コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
僕の名前は蒼。
そして、僕は天使。
え、?天使なんているのかって?
そりゃいるに決まってるじゃんw
僕の仕事は、死んだ人達を導くこと。
そんな仕事の様子を特別に皆に見せてあげるね。
꒰ঌꕤ︎︎┈┈✧︎┈┈┈┈▫ꕤ︎︎▫┈┈┈┈✧︎┈┈ꕤ︎︎໒꒱
『天使のお仕事。』
⚠ nmmn & 死ネタ(? 注意 ⚠
他にも、話によっては虐めや虐待、自虐や
病気なども出てきます。
あと、年齢設定ばらばらです。
本人様には一切関係ありません。
苦手な方はUターン。
※ 物語の中では線で視点が変わります。
꒰ঌꕤ︎︎┈┈✧︎┈┈┈┈▫ꕤ︎︎▫┈┈┈┈✧︎┈┈ꕤ︎︎໒꒱
第1話 〜自らの死〜
色鮮やかな花が咲き乱れ、雲ひとつない快晴。
そんな草原の真ん中には1本の川…
三途の川が流れる。
そう。ここは、この世とあの世の境目。
僕の名前は蒼。
そして、白い羽に白い服、
金色に輝く頭の輪っか。
見ての通り、僕は天使だ。
「あとはここを真っ直ぐ行けば大丈夫だよ。」
「ありがと、天使さんッ!バイバイッ!」
僕の仕事は死んだ人達を導くこと。
道を間違えると、あっちの世界にちゃんと
行くことが出来なくなっちゃうから。
「…さっきの子、まだ小さかったのになぁ。」
さっきの子は僕が川の向こう側へ送り届けた子。
まだ3歳くらいで、死んだことさえ理解できて
なさそうだった。
だから、小さな手をめいいっぱい僕に振って、
楽しそうに川を渡って行った。
僕の担当は若い人達中心だから、
死んだことを受け入れられない子や、
死ぬということさえもわかってない子は
そう珍しくない。
「…次の子を迎えにいかなきゃ。」
そう言って僕は、真っ青な空の中を飛んで
元の場所に戻る。
「…あの、…」
下に降りると、中学生くらいの少し
変わった格好をした男の子に声をかけられた。
きっと、次の僕の担当の子だろう。
「…あ、次の子か。ごめんね、待たせちゃった。
名前聞いてもいい?」
「…赤です。」
「赤くんね。大丈夫。ちゃんと向こう側まで…」
向こう側まで送り届けるからね。
そう言おうとした時、その子…赤くんが
僕の言葉を遮ってこう言った。
「…俺って、もう死んだの?」
とても不安そうな顔だ。
きっと、まだ死にたくなかったのに。
もっと生きたかったのに。
そう言うんだろうな…。
「…そうだよ。」
少し考えたけど、どう返せばいいか分からず、
そうとだけ答えた。
でもその後返ってきた言葉は、
僕の想像と違った。
「…そっか、良かった…。」
あぁ、そうか。自分で望んでここに来たのか。
その不安な顔は、もう元の世界に戻りたくない。
やっと死ぬことができた。
そんな顔だったのか…。
よくよく赤くんの体を見ると痣だらけだった。
ものすごく痛々しくて、見ていられないほどだ。
「やっと…解放されたんだ…。」
赤くんはそう言って、
さっきの不安そうな顔からは
想像もできないほど嬉しそうな、
そしてほっとした顔を見せた。
そうして、2人は川の方へと向かった。
歩いている時に、赤くんは
生きていた頃の話をしてくれた。
꒰ঌꕤ︎︎┈┈✧︎┈┈┈┈▫ꕤ︎︎▫┈┈┈┈✧︎┈┈ꕤ︎︎໒꒱
「お前さ、キモイんだよ見た目が。」
「そうだよ。消えろよw」
「目障りなんだよなw」
学校ではそんな言葉が飛び交う。
酷い時には暴力だってされる。
友達なんて居ない。
家では、
「あんたなんか産まなければ良かったッ!!」
そんな怒鳴り声が今日も家に響く。
「俺だってッ!
産まれてこなければよかったよッ!!」
そう。俺だって産まれたくて
産まれたわけじゃない。
それなのに、暴言・暴力のオンパレード。
毎日、体にも心にも傷が増えていく。
俺の体は生まれつき異常だった。
真っ赤な髪に犬耳にしっぽ、
そして左右で色が違う目。
明らかにおかしかった。
そんな見た目のせいで、勿論家族にも
クラスの人達にも虐められ、遠ざけられ、…
とにかく散々だった。
「もう辛いよ…。死にたいよ。」
自分の部屋で1人、何度も吐いた言葉。
そしてどんどん腕には傷が増える。
毎晩、辛くて吐きそうになる。
生きている意味も理由も分からない。
そんな自分が嫌いで、憎くて…
よく晴れたある日。
気がつけば学校の屋上に来ていた。
「…これで…全部終わる…。」
そうして俺は、柵に足をかけ、飛び降りた。
今の苦しみに耐えられず、
人生を自分の手で終わらせてしまった。
誰にも認められずに…
1人くらいには認められたかったな。
…なんて。
꒰ঌꕤ︎︎┈┈✧︎┈┈┈┈▫ꕤ︎︎▫┈┈┈┈✧︎┈┈ꕤ︎︎໒꒱
「そうだったんだね…。」
赤くんが話してくれた話を聞いて、
すごく胸が痛くなった。
家にも学校にも居場所がなかったんだな。
「…だから、やっと解放されて
嬉しかったんだ。」
「…でも、」
自分から望んでここに来る人は最近増えた。
でも、死んでよかった、なんて思ったまま
あっちの世界に行って欲しくない。
「…僕は、赤くんのこと好きだよ。
その見た目もおかしいなんて
ちっとも思わないし
すっごく可愛い子だなって思ったし…。」
「…へ?」
赤くんはずっと、誰かに認められたかったはず。
そう思って、出てきた言葉だった。
すると、赤くんは大粒の涙を流した。
「…ありがと…。」
川を渡る直前、赤くんはとあることを
聞いてきた。
「君の名前は?そういえば聞いてなかったよね。」
「…名前…?」
天使に名前なんて聞いても意味ないよ?
あの川を渡れば忘れるんだから。
…まぁ教えるけど。
「蒼だよ。」
「蒼ちゃんか〜!」
「蒼ちゃん…?」
このあだ名いいでしょ、
と自慢げにこっちを見る赤くんの笑顔が、
とても可愛らしくて、眩しかった。
「じゃーね!蒼ちゃんッ!ありがと〜ッ!」
そう無邪気に手を振りながら、
赤くんは川を渡って行った。
「蒼ちゃん…か。」
いつもなら、人を送り届けたあとは
憂鬱な気分になるけど、
今回は少しだけ気分が良かった気がする。
NEXT ♡50