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最強無敵の仮契約!?

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最強無敵の仮契約!?

41 - 第41話 用務員(2)

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2025年10月19日

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俺とぶつかった若い女性はいつの間にかいなくなっていた。こんなに素早く動けるのなら怪我の心配をする必要はなかったな。俺ばっかり謝ってたけど、女性の方も前方不注意でお互い様だった。大事にならなかったのは良かったが……なんか釈然としないな。


「あの……結城さん、大丈夫ですか?」


結城は緊張の糸が切れたのか、その場に膝をついた。ぶつかった女性も大概だが、結城の反応も意味が分からなかった。


「……泉宮さん、あなたは本当に運の良い方だ。あの方にあのような粗相をしてなんの咎めも受けなかったのだから」


「はぁ……? いや、運は良い方だけど。そんな……大袈裟な」


あの方とはさっきの女性か。咎めって……ちょっとぶつかっただけじゃないか。相手に怪我も無かった。そもそも、どちらかといえば向こうがいきなり飛び出してきたせいだろ。

どうやらあの女性は只者ではなかった模様。結城がビビって動けなくなってしまうほどの……どこかのお偉いさんの娘とかだろうか。面接日を間違えた俺が言えることではないが、なんでそんな人が休日の学苑にいるんだよ。


もうさっさと帰ろう。面接は予定通り受けさせて貰えることになったのだ。これ以上ここにいる必要はない。面倒くさい事に巻き込まれるのはごめんだ。

俺は結城に挨拶をして、この場から立ち去ろうとした。その時だった。先ほど女性が飛び出してきた通路の方から、複数の話し声が聞こえてきたのだ。声はどんどん大きくなり、こちらに向かってきている。またどこかのお偉いさん方じゃないだろうな。


女性のように出会い頭にぶつかるのを避けるため、俺は壁際ギリギリまで体を寄せた。なんと、結城も俺と全く同じ行動をしていて面食らってしまう。彼はこれからここにやってくる人物が何者であるか検討がついているのか。

大の男ふたりが壁に背中をぴったりと寄せて並んでいる姿は、側から見たらかなりシュールに映るだろう。しかし、俺たちは真剣だった。


「時雨……いくら腹が立ったからといっても、もう少し優しく言ってやっても良かったんじゃないか? 仮にもお前の従妹なんだし……悪気があったわけでもないだろう」


「はぁ? 知るかよ。こっちの予定も聞かないで勝手な真似しやがって。しかも断ってるのにしつこくあーだ、こーだと喚いて鬱陶しいったらなかったわ。あの女のせいで、ただでさえダルい会議が長引いてマジ最悪。従妹とか関係ねー。そんなの気ぃ使う理由になんてならないね」


「あははっ、時雨はそういう奴だよね。でもまあ、あれはお前じゃなくても腹が立つよ。事前に相手側のスケジュール確認するのが常識だろって。匠は人が良すぎるよ」


「だよな、悠生。どう考えても向こうが悪いよな。なーにがお食事会だっつーの。お前も匠も多忙な中わざわざ時間作って来たっていうのに、あの女のワガママにまで付き合う必要ねーよ」


相手側との距離が近付いていくにつれ、会話がはっきりと聞き取れるようになる。向かって来ているのは若い男……人数はおそらく3人。

会話内容から断片的に読み取れるのは、彼らは学苑で行われていた会議に出席していた。そして、そこで女性と揉めたということ……

ひょっとしてそれは、さっき俺がぶつかった女性ではないだろうか。確認の意図を込めて結城の顔を見る。


「結城さん、あの……」


「静かに。このまま……あの方たちが通り過ぎるのをじっと待っていて下さい」


「はぁ……」


結城の鬼気迫る様子に押されて、俺は何も言えなくなってしまう。女性が現れた時以上に深刻そうな雰囲気だった。これは大人しく従った方が賢明だろう。

一歩、また一歩と距離が縮まっていく。そしてとうとう、俺たちの目の前にその3人組は現れたのだ。


「会合が長引いたのは千鶴さんのせいだけじゃないけどな……」


「例の特待生候補……まさか『青持ち』とはな。俺たちも驚かされたよ……あっ……」


3人のうちのひとりと目が合ってしまう。その後、他のふたりも俺と結城の方へ視線を向ける。お互いの存在をはっきりと認識した瞬間だった。

結城が彼らに向かって会釈をしたので、俺もそれに倣う。さっきまで声しか聞くことの出来なかった相手の姿をはっきりと見ることが出来たのだが……思わず叫びだしそうになってしまうのを必死に堪えた俺は偉い。


「あー……びっくりした。学苑の人か……」


嘘だろ。『五十嵐悠生』がいる――――

俺と最初に目が合ったのは彼だった。五十嵐悠生といえば、言わずと知れた超人気俳優。彼が出演しているドラマや映画を何度も見たことがある。どうして彼がこんなところにいるんだ。彼らの会話に『悠生』と言う名前が出ていたのは気づいていたけど、まさか芸能人の五十嵐悠生のことだったなんて……


「ヤベー……あの女が待ち伏せしてたかと思ってビビったじゃん。あんたらも紛らわしい事すんじゃねーよ」


「だから時雨……そういう言い方はよせって」


五十嵐悠生に気を取られてしまったけど、残りのふたりのインパクトも強烈だった。彼らもどこかで見たことあるような気がするが思い出せない。芸能人である悠生と並んでいても引けを取らない存在感だ。


特にあの『時雨』と呼ばれている男……なんというか見た目が凄かった。悠生もイケメンだけど、それとは種類が違うというか……俺の頭では相応しい表現が思いつかない。とにかく現実離れした容姿だったのだ。

白に近い金髪に、赤みの強い瞳。これだけでも相当目立つだろうに、まるで美術品のように整った顔……均整の取れた体格。同じ男に対して使うには少し抵抗があるが『綺麗』という言葉が真っ先に浮かんだ。


結城は大人しくスルーしろと言っていたが、こんなの無理だろ。現れた3人が色んな意味で衝撃過ぎて、俺は目を離す事ができなかった。

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