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教室の窓から差し込むうららかな光の中、女子たちの黄色い歓声が響いていた。その中心にいるのは、いつもクラスを明るく引っ張る1軍トップの少女、楓だ。
「ねえねえ聞いて! 今度、推しの握手会に行くんだ〜!」
仲良しの陽葵が、両手を合わせて目を輝かせながら声を弾ませた。その言葉に、楓はパッと顔を輝かせ、身を乗り出す。
「えーっ、いいなー! 私も行きたーい!」
「じゃあ、一緒に行こうよ!!」
「うん、一緒に行こう!」
弾むような約束。家に帰ってからも、楓の頭の中は推しのことでいっぱいだった。
(どんな服を着ていこうかな……。せっかく推しに会えるんだもん、世界で一番可愛いって思われたいな)
それからの楓は、持ち前の行動力をフルに発揮した。雑誌をめくっては小学生向けのメイクを研究し、お小遣いをやりくりしてはおしゃれな服を探した。ライブ映像を観戦するときも、画面の中の推しに見つめられているような気がして、自然と背筋が伸びる。推しに会うための努力は、楓にとって純粋な幸せそのものだった。
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