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朝露に溶ける

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朝露に溶ける

1 - 朝露に溶ける

♥

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2024年03月07日

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仕事帰りに寂しくなっちゃうfwの話。

構想頑張って練るより衝動書きした方が満足いく出来になるのなんなんだろう🥲





















「…あきなぁ……」


部屋のドア前からそっと声を掛けても何も返ってこない。しんと静まり返った廊下の冷たさが足先に伝わってきて、途端にきゅ、と心が寂しくなる。

そりゃ、今日はNo. 1獲れて、ラスソン歌って、まあちょっとばかし遅くなっちゃったけど、ちょっとってかもう4時だけどさ。

でも俺、超特急で帰ってきたんよ?オーナーの話も先輩の誘いも断って、タクシー捕まえてさ。ふわっち頑張ったねって、たくさん褒めてもらえるかなって思って帰ってきたのに、鍵閉まってるし、電気付いてないし。まあ戸締りちゃんとしてるのは偉いけどさ、でも寂しいじゃんちょっとだけ。

いつもだったら起きて待っててくれるのに、今日はあきな疲れてんのかなぁ、俺癒すぞ、全然。何でもするよ、あきなの顔見たら疲れなんて全部吹っ飛ぶし何でも出来るし。だから顔見たいなぁって、あわよくば抱きしめてくれたら嬉しいなぁって……。


「……」


ガチャ、


もういいもん、あきな香水苦手とか言ってたけどこのまま布団に潜り込んでやるから。明日ベッドが俺の香水くさくなって萎えればいい。そんでいっしょに洗濯干すもん、明日晴れるらしいし、知らんけど。

そろりそろりと足音を殺してベッドのそばに近づいてみると、真ん中には猫ちゃん2匹といっしょに気持ちよさそうに寝ているあきなの姿があった。すやすやと規則正しく寝息を立てている様子を見ると、自然と頰が緩んでしまう。ちょろいなぁ俺も。

掛け布団を静かに捲り、あきなの横を陣取っているにゃんこ達をちょいちょいと触ると、少しこちらを見上げてから察したように枕元まで寝所を移動してくれた。

ごめんな、ここは俺の場所なんよ。

猫ちゃんはずるい、日中ずっとあきなといっしょに居られるし、たくさん構ってもらえるし、何もしなくても可愛いって言ってもらえる。

って、成人男性が猫に嫉妬すんのはさすがに不味いか。勝ち目ないもんなぁ。

にゃんちゃんが退いてくれたスペースにすっぽりと収まるように横になると、猫の体温の残り香を感じた。枕元でゴロゴロと鳴いているあきなの愛猫たち。

んは、嫉妬なんかせんよ、お前ら察し良いもんなぁ、ありがとな。

人差し指の背でなぞるように頭を撫でると、またゴロゴロと喉を鳴らした。


さて、猫ちゃんよりも遥かに察しの悪い男が目の前にひとり。

お疲れの恋人が布団に入ってきても起きる様子はなし、ですか。俺寂しかったんだけど。ひとりで寝るのしんど過ぎてこっち来ちゃったんだけど?そんな俺には可愛いって言ってくんないの?


「スーー…スーー……」


「……ねぇあきなぁ…」


廊下でウジウジしていた間に冷え切ってしまった足先を主張するようにあきなの足に絡める。んふ、あきなの足あったかい。

だけど起きる様子はない目の前の結ばれた唇がなんだかとっても憎らしくて、居ても立っても居られず、くっと顔を近づけてキスを落とした。柔らかいほっぺにも、チョーカーが付いていない首元にも、開いたパジャマから覗く鎖骨にも。ちゅ、ちゅ、とわざと音を立てるようにして唇を当てていく。いつもの仕返しだと思ってムキになるも、胸いっぱいに広がるあきなの匂いだけで俺はバカみたいに幸せになっちゃうんだから。

だいすき、だいすき。この匂いも、感触も、息も、全部。誰よりも何よりも、いちばんだいすきだよ。

だから、


「…おきて、ほしいなぁ……」


「……ん゛〜〜………」


「んぇ?あきな…?」


うそ、おきた?おこしちゃった?いや起きてほしかったけど、でも、でも……、


「…ふぁ、ち……?」


「ん、うん、ふわっちだよ、ただいま…?」


「…ん、ふわっちだぁ、おかえりぃ…」


ぎゅ


ぁ、え、え…?

おれ、あ、れ…??


すりすり


「おしごと、よくがんばったねぇ…よしよし、えらいぞみなとぉ〜……」


「ぁ、え、」


かろうじて開いていた目はまたすぐに閉じてしまい、あきなは再び夢の世界に戻ってしまった。俺の腰に硬く結ばれた腕は解かないまま。

ぎゅって抱きしめてもらった、えらいねって褒めてもらった、その上名前まで呼んでもらった。望んでたこと全部してもらったのに、俺の心は満たされたはずなのに、なぜか心臓がうるさくてうるさくて、うまく目が閉じれない。さっきまで難なくキスしていたあきなの顔が、今は直視できない。とことん疲れていたはずなのに、眠気は全て朝方の霧といっしょに溶けてなくなっちゃったのか。

察しのいい猫ちゃん達は、もうどこかへ行ってしまったみたい。











「あれ?ふわっちいつ帰ってきたん?全然気づかなかったんだけど」


「ん〜〜……」


「てかなにこのキスマ〜!絶対猫ちゃんだ、寝てる間にガジガジされたわこれは。ねえ見てよふわっち〜w」





















END

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コメント

3

ユーザー

冷たい足すりすりすんのもねこちゃんにちょっと嫉妬しちゃうのもバブすぎて可愛い😭ホスト帰りの28歳な訳ない😠😠

ユーザー

かわよ……😭

ユーザー

にゃんちゃんの察しの良さよ…… 最高です……

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