テラーノベル
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コツコツコツ
自分の足音が大きく響く
威厳ある城の中を一歩ずつ踏み締めて進んでいく
緊張しすぎて体が少し強張る
王様に一人きりで呼び出されるのは初めてだ。いや、軍の隊長としてならこの間軍の隊員たちと呼び出されたか
俺の部隊の奴らと城の中でボードゲームをしたのがばれたのか?
いや、絶対に口外しないと誓ったしな
何か粗相でもしてしまったか
そんなことを考えていると、分厚い扉と、それすら突き破る 貴族たちの騒々しい声が聞こえてきた
重々しい扉が開かれると、多くの視線が自分に集まる
王に一瞬だけ視界を向ける。
前回来た時よりも少し王の頭が寂しくなっている。ストレスだろうか
まあ、そんなことは差し置いて王の前で頭を下げる
「王国第一騎士団隊長クルー、今ここに参上いたしました」
「良くぞきた、クルーよ」
「は、この度はどのようなご用件でしょうか」
「うむ、今回ここに呼んだのは他でもない。お前の腕を見込んで、お前をチキュウ侵略隊の隊長に任ずる」
「!?」
チキュウ、とはおそらく他の星のことだろう
噂では聞いたことがある
他の星に移住する計画がある、と中級貴族が言っていたが、まさか本当にあったとは
「チキュウ侵略隊、と申しますと?」
「うむ、お主も知っているとは思うが、この星はもう限界だ。今にも不浄の大地が迫ってきておる。そこで我々が考えたのは、他の星に移動することだ。そしてその星の隊長にお前が任命されたと言うわけだ。まあ、騎士団とは名ばかりだがな」
正直なところ頭がついていけない。この星が限界だったというのも初耳だ
「もちろん、やってくれるな?」
王様からの圧がすごい
ここで断ればおそらく、もう首はないだろう
だが、断るつもりは全くと言っていいほどない
騎士団に入ったのだって、家族や親しい人々を魔物から守るためだ
「はい、謹んでお受けいたします」
「その返事を待っていた。では、お前はたった今から、チキュウ侵略隊の隊長だ。」
わっ、と周りから歓声が上がる
「鎮まれ」
ピタっと歓声が止まる
「ではこの後、大臣から説明させる。別部屋におれ」
「は、それでは失礼致します。」
また長い廊下を歩かされ、部屋に案内される
ただの騎士団長には勿体無いくらいいい部屋だ。上級貴族並みの立場ではないと入れないんじゃないか?
「そなたには一月後からチキュウと言う星で生活してもらう。そこでは魔物はおらず、水も食料も、溢れるばかりにあるらしい。しかしそこでは、ニンゲンという種族が蔓延っているらしい。そこでそなたには、ニンゲンを滅亡させて欲しい」
自分たちが生きるために弱者は居場所を追いやられる。よくある話だ。まあ、今回は滅亡だが
「承知しました。」
「そなたは一月後にチキュウと言う星に行ってもらう。まず狙うのは、外界と離れているこのニホンという国だ。このニホンという国に潜伏し、機を見て暴れ出せ。我々ほど力は強くないが、頭が冴えるらしい」
小さな絵が描かれる。我々とは全然違う形だ
「そしてこれは、ニホンという場所の言語や常識が書かれた紙だ。お前よりも前にチキュウに偵察に行ったものからの情報だ」
お付きのものたちが何人も入ってくる
そして、全員が分厚い紙の束を抱えている
ドサッと音がするほどの紙が置かれる 。軽く自分の身長を追い越すほどの量がいくつも並ぶ
これを、一月で、、、?
「では、よろしく頼んだ。」
「、、、はい。」
、、、まあ、元々勉学は嫌いではないしこの星のもののためだ。死ぬ気で覚えよう
一ヶ月後
「クルーよ、準備はできたな?では早速、この星のためだ!新しい場所を手に入れてこい」
「はっ、承知いたしました」
意外と簡単な激励の言葉をもらい、城の外に出る
なんとか、言語と一般常識は覚えたが、ぎりぎりだ。これを全て完璧に覚えているニンゲンはやはり侮れないと思う
まあ、この後すぐチキュウへむかうので、弱音は吐いてられない
だが、ロケットに乗る前に、呼び止められる
「にいさま!」「お兄様!」
どうやら、妹と弟は見送りに来てくれていたらしい
親族や友人などの親しい人しか、ここにはこれない
「お兄様、チキュウ行っちゃうの?」
「ああ、お兄ちゃんは皆が仲良く暮らせるように、新しい場所を用意しなくてはいけないからな。
しばらく寂しい思いをさせる。」
「お兄様、帰ってくる?」
少し不安そうな声で弟が尋ねる
安心させるように優しく笑うが、まだ心配そうだ
「もちろん、お兄ちゃんは最強だからな」
「、、、そっか、じゃあ僕待ってる」
「えらいぞ。よく、父上の言うことを聞くんだぞ」
「はい!」
元気な返事をして、いつものように笑う
「おい!」
声の方向を見ると、親友がいた
「リュウ、いたのか」
「いや、いたよ!そんなことより、おれより先に行くからって、調子に乗るなよ!!!」
「乗らないよ」
「おれも、、、おれも、すぐお前に追いつく!だからお前は、ライバルとして待ってろ!!」
「わかってるさ。俺がいなくても、鍛錬サボるなよ?」
少しおちょくるように言うと、すぐに大きな声が返ってくる
「ああ!もちろん!」
「あ、俺の部隊の奴らを頼む」
「ああ、わかった。ふっ、お前が帰ってくるのが遅いと、おれに心変わりしちまうかもな?」
「ふふ、そんな奴は一人もいないさ」
「、、、俺には無理って言いたいのか?」
少し不貞腐れとように口を尖らせる
「いや、ただあいつらは俺一筋だからな」
「慕われてるもんなあ」
少し、お互いを見つめ合う
すると、リュウは腰のよく手入れされた剣を首に当ててくる
騎士なりの誓いの儀式だ
だが、残念なことに俺の腰に剣はない
仕方ないので、そのまま手を首に当てる
「お前、剣は?」
「持っていけないんだ。まあ、大丈夫だ、手刀でやれる」
「やれるじゃねえよ!」
「じゃあ、またな」
「また、な!」
少し名残惜しさを感じつつ、別れを告げる
後ろに気配を感じて振り返ると、父上がいた
「お前は、我が家の誇りだ」
「ありがとうございます」
「皆のためにも、、、この星のためにも、絶対にチキュウを手に入れてこい!」
「はい!」
いつも厳格な父上が、今までにないほど熱く言う
「では、行ってまいります」
皆んなに手を振ると覚悟を決め、ロケットへ乗り込む
皆んな、不安そうな顔をしているものはいない
そりゃそうだろう
この国の中で最も強い力を持っているのは俺だ
俺が負ければ、あとはない
機を引き締めねば
俺を信じている奴らのためにも
久しぶりすぎてタグの付け方忘れた〜
何つければいいかわからん!
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