テラーノベル
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待ちに待った握手会当日。楓は鏡の前で何度も髪型をチェックし、お気に入りのコーディネートに身を包んだ。頬にほんのりチークを乗せ、最高の笑顔でスマートフォンを構える。
「よし、完璧!」
カシャリと撮った自撮り写真を、高鳴る胸を抑えながらSNSにアップした。
『今日は推しに会いに行きます!! おしゃればっちり決めたよー!』
投稿してすぐ、たくさんの「いいね」や「可愛い!」という友達からのコメントがつき、楓は誇らしい気持ちで胸を膨らませた。しかし、スクロールしていく指が、ある一行の前でピタリと止まる。
『なんか太くない?』
見知らぬアカウントからの、棘のような言葉。
心臓がドクンと嫌な音を立てた。それまで満たされていた幸福感が、一瞬で冷や水に変わる。
(え……。わたし、太ってるかな……?!)
慌てて姿見の前に立ち、自分の体を凝視した。さっきまでお気に入りだったはずのスカートから伸びる足が、急に丸太のように不格好に見えてくる。友達の陽葵の細い足が脳裏をよぎり、急激な焦燥感が楓の心を支配していった。
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