『太陽には手が届かない。』
絶対に手には入らないから魅力的なものはこの世にたくさんある。
手に入らないから、それを手に入れるために自分を磨いたり、お金を稼いだりとそれは自分の成長に繋がる”何か”となってくれる。
でも…
手に入らない魅力をもし、手に入れてしまったら…?
絶対、手に入るわけないと思っていた物もしくは人が自分の横に居たら?
手に入らない魅力が一瞬でなくなる?
そんな訳ない、手に入った快感と共に喜びが襲ってくるに違いない。
ううん、そうならないとおかしいんだよ。
僕には、好きな人がいる。
その人は、”太陽”みたいな存在。
いつも、明るくて、周りを笑顔にして…
そんな、彼女のことを僕は、いつしか好きになっていた。
でも、さっきも言った通り彼女は”太陽”みたいな存在。
だから、陰である僕と太陽である彼女では、到底結びつかない。
教室の窓側の席の後ろ
まさかに、誰もが羨む席だろう。
僕はその席に座って、斜め前に居る君の姿を眺めている。
真面目に授業を聞いてる、優等生。
そんな、優等生の後ろ姿を見ている僕は劣等生。
常に、彼女とは真逆。
きっと、好きさえも伝えられぬまま、終わってしまう恋なんだ。
そう、思いつつも彼女のことをいつも目で追っている。
「なあ、おかゆ。」
「え、な、何!?」
「そんな驚くことないだろ…。あのさ、今日一緒に帰らない?」
「え、」
「…嫌か、?」
不安そうな顔でこちらを見てくる君。
「い、嫌じゃないけど…」
「ホント!?じゃあ、また放課後な!」
今日の彼女は台風のようだ…。
_放課後
「おかゆ〜、帰ろ。」
「…あ、うん!」
(今思ったけど、なんで急に誘ってきたんだろ?)
「あんま、話したことないのに急にごめんな。」
「え、何が?」
「その、あんまおかゆとあたしって話さないじゃん…?」
「…そうだね、」
「だから、急に誘っちゃって嫌だったかなって…」
「そ、そんなことないよ!」
「…そっか、なら良かったわ!笑」
「なんで、僕を誘ったの?」
「え?」
「今日1日、ずっと気になってたんだけど…」
「なんでって言われてもな…。」
「あ、困らせたよね…。ごめん、」
「ううん、困ってはないよ。どう話せばいいかなって…笑」
「…?」
「あたし、おかゆのことが好きなんだわ。」
「え、?」
「ずっと仲良くなりたいなーって思ってたけど、なかなか話しかけられなくてさ…笑」
(…ああ、好きって友達としてって意味か、)
「おかゆ、あたしと友達になってくれない?」
「…いいの?」
「うん。」
数ヶ月後_
僕とスバルちゃんは、親友と呼べるほど仲が良くなった。
悪友でもあり、親友。
たった数ヶ月でこんなに仲が良くなるなんて思ってもみなかった。
親友だろうと、僕はまだスバルちゃんが好き。
正直、付き合いたいけど男子からも女子からも人気な君に僕は釣り合わない。
「おーい、おかゆ〜!! 」
「わっ、スバルちゃんか…笑」
「ボケっとしてたけど、考え事か?」
「ううん、なんでもないよ。」
「何か、困ったら言えよ?」
「うん、ありがと。」
「親友なんだがら、ちゃんと言えよー。」
「…うん、」
(…親友か)
「あ、そういえば今日…」
「ん、何かあるの?」
「なんか、新しくカフェがオープンするらしいんだよ。」
「へぇー、そうなんだ。」
「放課後、そこに行かないか?」
「え、僕と?」
「うん。」
_放課後(カフェは既に出てます。)
「あー、あそこのケーキ美味しかった〜!」
「ね、また行きたいね。」
「明日も行くかー!」
「太るよ?笑」
「まだ、高校生なんだから太るとか気にしてられねぇーよ!」
「ははっ、スバルちゃんらしいや笑」
「あ、おかゆ。」
「なに〜?」
「…あのな」
「?」
「あたし、おかゆのことが好き。」
「うん、知ってる〜笑」
(どうせ、友達としてだろうなー…笑)
「友達としてとかじゃなくてさ…」
「え?」
「あたしの言ってる好きは恋愛の方の意味での好き。」
「え、?」
「…今まで友達としか、見られてないかもしれないけど、あたしはおかゆのことがずっと好きなんだよ。」
「…ごめん、僕はスバルちゃんのこと好きじゃない。」
(…あれ?僕何言ってるの?)
「そうだよな、急にごめん。」
「ううん、こっちこそごめん…。」
(違う、僕もスバルちゃんが好きで…。だから、早く好きだって言わなきゃ…)
「…これからも友達としてよろしくな。」
「…うん。」
(なんで、?僕も同じ気持ちなのに…)
“同性なのに、好きとか気持ち悪い”
「!?」
(え、僕…スバルちゃんのこと気持ち悪いって…。)
「…なんで、?」
「おかゆ、どうした?」
「僕、スバルちゃんのこと本当は好きなのに…」
「へ?」
「好きなはずなのに…」
(僕のことを好きって言ってくれた君を好きになれない…気持ち悪く思ってしまう…。)
「…あたしのこと好きなの?」
「…わかんない、」
「僕は、本当に君が好きだったのかわかんない…」
「…、」
君に好きと言って貰えて、最初の数秒は嬉しさでいっぱいだったはずなのに。
いつの間にか、君のことが好きじゃなくなった。
“手に入らない人”が僕の横に来ようとしても、僕はその人を受け入れることが出来ない。
ずっと、好きだったとしてもその好きがひっくり返って冷めてしまう。
数ヶ月後_
あの日を境に、僕と君の中で大きな溝ができていた。
君の横に立っていたはずの僕は、前のように窓側の後ろの方に今日も座っている。
君はというと…
僕の知らない女の子と2人でよく歩いている姿を見かける。
数ヶ月まで、僕がいたはずの君の横。
もし、君と友達にならないでずっとこの席で君を眺めていたら…
「…!」
突然、君と目が合ってしまう。
「…」
でも、君はすぐに目を逸らしてしまった。
そして、君は横にいるその子と仲良さそうに会話をする。
“手に入らないように、壊すまたは嫌われる”
きっと、皆はそうして手が届かないふりをし続けるのだろうか。
でも、僕は…
本当に手が届かなくなってしまった。
コメント
6件
リクエストでいろはス書いてほしいです。 内容は任せますがどちらかと言うとハッピーエンドでおねがいしたいです! あとフォローありがとうございます✨