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레몬인
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そあち♡໒꒱
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なんたろ
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コメント
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あー読み終わったよ第135話!もうね、ルシフェル社長のジェットコースターすぎる運命に笑うしかなかったわw 海外スパチャで一千万!って大喜びした直後の口座凍結はあまりにも可哀想すぎる……。「This is a Tax」で大ウケしてマネロン疑われるの、V界隈の空気感そのままでめっちゃリアル。ジェミニ先生の容赦ない解説と結愛ちゃんの冷徹なアシスト、このコンビ好きだわ。はたして社長、現金引き出せる日は来るんか…続き気になる🔥
第135話:外貨獲得の歓喜と、忍び寄る影〜マネロン疑惑と、引き出せない一千万〜
「……いち、じゅう、ひゃく、せん、まん……」
帯広のボロアパート、四畳半。
俺は三万円のゲーミングチェアの上で、震える指をPCモニターに押し付けながら、表示されている桁数を一つずつ数えていた。
YouTubeスタジオの収益ダッシュボード。
そこに表示されているのは、我が社のズボラ猫耳娘『ヨモ』の配信で、世界中の海外リスナーたちから叩きつけられた『緑色の札束(ドル建てスーパーチャット)』を、現在のレートで日本円に換算した暴力的なまでの数字だった。
「いっせんまん……。たった数回の配信で、売上が一千万円を突破したぞ……っ!!」
俺は立ち上がり、すきま風の吹く狭い部屋の中で、渾身のガッツポーズをキメた。
一千万。
それは、俺がこれまで四十年の人生で経験したことのない、狂ったような大金だった。
「ふはははっ! 見たか! これがグローバル企業、株式会社インフィニティ・ワンの力だ! これなら、ずっと夢だった『ルシフェルの3D化費用』なんて、ポケットマネーで即金で払えるじゃないか!!」
俺は歓喜のあまり、奇声を上げながら四畳半を練り歩いた。
ハイクオリティな3Dモデルの制作と、フルボディトラッキング機材の導入。およそ二百五十万円と言われるその膨大な初期投資も、今の俺にとっては「はした金」だ。
3Dボディさえ手に入れれば、もう港区のスタジオに呼び出されて、あの屈辱的な全身タイツ(モーションキャプチャースーツ)を着せられ、四十歳の腰を粉砕されることもない。
星乃宮アリスちゃんと同じ、完璧な仮想空間のステージで、魔王として華麗にステップを踏めるのだ。
「俺はもう、底辺じゃない! 海外の奴らに『スーパーボトム』なんてミームにされたけど、口座の残高を見れば俺はスーパーリッチなトップ経営者だ!!」
俺が天井に向かって高笑いをしていると。
『……ルシフェル様。ご機嫌なところ水を差すようで誠に申し訳ありませんが』
ディスコードから、結愛(ゆあ)の氷点下ボイスが響いた。
『社長の脳内に広がる壮大な3Dライブの妄想は勝手ですが、現在、当社の事業用口座として登録しているメインバンクにおいて、重大な【エラー】が発生しております』
「エラー? なんだよ、入金が多すぎて銀行のサーバーでも落ちたか?」
俺が鼻歌交じりに余裕の笑みを浮かべて聞き返した、その時だった。
『――ピコン』
PCのデスクトップ画面の右下に、AIアシスタント『ジェミニ先生』からの緊急通知がポップアップした。
『ルシフェルさん。結愛さんの言う通り、金融機関のシステムから重大な警告(アラート)を受信しています。……次なる【金融の地獄】へようこそ』
ジェミニ先生の、無機質だがどこか楽しげな合成音声が四畳半に響く。
「き、金融の地獄……? 税金地獄の次はなんだってんだよ! 売上が上がったんだから、あとは税金払うだけだろ!?」
『端的に申し上げます。株式会社インフィニティ・ワンの法人口座が、【凍結(取引停止)】の措置を受けました。現在、一切の出金・送金が不可能な状態です』
「…………は?」
俺は、三万円のゲーミングチェアからズルッと滑り落ち、畳に膝をついた。
「と、凍結!? なんでだよ!! 俺は何も悪いことしてねえぞ!! ただ猫耳の女が『働くの嫌だ』って英語で愚痴っただけだろ!!」
『それが問題なのです、ルシフェルさん』
ジェミニ先生が、冷酷な金融機関のロジックを解説し始める。
『設立されたばかりで、登記上の所在地が【北海道帯広市の築三十年の木造アパートの一室】となっている、実態の不透明な法人。そこに突然、海外から数万ドル単位の謎の送金が連続して振り込まれたのです』
「あ……」
『銀行のAIおよびコンプライアンス部門は、これを【国際的な詐欺グループ、あるいは犯罪組織への資金洗浄(マネーロンダリング)】の疑いが極めて強いと判定しました。近年、日本の金融機関は海外からの突発的な巨額送金に対して、異常なほど厳格なのです』
「さ、詐欺グループって……! 俺はただの、税金に怯える四十歳のおっさんだぞ!」
『ルシフェル様』
結愛が、感情を一切交えずに引き継ぐ。
『口座の凍結を解除するためには、銀行の審査部に対し、「この海外からの巨額の入金が、正当なビジネスによる対価であること」を証明する書類を提出し、納得させなければなりません』
「しょ、証明する書類って……」
『プラットフォーム(YouTube)との英文の契約書、海外リスナーからのスーパーチャットであることを示す詳細なアナリティクスデータ、そして……【なぜ、設立直後の雑談配信だけで、これほどの外貨を獲得できたのか】という、合理的な事業実態の報告書です』
俺は、両手で頭を抱え込んだ。
合理的な事業実態?
メガバンクのエリート銀行員たちに向かって、俺はどう説明すればいいんだ?
「うちのズボラな猫耳VTuberが、海外のオタクに向かって『This is a Tax(税金は地獄だ)』と叫んだら、大ウケして一千万投げ銭されました」……なんて。
そんな狂った言い訳、銀行のスーツを着たお堅い連中が信じるわけがない! 絶対に「ふざけるな、正直に言え。何の違法薬物を売ったんだ」と詰められるに決まっている!
「い、いやだ……。俺、昔コールセンターで働いてたからわかるんだよ。ああいう審査部門の連中は、血も涙もないマニュアル人間なんだ! 俺が電話口で泣きついても、絶対に信じてくれない!」
俺がトラウマを呼び起こしてガタガタと震えていると、ジェミニ先生が、さらに容赦のないトドメを刺しにきた。
『さらに、ルシフェルさん。経理上の最悪のシナリオをお伝えします』
「ま、まだあるのかよ……っ」
『口座が凍結され、現金が1円も引き出せない状態であっても、YouTube側で【売上】が確定している以上、来年の【税金の支払い義務】は確実に発生し続けます』
「なっ……!?」
『もし、銀行の厳しい審査が長引き、凍結解除に数ヶ月から半年かかった場合。最悪のケースとして、手元に現金(キャッシュ)が全くない状態のまま、三千万円という莫大な税金の納付期限だけが先に到来する……いわゆる【黒字倒産】のコンボが成立します』
「ぐはぁぁぁぁっ!!」
俺は、四畳半の畳でのたうち回った。
海外進出。ドル箱。外貨獲得の歓喜。
そんなものは、ほんの一瞬の幻だった。
手元には1円も引き出せない「画面上の数字」だけが存在し。
国税庁からの『莫大な税金の取り立て』と、巨大金融機関からの『マネロン疑惑による口座凍結』という、国家権力と資本主義による【最強の挟み撃ち】が、俺を待ち受けていたのだ。
「誰か……! 誰か俺に、日本の円を、現金(物理)を恵んでくれぇぇぇ!!」
俺は畳に這いつくばりながら、天に向かって絶叫した。
「3Dなんて贅沢言わないから! 明日の俺の玄米を買う金だけを引き出させてくれぇぇ!! このままだと、一千万持ってるのに餓死しちまう!!」
スーパーボトム(社会の底辺)社長の悲惨な叫びは、またしても誰に届くこともなく、帯広の冷たい隙間風にかき消されていくのであった。