昨日の夜までは普通にキャンプをしていたはずだ。それがなぜ、全裸で手を縛られ、こんなところで寝ていたのだろう?
とりあえず、なんとか車まで戻らないと。ほんとは助けを呼びたいところだが、誰がこれをやったかわからない以上、うかつに人を信用できない。幸い、両手は縛られて動かせないが、足は縛られていないので、移動することはできる。
「よいしょ……」
問題はここがどこかわからないことだ。周りの景色から見て、キャンプ場の近くだとは思うけれど……。とにかくわかる場所に出るまで歩こう。そうすればきっと帰れるはず。しかし、歩いてみてわかったのだが、どうやらこのあたりはかなり山奥らしい。道らしきものはあるが、舗装はされておらず、草が生い茂っている。これでは帰り着くまでに時間がかかりそうだ。でも、ここでじっとしても仕方ない。
そう思ってしばらく歩いていると、開けた場所に出た。そこには古びた神社があった。
「……こんなところに神社?」
こんなところに神社なんてあっただろうか。いや、そもそもこんなに大きい建物なら見覚えがあるはずだけど……。やっぱり遠くに連れてこられたのかな? でも、キャンプしているとき、そんなに周りを調べたわけじゃないから……。疑問は尽きなかったが、とりあえず、何か手がかりがないかどうか探ってみる。
すると、境内の奥の方で物音がした。誰かいるようだ。もし襲われたらまずいと警戒したが、出てきたのは猿だった。
「なんだ……」
猿を見てほっとする。刃物を持った人間、とかじゃなくてよかった。でも、猿ってけっこう凶暴じゃなかったっけ? 猿はこちらを一通り観察した後、私の方に近づいてきた。
「ちょ、ちょっと待って!」
逃げようとしたが、体が動かない。猿はゆっくりと私に近づき、おもむろに手を伸ばしてきた。
「ひいっ……」
思わず目をつぶるが、特に何かされた感じはなかった。あれ、と思いながら目を開けると、猿は自分の股間をいじりながらこっちを見つめている。
「な、なに?」
猿は答えず、ただひたすら自分のモノをしごいている。
「あ、あの、もういいよね?」
恐る恐る声をかけても反応はない。もう行こう。そう思い一歩踏み出すと、急に猿が飛びかかってきた。
「きゃあっ!!」
押し倒される。猿はなおも執拗に股間を刺激し続けている。
「やめてよ!」
猿を突き飛ばしたかったが、両手が縛られていてうまく動けない。
「おねがい、やめて!」
必死の懇願にも聞く耳を持たず、ひたすらこすり続ける猿。すると……
びゅるっ!っと勢いよく白い液体が飛び出した。それは私の体にかかり、私は呆然とした。
「あ……」
まだ興奮が収まらないのか、猿はまたも擦り始める。
「ちょ、ちょっと……いい加減にしてよ!」
いくら叫んでも猿は止めようとしない。そして再び射精する。今度は私の胸にかかる。なんなの? 生暖かい感触に顔をしかめていると、猿はゆっくりと私に近づき…… えっ、うそでしょ!? (つづく)