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R e n .
22
2,697
夜十一時五十九分。
スマートフォンが震えた。
『着信履歴 非通知』
こんな時間に。
少し気味が悪かったけれど、間違い電話だろうと思って切った。
一分後。
また鳴る。
『非通知』
今度も切る。
さすがにいたずらかと思い、電源を切ろうとした、その時だった。
また、鳴った。
画面を見る。
『非通知』
「……なんで?」
電源を切る前なのに、着信が続いている。
三回目。
私は恐る恐る通話ボタンを押した。
「……もしもし。」
返事はない。
聞こえるのは、ザーッという砂嵐のような音だけ。
数秒後。
小さな声が聞こえた。
「……あと、一回。」
そこで電話は切れた。
意味が分からない。
“あと、一回”?
時計を見る。
午前零時。
その瞬間、部屋の電気が一瞬だけ消えた。
私は急いでカーテンを閉めようと窓へ向かう。
その時。
窓ガラスに、自分の姿が映った。
……違う。
私の後ろに、誰か立っている。
振り返る。
誰もいない。
もう一度、窓を見る。
今度は、映っていなかった。
「気のせい……。」
そう自分に言い聞かせる。
でも、胸の鼓動は速くなるばかりだった。
その時。
スマートフォンが、また震えた。
四回目の着信。
画面には、やはり**『非通知』**。
思い出す。
“あと、一回。”
これが、その一回。
出なければ。
そう思った。
けれど指が動かない。
呼び出し音は鳴り続ける。
十秒。
二十秒。
三十秒。
突然、着信が切れた。
ほっと息をついた、その瞬間。
スマートフォンに一通のメッセージが届く。
送り主は、知らない番号。
開く。
『どうして出てくれなかったの?』
喉が詰まる。
すぐに削除しようとした。
だが、その文章はゆっくりと書き換わっていく。
『うしろ』
身体が固まる。
見てはいけない。
そう思うほど、振り返りたくなる。
ゆっくり。
本当にゆっくりと首を動かした。
誰もいない。
安心した、その時。
スマートフォンの画面が真っ黒になった。
そこに映っていた。
私ではない、もう一人の顔。
耳元で、息をする音。
そして、小さな声。
「やっと、見てくれた。」
翌朝。
部屋にはスマートフォンだけが残されていた。
画面には、新しい着信履歴。
『発信先:あなた』
時刻は、午前零時。
通話時間――
四分四十四秒。
コメント
1件
くしろゅさん、第1話読みました。スマホの非通知着信と「あと、一回」という不気味な伏線、そして通話時間4分44秒のラストがすごく効いてますね。日常に忍び込む違和感——電気が一瞬消える、窓に映る「自分じゃない誰か」——の積み重ね方が巧みで、読んでる間ずっと背筋が冷えました。これからどう展開するのか気になります!