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Mist-404
52
魔法で作られたバリケードと木製の机越しに、ウパパロンとめめは椅子に座り、対面する。
円状にもバリケードはあり、向こうには数多の民衆でガヤガヤとしている。
そこには、めめに仕えるメイドも、ウパパロンに仕える執事もいた。
「貴方が…めめ様で間違いないでしょうか?」
ウパパロンはそう問いかける。
めめは微笑み、肯定した。
「私こそがめめです。」
「モルス財閥のトップ…とでも言えばいいでしょうか。」
「モルス財閥…聞いたこともないですね。」
ウパパロンの表情が怪訝そうなものに変わる。
「…ふふ、無理もないでしょう。」
「私は今まで一人で生きていました、貴方達に情報を流したり…渡すこともしませんでしたから。」
「…それはなぜ?」
ウパパロンは机に、駒を動かすかのように指を置いた。
「何者かも分からない貴方に情報を渡すなど、無粋だと思いませんか?」
「民衆の方々にもそれは言えます。」
「私の情報を得たいのなら、徹底的に調べ上げるか…」
めめは笑う。
「等価交換を、お願いしますね?」
ウパパロンはなんとも言えぬ表情を浮かべる
「…貴方は…」
ウパパロンは口を慎んだ。
「いや、今はやめておきましょう」
「…ここからが本題です。」
「めめ様、貴方は…世界にどう貢献するのでしょうか?」
「私は…」
「皆様の平和を、お守りするのが役目です。」
めめは笑った。
表情を変えず、ウパパロンの返答を静かに待つ。
「…なるほど。」
「それは、悪を滅ぼすこと?民衆を戦えるようにすること? 」
「…どちらでしょうか。」
「…私は教えましたよ、ならば次は_貴方の番でしょう。」
「貴方はどうやって、この世界に貢献しているのですか?」
ウパパロンは再度怪訝そうな表情をする。
めめのメイドを除く民衆はみな、ウパパロンに眼差しを向ける。
それが良いものか、悪いものかはどちらにも分からない。
「私は、イロニア財閥と共にリィン・システムの研究をしています。」
「リィン・システムを一般の方も持てるようにし、タヒという概念を実質的に消し去ること_」
「それが目的です。」
「_へぇ」
めめは目を細める。
(…タヒを消し去る。)
(…本当に正しいことなのでしょうか?)
___
ウパパロンはめめの表情をよく観察する。
眉間にしわが寄っていないか?目はこちらを見ているか?
じっくりと見なくてはならない。
(…私は、できることならば_”タヒ”なんてもの消してしまいたい。)
(_相手がそう思っているとは限らない、が。)
(…そう思っていないのなら…彼女は冷酷に違いない。 )
(…だって死は…数多の悲しみを連鎖させてきた”悪”だから。)
___
沈黙。
それは民衆にとって一番の退屈である。
二人には届かぬ怒号が響く。
「早くリィン・システムを実現させろよ…」
「黒髪のあいつはなんなんだ…?」
「…イロニア財閥も何してんだよ…?リィン・システムがそんなに難しいってんのか?クソが。」
何も知らぬ者のガヤ。
それは双方に仕えるものとしても酷く耳の痛い声であった。
小柄なメイドが怒りで震える。
そもそもめめはあまり民衆に注目されていないことに。
(…なんで、なんでめめ様が…)
(めめ様は立派なお方なんですよ…?なんでウパパロン様にばっかり注目するんですか…?)
「………」
そんなメイドの肩に、髪に小さく白いリボンを付けたもう1人のメイドが優しく手を置き、
「まぁまぁ、落ち着いてください。」
「今は震えて待つべきじゃありません。」
「めめ様を信じましょう。」
そう不器用になだめた。
ウパパロンの執事も、俯いていた。
(…主従関係で繋がっていることは否定できません、ですが…それよりも…信頼の方が強い。)
(…彼等は何も分かっていない…ウパパロン様がタヒを…どれほどこの目で見てきたのか。)
執事は理性で、思いを押し殺した。
___
「…へぇ?今、言わば”鎖国”を解いた状態のモルス財閥と、私と協力関係にあるイロニア財閥が会談を?」
イロニア財閥当主_”レイラー”は、書斎でリィン・システムに関する記録を読み込んでいた。
だが、財閥同士の会談に食いつき、執事の方を見やって、少しだけ笑った。
「…ふふ、面白い。サイレントドローンを飛ばし、様子をカメラで写して頂戴な。」
執事は少し困ったように言った。
「…り、リスクもありませんか?」
「なに、ドローンですよ。」
「壊されるリスクはあれど…それは民衆に魔法使いか、銃使いがいればの話。」
「それも、遥か上空に滞在させれば問題ないと思いますけれどね。」
「…は、はぁ。」
「…捲し立てるようにしてしまいましたね、すみません。」
「…モルス財閥当主とやらの姿が気になるもので。」
「分かりました、レイラー様。」
ドローンは音を出さず飛んでいき、魔法陣の上空で停止する。
画質の良いカメラが会談を映し、レイラーは書斎のソファに腰掛けたまま、それを楽しそうに見守る。
(…私はリィン・システムに興味があるだけで、会談に出ることはありませんが_)
(こういったものには、積極的に耳を傾けなければなりませんからね。)
「…ふふ。」
「…やはり、面白いですね。」
コメント
3件

こういう感じの物語少ないからありがたい……
うわあ第2話もめっちゃ面白かった…!✨ ウパパロン様とめめ様の会談、お互い探り合っててすごく緊張感あってドキドキしたよ😭💕 めめ様の「等価交換」のところとか、クールすぎて無理…🥺 それにウパパロン様が「死を消し去る」って目的に真剣なのも伝わってきて、でもめめ様はちょっと疑ってるっぽいのが気になる〜👀 リィン・システムって何なんだろう…次回が待ち遠しすぎます!作者様天才すぎです🌸💫