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もうめちゃくちゃ楽しみにしてました天才です更新されたの見た瞬間もうやばすぎていぬになっちゃいましたすいませんてんさいですありがとうございます
物心ついた頃から、ぼくに家族はいなかった。
同じような子どもたちがあつめられた場所で、みんなと同じように過ごしていたけれど。
でも、なんか、ちがう。
家族って、お父さんとお母さんってどんなものなんだろう。
いやなことばっかりかもしれないけど。
ないほうがいいきおくなのかもしれないけれど。
そもそもなにも持ってないぼくからしたら、それでも、ちょっとだけうらやましかったりしたんだ。
同じだけど、同じじゃない。
どこかでずっとそう思ってた。
だから、みんなと関わるのが苦手だった。怖かった。
そんな中で、境遇を打ち明けてくれた。
僕とお前はおんなじだって、
ひとりじゃないって、言ってくれた。
あのころのぼくが。
それにどれだけ救われて、
それがどれだけ頼もしかったか。
きっと、君は知らないまま。
『いっしょにあそぼ』
『………』
『いっしょにあそぶの、やだ?』
『………』
『じゃあさぁ、ぼくさぁ、ここであそんでるからさぁ、あそびたくなったらいってよ』
『……うん』
「じんとー、おなか減ったぁなんか作って〜」
「さっき朝メシ食ったばっかだろお前」
「やってアタマ使ったからさぁ、たりひんねん糖分が」
「しょうがねぇなぁ…買い出しまだだからサンドイッチくらいしか作れねぇけど」
「えぇ〜、オレ甘いもの食べたぁい。チーズケーキとかさぁ」
「コンビニすぐそこにあるんで我で買いに行ってください」
「めんどく…いやっ、コンビニじゃあかんねん。オレは仁ちゃんの手作りが食べたいわけやからさぁ」
「エグいなお前。」
『どしただいちゃん』
『……』
『もしかして、ねれない?』
『…ん』
『そっか。じゃ、こっちきなよ。寝れるまで本読んであげる』
『ほん?』
『そ!はやとも好きな本でさぁ、「なきむしおつきさま」っていうんだけど。どう?』
『…うん、よみたい』
『よっしゃ、決まりぃ!』
『…じんちゃん、』
『んー?』
『………ありがと』
「ほれ」
目の前に差し出されたモノと、吉田さんの仏頂面を交互に見比べて、首を傾げる。
「え、ナニコレ?」
「ムース。」
「むーす?」
「クリームチーズもゼラチンもなかったし買いに行ってやる気もサラサラなかったから、あるもんで作った。味は知らん!」
ぶっきらぼうに言う仁ちゃんからガラスの器を受け取り、しげしげと眺める。
冗談のつもりだったのに。
優しいこのひとは、バカ真面目にオレに甘いものをと、わざわざ冷蔵庫の余り物を総動員してデザートを作ってくれたらしい。
「へぇ〜…」
ご丁寧に、缶詰の桃を細かく刻んだものまであしらわれているムース。
それをひとさじすくって口に入れると、ほんのりと、優しい甘さが広がる。
それが美味しくて。嬉しくて。
「…ま、しゃーないからコレで許してやんよ」
でも、決して顔に出さないように生意気に言ってやると、吉田さんはそんなオレを見て盛大にため息をついた。
「変わっちまったなぁ太智は。」
「ナニよ急に。」
「昔はさぁ、『ありがとぉじんちゃん!』って目ぇきらきらさせて喜んでくれてたのに」
「はぁ?」
「じんちゃんじんちゃんって、俺の後ろばっかついてきてさぁ。可愛かったなぁあの頃の太智」
どこか遠い目をして過去を懐かしむ吉田さんに、もくもくとムースを口に運びながら言い返す。
「そんなんしてへんし。吉田さん、なんか誰かと間違えてんちゃう?あとオレ、もっと甘い方がええんやけど、コレ分量ちゃんとあってる?」
「……」
少し沈黙した後、急に後ろから腕が伸びてきて、そのまま首をシャレにならんくらい締められる。
「!?いだだだだだ!いだいッ!いたいですゥ!!」
「あ・り・が・と・う・ご・ざ・い・ま・す、だろそこはコラ。あ?」
「ご、ごめんなさい!アリガトウゴザイマァス!…ちょっ、だれかっ、はやちゃんじゅうちゃんしゅんちゃんたすけてぇ!!」
本気で、
家族だって思える人たちができた。
自分より大切にしたいって思えるし
同じように、
自分のことを大切にしたいって思ってくれてるって、自信を持って言える人たちが。
今、こうやって
僕が笑えるのは 君のお陰なんだよって。
けっこう本気で 君に感謝しているのなんて、 きっと君は知らない。
ま、伝えるつもりもないけど ね。
end.