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「……あぁ、もうだめね。」
俺の前にいる女の人が言った。
「シュンヤもまた……”シャドウ“にやられたのね。」
シャドウ というのは、正式名称 『シャドウ・ピルスオフ』 。この世界で1番の害悪の黒い人型の物体。悪いこと(万引き、いじめ、虐待 etc.)をした自覚があるが、『自分じゃない、自分じゃない』と嘘を自分に言い聞かせると、その人の影からでてくるだろう。
人の影からでてきたらその人はどうなるのって?その人はとても良い子になれる。だが、悪いことを許せなくなる。例えば……動物を殺して食うとかね。ほとんどの人が餓死で亡くなる。
そして、そんなシャドウを世界から滅ぼすため、俺たちはシャドウの敵として戦う。簡単に言えば世界のヒーローさ。いろいろチームがあるのだが、全てをまとめていうにならば、名前は 『シャイン ラップアラウンド』 。基本的に 光 を使うのが1番良いのだが、闇を使って追い込むという残酷なやり方もある。
俺のチームは、2個目の方だ。
「この子は私のバディだったの。新人クンだったかしら、今日から私のバディね。名前は?」
「……あっ、えと 五十嵐陽仁【イガラシハルヒト】です。」
「そう。私は愛子。よろしくハルヒト。」
愛子って、すごく有名な方なんじゃないか。すごく強い方なんじゃないか。そんな方のバディになってしまった、嬉しい気持ちと なんで俺が?という気持ちが混ざり合って、薄汚い色になった。
愛子さんは闇生扱【ヤミセイキュウ】、俺は特殊加工された銃を2個持って、シャドウを倒しに戦場へ向かう。闇生扱というのは、闇性能を持つ化け物を自分で出し、扱う。例えるなら操り人形みたいなものだ。
俺と愛子さんは順調にシャドウ達を倒していった。チームの中では1番相性の良いバディとして知られていた。弱いものも、強いものも倒せるようになってきて、どんどん強いシャドウばっかり倒すようになって大変だ。
「おいッそっちをやれ!!」
「は、はい!」
戦闘中の口は悪くて…いや、いつも通りか。でも不思議と悪い感じはしなかった。愛子さんも、悪気はないんだと思う。
シャドウ を倒せという依頼が来るまでは暇で、愛子さんは「暇なら鍛えれば。訓練とか。」と言ってきた。だから筋トレして体力作りしたり、俺は銃を扱うから、小さな的でも撃てるように、命中できるように練習したりした。アドバイスなどをくれるのは愛子さん。説明が下手だから何言ってるかよくわかってないけど、必死に説明してくれる。
「お前は銃を撃つとき猫背になりすぎている。」
「はッ…すみません……直します。」
「……?低い姿勢で撃つことができるから良いと思うのだが…?」
言葉が足りないからたまに誤解しちゃうときもあるけど、愛子さんは優しい気持ちを乗せた言葉をくれる。だから、嫌な気持ちにならず訓練ができる。たまに 何度言えば分かるんだ と怒ってくるときもあるけど、私の伝え方も悪いよな。と言ってくれる。
そんな俺に後輩ができた。バディではないが、アオイという同じチームの女の子だ。水色のジャージメイドっぽい服を好んで着ている。まだ誰もバディになってくれない、なれないそうで、戦いの練習ばかりしている。アオイはなにも使わず、 素手 で戦いに挑む。殴ったりすることが得意らしい。ちょっと怖いが、俺によく構ってくる。
「ハルヒトせーんぱいっ♪」
「アオイ、どうした?」
「ふふっ今日もお勉強しに来ました♪」
アオイの稽古は俺がみている。愛子さんのほうがいいって言ったんだけど聞いてくれなかった。
シャドウの弱点は個体によって違うから、素手で挑むアオイには弱点がわかるスコープを渡した。光のオーラが十分にあればわかるはずなにだが、アオイは光のオーラが特別少ないから、このスコープがないとみえない。……というか、光のオーラが少ないというか、闇のオーラが少し多めな気がする。
極稀に、弱点がないやつがいるが気にするな。そういうやつは大体まだ弱点が自分でわかってないだけだから。アオイが戦えるならそのまま戦え。そう教えた。あってるのかは分からない。だけど、俺の言葉で誰かが強くなれるなら。と考えると嬉しくて、つい言葉が出てきてしまう。
今までで一番強くてデカいシャドウと戦うことになった。でもまだボスではない。負けやしないか、少し不安だったが、愛子さんがいるから安心して戦える。アオイも、その場に一緒についていくことになった。ちょっと面倒と思ってしまった。だってアオイは闇のオーラが多めだったから、シャドウが仲間だと思って近寄ってくる可能性が高かった。
長い間戦って、まだ戦って、一番でかいシャドウだけが残った。
身体は硬くて銃弾はしっかり狙わないと跳ね返されてしまう。
「弱点は目だッ!!ハルヒトっ!!」
「はいッ!!」
緊張して、手が震えて、銃の弾がそのシャドウの腕に当たってしまった。
「ッッ…!!」
「ハルヒトッ!!」
グシャッ__、
その音が聞こえた途端、シャドウが倒れた。目をアオイが潰したみたいだ。でもその0.1秒も前に、愛子さんがシャドウに潰された。俺がちゃんと撃てなかったらから……。愛子さんは胴体の半分がえぐられた。意識はまだ少しだけあるみたいだが、もう肌は真っ青だ。俺は最後に、愛子さんの手をしっかり握った。ここに愛子さんが生きていたことを忘れないように。肌が冷たくなっていくのを感じながら。
「……あぁ、もうだめか。」
あの日と同じ。ずっとみてたんですよ。うしろから。
「アオイ、今日から俺のバディな。」
苦しそうな笑顔で、あなたは涙を流しているのも気づいていないんですね。そして、あなたの影からシャドウがでていることも……
はい、よろこんで。