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柚彦君がお兄さん達に囲まれているのを、私は泣きながら眺めていた
周りが一気に慌しくなっていた、俊哉は倒れたままぐったりとして意識を失っている
彼がお兄さん達を押しのけて、手首を拘束されたまま私の元へ駆けつけてきた
私は立ち上がることもできず、腕を広げて血で汚れるのも気にせず彼を抱きしめた
「鈴ちゃん!」
「ああっ!柚彦君!!柚彦君!」
顔にキスを浴びせ、抱きつきながら名前を連呼する
「私の大切な人!ごめんなさい!!ごめんなさい! 」
私は彼の顔を両手で挟んでまっすぐ瞳を見つめた
「柚彦君大丈夫?本当に無事でよかった」
心配そうな私に彼は笑顔で答えてくれた
「君のおかげだよ」
彼はキスを返してくれて囁いた
「君の立派なことといったら 」
思わず笑いだした、彼を見て本当に安心した、そして私も泣き笑いしつつ、さらに彼に抱き着いた
「警察が来たぞ」
健司さんたちが呼んだ警察や教団の幹部の人たちが気絶している俊哉達を囲んでいた
いくつものライトがきらめき、人々が大声でわめいている
私たちは誰ともわからぬ警官達にいくつも質問されたが、集中して返事をすることが出来なかった
幸い柚彦君のお兄さんやブラック達が警察の相手をしてくれた
私は朦朧とした頭で、彼らに感謝した
俊哉や手下達は救急隊に運ばれて行った、顔面血だらけになっている俊哉は見た所、瀕死の状態だったけど、救急隊員達が彼に酸素チューブを押し込んでいた
きっと生き延びるだろう、だが彼には冷たい牢獄の生活が待っている
私はただただ、現実から突き落とされないように柚彦君にしがみついていた
温かい彼の腕の中だけが私を正気から引き戻していた
「あの・・・鈴ちゃん」
また涙が溢れてくる
「うん?柚彦君・・・なあに?」
柚彦君が言った
「そろそろ、この腕の拘束を解いてくれないかな・・・ 」
「ああ!ごめんなさい! 」
私は地面を探し、生垣の下に投げつけられたのであろう、私が持ってきた果物ナイフが見つけた
地面に座り込む柚彦君の元へナイフを持って膝間づく
「ハイ・・・切って 」
柚彦君が拘束された腕を私の前に出した
「・・・?・・・どうしたの?鈴ちゃん 」
私は顔を離ししげしげと彼を眺めて言った、さっきから妙な感じで心臓がドキドキする
「・・・あのね・・・柚彦君・・・実は私・・・あなたがこういう格好をしているの嫌いじゃないの」
「ええ?」
柚彦君が目をまん丸にして聞き返す
「だって・・・思い出すんですもの・・・初めての・・・・あの素敵な夜を・・・・ 」
柚彦君が大声で笑った
「鈴ちゃんったら・・・」
私は彼にそっとキスをした
「愛しているわ」
「僕も愛してる」
私達は人目も気にせずにいつまでもキスをした