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榎本くもり
11,214
Sea Otter2026
38
NAL
97
ここで新キャラ登場!
味方か敵かは読んでみてからのお楽しみ
掃除屋の肉と能力を強引に貪り、下半身から無数の他人の指をニョキニョキと生やした私は、ドロドロとした黒い体液を石畳に引きずりながら、街の地下へと続く巨大な排水溝の前に立っていた。 この下に、街のすべての肉を管理するシステムの心臓部(処理工場)がある。 その時、排水溝の奥、一切の光が届かない絶対的な暗闇のなかで、何かが「クチャリ」と音を立てた。 それは肉の蠢く音ではない。まるで、空間そのものが濡れた雑巾のように捻じ切れるような、生理的な嫌悪感を呼び起こす不快な音だった。「……おまえ……おもしろい肉……してる……」 暗闇の底から響いたのは、高音と低音が同時に鼓膜を引っ掻くような、性別も年齢も不詳の掠れた声だった。 直後、排水溝の闇そのものが、まるで生きたタールのようにドロリと這い出てきた。それは実体のない、二次元の「黒い影」だった。しかし、その平面の影のあちこちから、本物の人間の『真っ白な歯』だけが、ギチギチ、ガチガチと音を立てて無数に突き出ていた。 私の中に混ざり合う99人の死者たちが、一斉に恐怖で狂い叫んだ。手の平の『眼球』が、眼圧でパチリと弾け、血の涙を流しながら激しく痙攣する。 この黒い影は、前世の怨念や死体などという生易しいものではない。世界の管理者(システム)が排出した、バグの「消しカス」――名もなき概念の怪異だった。「だれだ」と、私は裂けた口から血を吐きながら問いかける。「なまえ……ない……だから、みんな……ボクを……『ナニカ』ってよぶ……」 黒い影――ナニカは、まるで私の影に重なるように、スルスルと足元へ這い寄ってきた。 そして、私の足(前世の死体たちが縫い合わされた肉塊)に触れた瞬間、ナニカの影から突き出た無数の白い歯が、私の肉をバリバリ、ゴリゴリと容赦なく咀嚼し始めた。「ガ、アアアァァッ! 離れろッ!!」 激痛とともに、私の肉の一部が「存在ごと」削り取られていく。親友の腕が、政治犯の歯が、ナニカの影に喰われた瞬間、血を流すことすらなく、ただの漆黒の虚無へと消滅していくのだ。 私は掃除屋から奪った顔面の肉口を開き、ナニカの影を吸い込もうとした。しかし、実体のない影はすり抜け、逆に私の喉の奥へと、ドロドロとした冷たい液体となって逆流してきた。 ズブズブ、ジュルルッ。 ナニカは私の口から、内臓の隙間を縫うようにして体内へ侵入してきた。 胃を、肺を、100回目の私の脊髄を、冷たい影の粘膜がネチョネチョと這い回る。信じられないことに、ナニカは私を殺しにきたのではなかった。私の中にひしめく99人の死者たちの肉を、内側から「喰い散らかし」に来たのだ。『ぎゃあああぁぁッ!』『冷たい、消える、俺の腕が消えるッ!!』 脳内で、あれほど傲慢だった前世の怨念たちが、恐怖に震え上がって悲鳴を上げる。ナニカが私の体内を這うたびに、肥大化しすぎて制御不能になりかけていた死体パーツが、適度に咀嚼され、消滅し、私の肉体の内圧がみるみる下がっていく。「あは……ここ……あったかい……。ボク……おまえの『中』……きにいった……」 ナニカの声が、私の脳の裏側から直接響く。 ふと気づくと、私の下半身の激痛が和らいでいた。ナニカが余計な死肉を喰ったおかげで、私の100回目の自我が、より強固に肉体を支配できるようになっていたのだ。「……私を、利用するつもりか」「ちがう……ボク……システム……大嫌い……。おまえ……システム……壊す……? なら……ボク……おまえの『影』になって……手伝う……」 私の足元を見ると、本来の私の影の中に、ナニカの「白い歯」がギチギチと蠢いているのが見えた。 他人の死体を混ぜ合わせる私と、その死体を内側から喰ってコントロールを助ける、実体なき黒い影。 最悪の異形と、最凶のバグが、ここに一つに混ざり合った。「行くぞ、ナニカ。地下の工場を、文字通り根こそぎ喰らい尽くす」「うん……ごちそう……いっぱい……うれしいな……」 影から覗く無数の歯が、暗闇の中で嬉しそうにカチカチと鳴り響いた。私とナニカは、血生臭い地下の眷属(けんぞく)たちが待つ奈落へと、ゆっくりと足を踏み入れた。
コメント
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あ、待ってこれマジでヤバいやつだ…!!😳💦 ホラーはちょっと苦手なゆめかだけど、世界観がめちゃくちゃ重厚で引き込まれたよ…!「ナニカ」の、実体ないのに歯だけ無数にある感じ、♡♡♡的に無理すぎて鳥肌立ったけど、主人公と共生する流れは熱すぎる…!!「きにいった」って言うとこ、怖いのに妙に可愛くて複雑な気持ちになったよ笑 地下の工場、どうなっちゃうの…次回が気になりすぎる😭🔥