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一王国様のリクエスト。
アメ日帝
こちらは、リクエストにお答えするとともに、終戦記念日によせた作品となりますわ。
一部戦争描写があります。
なお、戦争賛美・政治的意図はございません。
ミーンミンミンミーン…… 蝉が鳴いている。
瞼の裏がぼんやりと明るくて、日帝はゆるゆると目を開けた。
「ん……あさ、か……」
障子を越えた柔らかな光に包まれて、日帝はもぞもぞと身じろぎをした。
時刻は9時、日は既に高く昇っている。
戦中は日の出よりも早く起き、鍛錬に励んでいた日帝だが、化身としての役割を息子に譲ってからは、昼頃の起床も珍しくなかった。
「あと……五分……」
誰に伝えるでもなく独り言を呟いた日帝は、畳に敷いた布団の上で、ゴロリと寝返りをうつ。
そして、ねむねむと目を瞬いた──その時。
「──Hello!日帝ちゃん♡」
この山奥の一軒家には、隠居中の日帝の他に住民はいない──はずなのに。
日帝の隣に、サングラスの男──アメリカが、片肘をついて寝転がっていた。
「にゃぁぁぁぁぁぁああああああっっっ!?」
パシーンっ!
「いてぇぇぇぇぇぇ〜〜〜〜〜〜っっっ!?!?」
真夏の晴天に、小気味よいビンタ音が響いた。
「全くひどい話だぜ!いきなりブッ叩くことはないだろ!?」
「たわけが……斬り殺さなかっただけ感謝しろ」
朝飯の鮭を焼きながら、日帝は苦虫を噛み潰したような顔をした。
一方のアメリカの頬には、大きな湿布。
台所で働く日帝の背後を、手持ち無沙汰なアメリカはウロウロと徘徊する。
「……おい、触るな」
そしてアメリカは、日帝の揺れる尻尾に向けて、そっと手を差し伸ばした。
が、瞬時に勘付いた日帝は、アメリカの不埒な手を、尻尾ではたき落とす。
引退してもなお、その勘は鈍っていない。
「え〜ちょっとくらいイイだろ?減るもんじゃないんだし!」
「……貴様の寿命を減らしてやろうか?」
「きゃーっ!ごめんって!包丁向けないで!」
包丁をギラリと煌めかせて、アメリカに殺意の目を向ける日帝。
慌てて跳んで逃げていくアメリカに、日帝ははぁ、とため息をついた。
「うむ!そろそろ頃合いだな!」
そうこうしているうちに、朝ごはんの支度が終わったらしい。
茶碗に米をよそい、お椀に味噌汁を注ぐと、焼きたての鮭を取り出した。
ホクホク顔でちゃぶ台に皿を並べる日帝に、アメリカは期待の籠もった目を向け、我が物顔で席につく。
「……なんだ」
「俺のは?」
「はぁぁぁぁぁぁ……」
アメリカのキラキラとした瞳に抗えず、日帝はアメリカの前にも、自分と同じモーニングセットを置いた。
「うっしゃ!thanks!!」
「頂きますをしろ」
「え〜しょーがねぇなぁ!We thank Him for our food, Amen. 」
「……らーめん?残念ながら麺類はないぞ」
「ちげぇよアーメンだよ」
二人向き合って、朝食をとる。
図々しいアメリカに苦い顔をしていた日帝だが、箸さばきが下手なアメリカのために、スプーンとフォークも用意してくれていた。
(こいつ、こういうところだよな……///)
つっけんどんで無愛想なのに、誰よりも気が利くモテ男、それが大日本帝国である。
このギャップに、一体何人の男たちが堕ちたことだろうか。
アメリカ、ナチス、イタリア王国、ソビエト、イギリス……挙げだしたらきりがない。
「で?遠い異国からはるばる、何の用だ」
「な、何だよ。用がなきゃ、来ちゃいけないのかよ?」
焼き鮭を箸でつつきながら、日帝はアメリカを流し見で見た。
涼やかな目元にドキリとしたアメリカは、視線を落として答える。
「はっ、馬鹿者!」
そんなアメリカを、日帝はまなじりをつり上げて一喝した。
「私が言いたいのは!なぜ貴様という馬鹿は!朝っぱらから連絡もなく押しかけて!挙句の果てに不法侵入という馬鹿な真似をし!そして朝飯をたかっているのか理解に苦しむということだこの馬鹿が!!」
「ちょ、ちょっと落ち着いて日帝ちゃん!」
「答えろ馬鹿者」
馬鹿馬鹿と言われたアメリカは、シュンと項垂れる。
しかし、反論は出来まい。全て事実である。
「いやぁ、急に日帝ちゃんに会いたくなって!」
「そうか、ならもう会っただろう帰れ馬鹿者」
「プライベートジェットで飛んできて!」
「財力の無駄遣いだ帰れ馬鹿者」
「日帝ちゃんの家に、合鍵で入ってきた!」
「はっ!?合鍵!?作ったのか!?気色悪っ!」
ぐっとサムズアップするアメリカに、日帝は本気で顔をしかめる。
しかし、悪びれる様子もないアメリカに、日帝はついに諦めた。
この星条旗男に何を言っても無駄だ、と判断した日帝は、黙って朝食を口に運ぶ。
「やっぱり、日帝ちゃんの飯は美味いな!俺の所のWASHOKUとは別物だぜ!」
「ふん、当然だ。かりふぉるにあろーる、とかいうゲテモノと一緒にするな」
「ゲテモノ!?ひどすぎる!」
カリフォルニアロールとは、カニ風味かまぼこ、 アボカド、マヨネーズなどを裏巻きにした、アメリカン寿司のことだ。
自国料理をゲテモノ呼ばわりされたアメリカは、キャンキャンと抗議する。
そんな彼を一瞥した後、日帝は視線を逸らしてボソリと呟いた。
「……まあ、あれもあれで悪くない」
「へ?」
唐突なデレに、アメリカは目を瞬いた。
そして、じわじわと唇の端をつり上げる。
「ふーん、食べたことあるんだな〜?」
「……一回だけな」
「へぇ……うふ、うふふふふ」
「おい笑うな気色悪い」
アメリカの含み笑いに、日帝は思いっきり顔をしかめてみせた。
くそ、コイツに付け入る隙を与えてしまった……と日帝は反省する。
「あー好き!なあ日帝ちゃん、結婚して!」
「寝言は寝て言え」
「Oh, sorry!!ジャパンじゃ言い方が違うんだっけ?」
釣れない日帝は、アメリカと自分の分の食器を手にして立ち上がる。
流しに向かう日帝を、アメリカは追いかけた。
「日帝ちゃ〜ん♡」
「うるさい、うざい、やかましい」
皿を台所に置いて、うっとおしそうにアメリカを振り向く日帝。
その手を取って、アメリカは跪いた。
「──俺に、毎朝味噌汁を作ってくれませんか」
アメリカの真っ直ぐな瞳が、日帝を射抜いた。
美しいブルーアイズ。
容姿端麗な彼の、珍しく真剣な表情に、日帝は僅かに息を飲んだ──そして。
ぱしんっ!!
「味噌汁くらい、自分で作れ阿呆!」
「いてぇぇぇぇぇぇ 〜〜〜〜〜〜っ!?!?」
頭を思いっ切り叩かれたアメリカは、叩かれた箇所を押さえ、しゃがみこんだまま呻いた。
と、いっても、日帝も本気でぶん殴っているわけではないので、アメリカが大げさに痛がっているだけのようだ。
日帝が本気でキレたら?……きっと今頃、アメリカの首と胴体は離れ離れになっているだろう。
「痛ぇ……そんな照れるなよmy honey♡」
「……あいわかった、貴様の脳みそで味噌汁を作ってやる」
「あたまつかまないで……」
ふざけたことを抜かすアメリカの頭を掴み上げ、日帝はギリギリと掴み上げる。
アメリカの脳みそで味噌汁を作るとは、ぶんぶく茶釜よりも物騒な話である。
ふんと鼻を鳴らした日帝は、かちゃかちゃと食器洗いに取り掛かった。
その後姿を見あげて、アメリカは嘆く。
「うぅ、日帝ちゃんが優しくないぃぃぃ!」
「何言ってるんだ、私ほど心優しき者はいないだろうに 」
「自己肯定感たかっ!俺より高い!」
日本人は謙虚って聞いたのに!
喚くアメリカを、日帝は鼻で笑う。
「貴様以外には、私はちゃんと謙遜するぞ。相手を立てるためにな」
「俺のことも立ててくれよ……」
じゃー、きゅっ!
水音が止み、日帝はタオルで手を拭いた。
「日本人は謙虚、か……まあ、本音を言わないのは確かだな。ただ、猫かぶりなだけともいう」
「ふーん、でも日帝ちゃんは猫かぶりじゃなくて、本物の猫だけどな!」
「やかましいわ」
「──いてっ!」
ぴん、と日帝はアメリカの額を指で弾く。
デコピンされたアメリカは額を抑え、何処かへ去ろうとする日帝の背中を見送った。
「日帝ちゃんひどいっ!家庭内暴力!」
「家庭内とか言うな気色悪い、私は貴様と家庭を作った覚えはない」
しかし、キャンキャンと騒いでいたアメリカは、ふと気づく。
「つまりさ……日帝ちゃん、俺には本音で接してくれてるってこと?」
ぴた、と日帝は足を止めた。
それを肯定と取ったアメリカは、思わず口元をニヤけさせる。
「答えてよ〜日帝ちゃ〜ん♡」
「断る!くたばれ糞米帝!」
「口悪っ!」
どこかへ逃げていく日帝。
その尻尾がぶんぶんと揺れているのを見て、アメリカは緩む口元を抑えた。
「はぁ、好きだなぁ……」
チリン、チリン……風鈴が揺れている。
昼下がりということもあって、青空のてっぺんから、ジリジリと太陽の光が照りつけていた。
「暑いな」
「あちぃ〜」
日陰になっている縁側にあぐらをかいて、日帝とアメリカは、扇子をパタパタと扇いでいた。
折りたたみ式の団扇が物珍しいのか、アメリカは開いたり閉じたり、やたらとそれを手で弄くり回している。
側では、カタカタと音を立てながら、扇風機が首を回していた。
「なぁ日帝ちゃん、ジャパンって蒸し暑いな」
「湿度が高いからな」
山奥にぽつんと立つ日本家屋といえど、夏の盛りはかなり暑い。
水を撒こうがすぐさま蒸発して熱風となり、風鈴を揺らしても一向に涼しくならない。
50年くらい前は、こんな灼熱の日なんてなかったのに、と日帝はぼやいていた。
「ここ最近は特に暑くね?」
「地球温暖化だな、お前が悪い」
着流しをまとった日帝は、衣服の首元を緩めた。
日帝の細い首と、華奢な鎖骨があらわになる。
思わずアメリカの目がそちらに吸い寄せられたのは、男の性、つまり不可抗力といえるだろう。
「Oh sexy……じゃなくて!アメリカの夏は、カラッとしてて過ごしやすいぜ?」
「ほう、それは羨ましい」
扇情的な襟元を、アメリカはなるべく見ないようにして捲し立てた。
俺だって米国紳士だ、下心を見せるようなヘマはしない、と自身に言い聞かせるアメリカ。
アメリカに紳士がいるのか、という疑問は、この際置いておく。
「で、だからなんだ」
「嫁入りして♡」
「しね」
「普通に悪口!」
ストレートな二文字に、アメリカは撃沈した。
かれこれ何十年以上、このやり取りを繰り返している。
「頼むよ!コッチに来てくれよ!暑苦しい気候から解放されるんだぞ!?」
「日本の気候より、お前のほうが暑苦しい」
「遠距離恋愛は辛いって!ほとんど会えないじゃん!!」
「恋愛ではないし、そもそもお前、月一くらいで押しかけてくるだろう……」
初めのうちは、日帝の息子である日本を通じて、『遊びに行っていいか』という連絡もあったはずなのだ。
いつの間にか、その連絡も省略されて、アメリカは日帝の元に月一回……下手したら二、三回、突然やってきては、嵐のように去っていくようになった。
そして今日、勝手に作った合鍵で、勝手に家に入り込んできたのである。
「……それから」
「ん?どうした日帝ちゃん」
普段、あまり自分から話すことはない日帝が、口を開いた。
そして、目を閉じてふーっとため息をつく。
「さっきから、目線がうるさい」
「ゑ」
「どこ見てるんだこの変態が」
その言葉通り、アメリカの視線は、日帝のはだけた着物の隙に釘付けだった。
「目を見ろ、目を」
「ウッ……しょ、しょーがねぇだろ?不可抗力じゃねぇか!自然とそっちを見ちゃうんだって!」
「なるほど、くり抜かれたいようだな」
「ヒエッ!恐ろしいこと言うなよ!」
日帝の非難するような視線に耐えきれず、アメリカはバッと立ち上がる。
「アイス食おうぜ!俺持ってきたから!」
「おい、逃げるな」
「分かってる分かってる!!日帝ちゃんコーヒー味だよな?」
バタバタバタ、と冷蔵庫の方へ走っていくアメリカを見送って、日帝は呟いた。
「別に、嫌だとは言ってないのだが……」
その独り言は、アメリカに届くことはなく、うだるような暑さに溶けていく。
「──うひょ!冷てぇ〜!キンッキンに冷えてやがるぜ!」
はい、日帝ちゃん、と渡されたのは、パから始まる二人で分けて食べるアイス。
パッケージをビリビリと破きながら、日帝はアメリカをちらりと見た。
「有難う、やけに気が利く手土産じゃないか」
「へへん、俺はデキる男だからな!」
「日本の入れ知恵か」
「ウッ……なぜバレた」
パキン、と二つ連なったアイスを分けて、日帝はアメリカに片方を差し出す──
「あ、なに、そっち?そうやって分けんの!?」
「そうだ。これが、じゃぱにーずかるちゃーだ」
「ぜってぇ違うよな」
──ことはなく。
蓋をむしり取り、そこに残った僅かなアイスを、アメリカにずいと押し付けた。
残りの本体は、もちろん全て日帝のものである。
「横に分けるのかよ……縦に分けてくれて『はいどうぞ、Darling♡』てのを期待してたんだけど」
残りカスのようなアイスを、ショボショボと舐めるアメリカ。
「仕方ない、恵んでやろう。感謝しろ、Idiot」
「おまっ!?絶対英語分かってんだろ!!」
ネイティブ並みのスラングで罵られて、アメリカは抗議の声を上げる。
やれやれともう一方のアイスをアメリカの手に押し付けて、日帝はニヤッと嗤った。
「はて、何のことだか」
日帝の目が悪戯っぽく細められ、猫耳がピコピコと揺れ動く。
(こんな時も可愛いとか、ズルいだろ……///)
想い人の貴重な姿に、アメリカはそれ以上何も言えず、黙ってアイスを口にするのだった。
「あれ?日帝ちゃん、どこ行くんだ?」
「散歩だ」
下駄をつっかけて、カラカラと引き戸を引く日帝を、アメリカは追いかけた。
既に陽は傾き、暑さも幾分か和らいでいる。
「俺も行く!」
「すまない、首輪とリードがない」
「俺、まさかの犬!?」
靴を履いて外に出た。夕陽が眩しい。
ミーンミンミン……蝉の声が響いている。
「なんかいいな!俺たち、長年連れ添った夫婦みたいだな!」
「ふむ、あの世に連れ添われたいようだな」
「隙あらば殺そうとするのやめて……」
アメリカと日帝の背後に長く伸びた影が、大小二つ並んで揺らめいていた。
小さい影から、時折ゆらゆらと細長い尻尾の影が、現れたり消えたりする。
数分後、二人の視界はぱっと開けた。
「Wow! いつ見てもきれーな海だな!」
「……そうだな、綺麗だな」
アメリカが感嘆の声を上げた先には、夕陽に赤く染まる太平洋が広がっていた。
サングラスを上げて目を細めたアメリカと、腕を組んで佇む日帝は、揺らめく水面を共に眺める。
「──ずっと、綺麗なままだと良い」
ポツリと零れた日帝の声。
美しい横顔に翳りが降りているのは、夕焼けのためだけではないだろう。
「お前と私を繋ぐこの海が、ずっと」
二人の脳裏にひらめくのは、B29が飛来する海。
砲弾が飛び交う海、血に染まる海。
日帝とアメリカが──殺し合った海。
息を飲んだアメリカはしばし、呼吸をも忘れた。
「……日帝、おれ、は」
「──米国」
それ以上は言うな。
アメリカの言葉を、日帝は視線だけで遮った。
「もう、終わったことだろう」
「だけどっ……!」
「もう、終わったんだ。……80年も経った」
日帝の紅い瞳に浮かぶは、後悔か、憐憫か、哀愁か、諦めか。
2文字では語り尽くせない、深い深いなにか。
「お前も、くそ真面目な奴だな」
「真面目?俺が? 」
「嗚呼。毎年毎年、律儀に来るなんて」
──今日は、8月15日。
“日本における”終戦記念日に、日帝が国として死んだこの日に、この男は日帝の元を訪れる。
毎年欠かさず、ずっと。80年間、ずっと。
「ははっ、俺なりの贖罪のつもり……なんて言ったら、おこがましいけどな」
自虐的な、乾いた笑み。
「こんなんじゃ、罪滅ぼしにはならねぇな。 ケジメをつけたい、っていうただの自己満だ」
噛みしめるように、声を発するアメリカ。
「……それが、毎年飽きずに来る理由か」
「ああ。巻き込んですまない」
しばらく、沈黙が流れる。
やがて、アメリカが口を開いた。
「あと……」
「なんだ」
「普通に、日帝に会いたいから」
声にすればもっと、切なくなる。
もっと一緒にいたい、もっとその声を聴きたい、もっとその瞳を見つめていたい──でも。
「俺には、日帝の隣に立つ資格はない」
日帝に癒えぬ傷を遺した自分が、今更愛してるなんて、言って良いはずがない。
「でもせめて!…会いに来ることだけは、許してくれないか……っ!」
思いの丈を全て込めて、アメリカは叫んだ。
そんな必死な彼の姿に、日帝は驚いたように目を目開き──噴き出した。
「ふはっ!現金な奴め!」
「なっ……笑うなよっ!」
「許すも何も…ふふっ、毎月会っているだろう」
肩を揺らして笑う日帝に、アメリカはらしくもなく頬を赤らめた。
I love youに匹敵する告白だったのに、全く相手にされていないどころか、笑い飛ばされてしまったのである。
「俺は!本気で日帝のことが──!」
「はいはい。そういう事は、あと千年生きてから言え青二才」
「くそぉ……っ!」
余裕の笑みをうかべる2600歳。
日帝の言葉は、アメリカがあと千年生きて、更に日帝にプロポーズし続けることが前提なのだが、まだ若いアメリカには分からない。
「覚悟しとけよ日帝!俺はいつか、お前を必ずオトすからな!」
「嗚呼、楽しみにしているよ」
「また俺のこと馬鹿にしてるな!?」
クスリと笑った日帝は、こっそりと呟く。
「楽しみだよ、アメリカ──お前と見る月は、きっと美しいに違いないから」
夕陽が、水平線へと沈んでいく。
夏が去れば、日の昇る国と星が輝く国は、並んで月を眺めるのだろう。
「あー腹減った!帰ろうぜ日帝ちゃん!」
「抱きつくなうっとおしい」
二人に秋が訪れるのは──もう少し先のお話。
ありがとうございました〜!
じゃんぬにしては珍しい、純愛?アメ日帝、いかがでしたかしら?
終戦記念日向けの作品にするため、あえてリクエストボックスから外しましたの。
さて、日本における終戦記念日は8月15日ですが、アメリカを含め多くの国は9月ですわね。
(国内でも沖縄は6月23日または9月7日とされていることがあります)
が、このアメリカさんは15日に毎年かならず、日帝さんのお家に飛んできます。
それだけでなく、超多忙なのに一ヵ月に一回は来日します。ほぼ通い婚ですわね。
それなのに、アメリカさんはいつも日帝さんに翻弄され続け、尻に敷かれ続けるのです。
アメリカさんがふざけ過ぎると日帝さんの拳が飛びますが、大変手加減されておりますゆえ、ご安心くださいませ。
我が家の日帝さんはツン9割デレ1割ですから、唐突なデレの破壊力が凄まじいと思うのですわ。
そんな日帝さんにアメリカさんは振り回され、アメリカさんが昼間の彼に勝つことはできません。
……昼間だけ、ですわ。ふふふ♡
好評でしたら、秋編も続けるかもしれません。
最後になりましたが、戦没された方々の御冥福と恒久の平和をお祈り申し上げます。
それではまた、ごきげんよう。
コメント
5件
受けに翻弄される攻めが大好きなんです!!!こうゆう受けが下だけど上みたいな、こんなのが大好物なのでとてもありがたいです!ありがとうございます!!
「男は1000歳生きてから」!?そういうことですか全く日帝貴方という国は…!!!! 縁側と風鈴を背景に、目を細めて猫耳を揺らす悪戯っぽい日帝ちゃんの姿が浮かびました。じゃんぬ様は情景を想像させるのも上手いのか!幻術使いですかホント 互いの国旗に「おひさま」と「おほしさま」が刻まれているのが本当に好きで好きで大好きです。好き好き大好き~♪ そしてあとがき。「昼の間は日帝に勝つことはできない。昼の間は」っていつも通りのじゃんぬ様を香らせてくるの何!!!! この先の8/15日もずぅっと、二国の想いが繋がっていますように。
えっ?「お前と見る月は、きっと美しいに違いないから」これってそういうことですよね!? うひょぉぉぉぉぉぉぉぉ日帝様ぁぁぁぁぁぁぁぁ神ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ最高すぎるよぉぉぉぉぉ