テラーノベル
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舜太は、昔から誰にでも好かれる。
メンバーに頭を撫でられても、肩を組まれても、舜太はいつも笑っている。
今日だってそうだった。
「舜太、こっち来て!」
「分かった!」
呼ばれた舜太が、楽しそうに駆けていく。
そのまま、メンバーと目を合わせて何か話している。
周りから笑い声が聞こえた。
俺は、いつものことだと思っていた。
……そう思っていたはずだった。
「柔太朗くん?」
スタッフさんに呼ばれて、顔を上げる。
「次、舜太くんと撮影で」
「…はい」
舜太の方を見る。
まだ笑っている。
なんだろう。
胸の奥が妙にざわつく。
別に、舜太が誰と仲良くしようが自由だ。
俺が口を出すことじゃない。
それなのに。
「…なんか嫌だな」
自分で言って、自分で驚いた。
何が嫌なんだ。
自分でも分からない。
その後、舜太が俺のところにやってきた。
「柔!次一緒や!」
「うん、知ってる」
「今日なんか静かちゃう?」
「そう?」
「うん、いつもと違う…」
「…そんなことないよ、」
舜太が笑う。
その笑顔を見た瞬間に、さっきまでのモヤモヤが消えた。
……なんでだよ。
俺はステージの上では「王子様」なんて呼ばれる。
いつだって笑っていられるし、余裕があるように見せることだってできる。
なのに。
舜太の前では、どうしてこんな簡単に調子を崩されるんだろう。
その日の夜。
ベットに横になっても、今日のことが頭から離れなかった。
舜太が笑っていたこと。
メンバーと楽しそうにしてたこと。
それを見て嫌だと思ったこと。
「俺、嫉妬した…?」
口にした瞬間、なぜか納得してしまった。
そうか。
嫉妬だったのか。
気づいてしまえば簡単だった。
……でも。
「なんで舜太に?」
その答えだけは、まだ分からない。
しばらく迷ったあと、俺は舜太に電話をかけた。
数回のコール。
『もしもし?』
「…舜太?」
『どーしたの?』
いつも通りの声。
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それだけで、少し安心する。
「今日さ、」
『うん』
「…俺、ちょっと変だったよね」
『やっぱり?』
思わず笑った。
やっぱり、気づいてたんだ。
『なんか機嫌悪かったじゃん』
「……ごめん」
『え、なんで謝んの?』
言うか迷った。
でも、もう誤魔化すのも嫌だった
「…嫉妬した」
『……え?』
電話の向こうが静かになる。
「…今日、舜太がみんなと仲良くしてんの見て…なんか嫌だった」
自分で言っておきながら、恥ずかしくなる。
「自分でも、なんでこんなこと思ったのか分かんなかったけど」
少し息を吐く。
「たぶん、嫉妬」
しばらく返事がなかった。
『…柔が?』
「うん」
『俺に?』
「そう」
また沈黙。
舜太は今、何を考えているのだろう。
『…なんか、意外や』
「……俺だって、嫉妬ぐらいするよ」
『…そっか』
その声が、いつもより小さかった気がした。
「じゃあ、もう寝る?」
『うん』
「おやすみ、舜太」
『…おやすみ、柔』
通話を切る。
スマホを置いて、天井を見る。
言ってしまった。
でも、不思議と後悔はなかった。
ただ、一つ気になるのは__
最後らへんの舜太の声が、いつもより少しだけ違って聞こえたこと。
「…気のせいかな」
その答えを知るのは、もう少し先のことだった。
コメント
1件
読み終わりました…!嫉妬に気づく柔太朗くんの心情がすごく丁寧に描かれてて、胸がぎゅっとなりました。特に「自分で言って、自分で驚いた」ってとこ、すごくリアルで好きです。電話で素直に認めるシーンもドキドキしたし、最後の舜太くんの声の違和感が気になりすぎる…!続き、めっちゃ気になります🤍