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……それなのに、以前のように、会う必要があるのか? と。今日はその疑問を口にしなかった。
(なぜか、なんてそんなの……少し、楽しいとか思ってるからだ、最低)
どの口で航平を好きだと言ったのか。もしかして、今の頼りなく揺れる自分に優しくして、そしてそばにいてくれる。そんな相手なら誰でも好ましく思うのだろうか。
はたまた、朧げな記憶の初恋の人に重なる部分があるからなのだろうか?
(ほとんど覚えていないのに?)
どちらにせよ、このわずかな時間を少しでも心地よく感じてしまっている自分が、ひどく恐ろしかった。
そうして、集合ポストを確認した後に、振り返ると。
まだそこには優陽の車が見えたから、柚は急いで自分の部屋の前へと歩き鍵を開けた。
***
帰宅して電気をつける。 誰もいない小さな部屋に「ただいま」と呟いた。
今日は暇な時間に店のミックスサンドを既に食べたので、本来であれば、このまま入浴すれば一日が終わる。
最後の最後でフル回転させた頭だってホッとさせたい。
給湯器のスイッチを入れ、脱衣所といえるスペースはないものだから玄関を入ってすぐのユニットバスの前で服を脱ぎ捨てシャワーの蛇口を捻る。
そう、本当ならそれで終わる一日のはずなんだけど。