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帰りの車内、全員死んだ目をしながら車に揺られていた。
「なんでいつもオレが運転してるかって?他人の運転だと眠っちまうからよ。グリスの運転は特に危険だ。快適すぎて崖から落ちても気が付かねぇ。」
「根が優しい証拠だな」
「逆にラムのは荒々しいからいつ死んでもおかしくない」
「テメェぶっ殺されてぇのか」
ラムレザルは一番後ろの席で眠ろうとしていた。
怪我をしたメンバーはレムリンのまじないのおかげで大怪我は治ったが細かい怪我までは治らなかった。
「怪我の大元はラムやけどな。」
「それは…マジごめんって感じ…グゥ」
「寝よった…」
「仕方ないよココ最近はあっちこっち行って大忙しだったんだし。それに定期検診も近いって言ってたからね。休まないと」
「定期検診…あ、そのまま行くか。オレらも診てもらうべきだろうし」
そう言ってやって来た場所はルドが最初にやって来た街だった。
「うわ、うるさ」
「……ジジ…ッ…バァ…」
この大声オババはアリス・スティルザ。人体汚染治療に最初に携わった名医である。
こんなに大声なのは汚染物質をうっかり取り込んでしまった結果である。
「ん?スティルザ?」
「ばぁちゃん!ばぁちゃん!!」
聞きなれた声がしたのでその方を見ると
「この菓子さぁくそマズイな!!!」
「兄さん直球はダメだって…あれ?なんでみん「あれ!?なんでみんないんの!?」
そこにいたのは本部にいるはずのオーガストとレイシアであった。
「あ!ねーちゃん!!」
「あ、ねえさん」
「いるっての…定期検診に来たんだよ」
「ねえさんこっち。今回は遅かったね」
「忙しくてな。あ、ワタシ骨ヤッてるからついでに診てくれ」
「ねえさん…そんな無茶しないでって…」
「ごめんて」
エイシアに手を引かれたラムレザルは別室に移動した。
「…あ…どっ…?」
「ねーちゃんはボクとエイシアのねーちゃん!!血は繋がってないけど!!」
「???」
「闇深い家庭だな。」
先に帰るというオーガスト達を見送るため、外に出たエンジンとルド。
「そうそう!そろそろこの辺りで”陰り”が来るから”ゴミ宿り”した方がいいよ!!!」
「気ぃ付けとくわ。」
「んじゃお先!!!」
「位置的に帰り道被りそうじゃのう」
「…………陰り?」
「天界は移動してる。そんでたまにこうしてゴミを落としてくんだ。移動ルートは大体決まってるからそれを避けて”安全域”を作ってるらしいが、あんな上からの落下物だ。ぶち当たって死ぬヤツは少なくねぇ」
ゴミ宿りをしながらエンジンはルドに陰りについて教えていた。要はゴミの雨である
「それで天界を恨んで復讐したくても上に行けば境界によって命を落としてしまう」
「悲しいよなぁ」
「ラム、定期検診は大丈夫だったの?」
「特に問題ナシ。十何年も使ってて未だ新品に近い動きなのは変だけどなって言われた。あ、ちゃんと寝ろって」
「それはみんなが思ってるから」
「ラムさんは天使?と会ったことあるの?」
「天使っつーか、あのマスク自体に見覚えがあるだけだ」
「ってことはラムの知り合い?」
「どこにでも売ってるマスクだぞ。同じの持ってるやつもいるだろ。」
エンジンはひとつ気がかりなことがあった。それはラムレザルの様子について。
禁域を出てから変なのだ。
パッと見、元気そうに見えるがその目はどこを向いているのか分からず、例えるなら水の上に浮かべた玩具の船のような不安定感があった。
「………何。」
【ラム、今どこ?】
「検診帰り〜。土産はエンジンから聞け〜」
【そうするわ。今日は裏口から帰ってらっしゃい。】
「んぇ?」
【今ちょっと”害虫”がわいてる】
「んぁ〜…りょ〜かい〜」
滅多に人縄からの通信をとらないラムレザルが唯一とる相手からの連絡を受け、裏口から帰ることにした一行であった