テラーノベル
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第7話 「一回壊れないと、わからない」
次の日の《Nocturne》は、やけに静かだった。
誰も悪くない静けさ。
でも、空気が重い。
prとtgは、いつも通り同じ店にいるのに――
一度も目が合わなかった。
「……おい」
mzが低く言う。
「何あれ」
カウンターの端。
prは無言でグラスを拭いている。
tgは少し離れた場所で、注文を運んでいる。
距離がある。
意図的な距離。
「昨日のアレか」
akがぼそっと言う。
「ガチでやばいやつ?」
mzは短く息を吐く。
「壊しにいってるな」
その日の客は多かった。
忙しい。
だから、余計に会話が減った。
減ったというより、避けている。
prが。
tgが。
きっかけは、小さなことだった。
「tg、それこっち」
prが言う。
「……うん」
でもその声は、いつもより一拍遅い。
一拍遅いだけで、こんなに冷たくなる。
休憩中。
裏口。
二人は同じ場所にいるのに、距離がある。
「昨日のこと」
tgが言う。
prは答えない。
「……俺さ」
沈黙。
「prちゃんといるの、嫌じゃないよ」
prの指が止まる。
「でも」
そこが問題だった。
「どうしたらいいか、わかんない」
prはようやく口を開く。
「じゃあやめるか」
tgの顔が一瞬だけ固まる。
「え」
prは続ける。
「わかんねぇままやるくらいなら」
「……」
「戻した方がいい」
その言葉は、 正しいのに一番痛い。
tgは少し笑った。
でも、笑えてない。
「それ、本気?」
prは視線を逸らす。
「……ああ」
嘘じゃない。
でも本音でもない。
沈黙。
長い沈黙。
そして――
tgが小さく言う。
「じゃあさ」
prが見る。
tgはまっすぐだった。
でも、少しだけ震えてる。
「俺、prちゃんのこと好きじゃなかった方がよかった?」
その瞬間。
prの呼吸が止まる。
「……それは違う」
やっと出た声は、かすれていた。
tgは続ける。
「じゃあなんでそんなこと言うの」
prは言えない。
言ったら全部崩れる。
でも、もう崩れてた。
最初から。
「……お前が」
prが言う。
「中途半端だからだろ」
tgの目が揺れる。
「俺も」
prは続ける。
「どうすればいいかわかんねぇんだよ」
「好きって言ったあとが、こんなに面倒だと思わなかった」
その言葉で、tgの表情が変わる。
少しだけ、傷ついた顔。
でも怒りじゃない。
もっと嫌なやつ。
“どうにもならなさ”の顔。
「……そっか」
tgが小さく言う。
そして、一歩下がる。
その一歩が、やけに重い。
「じゃあさ」
tgは笑う。
無理やり笑う。
「やっぱ戻す?」
prの胸が痛む。
その時。
カウンターの奥から声。
「……お前ら、バカか?」
mzだった。
全員が振り向く。
mzはため息をつく。
「好き同士で一番面倒なことやってるな」
「壊すとか戻すとか」
「そんなの意味ねぇだろ」
静寂。
akも珍しく黙っている。
atも見ているだけ。
ktyは心配そうに手を止めている。
mzは続ける。
「わかんねぇなら、ちゃんと話せよ」
「勝手に終わらせるな」
その言葉で、prが少しだけ動く。
tgを見る。
tgも、見ていた。
でも――少しだけ距離がある。
prは一歩近づく。
tgは動かない。
でも、目は逸らさない。
「……なぁ」
prが言う。
「俺、お前と離れたいわけじゃねぇ」
tgの喉が動く。
「でも」
prは続ける。
「どうしたらいいかもわかんねぇ」
沈黙。
tgは小さく笑う。
今度は少しだけ本物。
「それ、俺も」
そして――
二人とも気づく。
壊れたんじゃない。
まだ壊し続けてる途中だ、と。
でもその時点で。
もう戻る場所は、少しずつ消えていた。
続く
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♡押さなかったら分かってるよな(*^-^)?
こちとら受験のストレスで死んどるんじゃ、
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コメント
2件
一瞬まぜたくんナイス!って思ったけど最後のめっちゃ気になる~ ♡押しました💦!
寺島あおいです。第7話、読ませていただきました。 「好きって言ったあとが、こんなに面倒だと思わなかった」――この一言に全部詰まってましたね。気持ちを伝えた先にある距離感の描き方が本当に繊細で、読んでいて胸がぎゅっとなりました。mzさんの「壊すとか戻すとか、そんなの意味ねぇだろ。ちゃんと話せよ」という台詞、あれがなかったら二人はもっと深みにはまってたんじゃないかな。まだ壊し続けてる途中、という終わり方も印象的でした。続きが気になります。素敵なエピソードをありがとうございます🌷