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無限城の凍てつく空気のなか、童磨の冷徹な扇が胡蝶しのぶの喉元に迫る。毒は効かず、彼女の体力は限界に達していた。「さよなら、しのぶちゃん」という残酷な慈悲が紡がれようとしたその瞬間、次元の裂け目から強烈な電子音が響き渡った。「バイオ粒子、チャージ!」
爆発的な光とともに、原色に輝く5人の戦士がしのぶと童磨の間に割って入る。突如現れた異質な存在に、上弦の弐も思わず手を止めた。
「何だい? 派手な格好をした人間が急に……」
童磨が訝しげに目を細める間もなく、郷史朗、レッドワンの鋭い声が飛ぶ。「卑劣な悪事は許さない! 超電子戦隊バイオマン!」
彼らが掲げるバイオブレスから放たれる未知のエネルギー、バイオ粒子は、鬼の再生能力の根源である細胞の動きを一時的に沈黙させた。しのぶが命を賭して摂取していた藤の花の毒も、バイオマンのバイオ粒子と共鳴し、童磨の体内で爆発的な反応を見せる。
「しのぶさん、下がってください! あとは俺たちが引き受ける!」
ピーボの導きによってこの危機を知った5人は、それぞれの専用武器を手に取った。童磨は冷気を操り「結晶ノ御子」を放つが、ブルースリーとイエローフォーの高速移動がそれを翻弄する。グリーンツーのブーメランが冷気を切り裂き、ピンクファイブが放つレーザーが童磨の扇を弾き飛ばす。
戦況は一変した。しのぶは、自分の命を投げ出す必要がないことを悟る。彼女の瞳には、科学と勇気が融合した未知の力が、絶望の連鎖を断ち切る光景が映っていた。
「仕上げだ! みんな、バイオエレクトロンだ!」
5人のエネルギーが一点に集中する。巨大な光の渦が童磨を包み込んだ。それは太陽の光とも、日輪刀の輝きとも違う、生命そのものの叫びを力に変えた一撃だった。
「あはは……なんだ、これ……体が消えてい……」
童磨の饒舌な笑いも、バイオマンの合体技の前には無力だった。細胞ひとつ残さず浄化された鬼の残滓が、虚空に消えていく。
静まり返った無限城の一角で、しのぶは膝をついた。駆け寄るピンクファイブが彼女の肩を優しく支える。
「怪我はない? 大丈夫、もう終わったわ」
しのぶは驚きに目を見開きながらも、ふっと柔らかく微笑んだ。姉、カナエの仇を討つために自らを犠牲にするつもりだった彼女の心に、新しい風が吹き抜けた。
「……ありがとうございます。未来の戦士さんたち」
バイオマンたちは頷き、再び次元の光の中へと消えていく。その背中を見送りながら、しのぶは日輪刀を鞘に収めた。死によって完成される復讐ではなく、生き延びて鬼のいない夜明けを見るために、彼女は再び歩き出した。