に引き込むことになる。
この子にとっては飢え死にするよりもマシなのかもしれない,,,
兎に角、俺は決意を固めた。
「ねぇ,,,君さ、うちに来る?」
その子はちょっと考えてから顔を縦に振った。
「,,,よろしく。俺は凸もり。君の名前は?」
「,,,うたい,,,」
君は優しくて、柔らかい声で答えた。
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拾ってから気づけば10年
うたちゃんは情報管理やハッキングを習得し、おどみんの一員になっている。
「うたちゃん~!ちょっと派手にやったら防犯カメラに入っちゃったから映像すり替えて~!」
「殺る時くらい場所考えてよ,,,いつも僕がやってるじゃん」
「うたちゃんが有能すぎるからね~まっ、俺には及ばないけど!!」
「は?僕がいなかったら凸さんどうなってたと思ってるの?」
俺が拾わなかったうたちゃんはどうなってたの?と聞きたかったけどそれはやめといた。
それは彼にとってあまりいい思い出ではないかもしれないから。
彼の幸せそうな笑顔をみると拾ってよかったなと実感する。
これからもよろしくね。
うたちゃん!!
end
コメント
2件
凸さんナイス!!!!!!!!