テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
596
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
実家に向かう予定日を、先生方にまずはメッセージ送信
G.W中の祭日なら母さんはOKらしい
(予定とか大丈夫か)
えっと
ベットに寝っ転がってスマホを操作する。
人差し指をビシッと送信ボタンを押した。
「さて……あと会長か」
連絡先は知らないけど、まあ、生徒会室に行けば大体いるはずだ。
1人で使ってるうちに、コーヒーメーカーからソファーまで揃えてしまって、
最近では完全に【会長専用の部屋】みたいになっている。
明日にでも行ってみるか、と思いながらスマホを置いた。
中学校の帰り道。
こんな場面、本当に漫画やアニメの中だけだと思っていた。
クラスメイトのまぶい女が、ガタイのいい男たち2人に絡まれていたのだ。
こんなの、現実で見たことがない。
※「まぶい女」とは「超いい女」「美人・可愛い子」を意味する昔の不良言葉。
なのに――その場で身体が勝手に動いた。
嫌がる彼女の腕を掴んでいる男に向かって、オレは迷いなく腹を蹴り上げていた。
だが、手応えは薄かったらしい。
「痛ってぇな……おい、コラ」
男は顔をしかめ、指をボキボキと鳴らす。
「まずは足蹴りしたお前からだ。ボコボコにしてやる」
拳を握りしめ、一歩踏み出してくる。
オレは彼女を守ろうとして、迷わず前に出た。
その瞬間
後ろで、まぶい女が叫び声を上げた。
男たちはビクッと肩を跳ねさせ、互いに顔を見合わせる。
「警察に連絡されたらヤベぇ」とでも思ったのか、慌てて逃げ出していった。
助けたつもりが、助けられた形になってしまった。
「佐久間ちゃん……ありがとう」
オレの顔を見て、クラスメイトだと気づいたのだろう。
まぶい女は涙を浮かべながら礼を言ってきた。
「別に……礼なんていいよ」
オレは震え続ける手を握りしめた。
助けるつもりが、結局守られたのは自分のほうだった。
「でもさ、オレのキック、全然効いてなかったし」
目をそらして苦笑する。
「仕方ないよ。だって、佐久間ちゃんも女の子だよ」
「そんなもん関係ねぇよ」
思わず声が荒くなった。
「オレが弱っちいだけなんだよ」
そう言って、悔しさをごまかすように唇を噛んだ。
なんでオレは、あんな昔のことを急に思い出したんだろう。
「……風呂でも入るか」
ぽつりと呟き、
「よっと」
と軽く声を漏らしながら上半身を起こす。
着替えを用意し、自室にある脱衣場で、丸一日着ていた姫衣装の制服を脱いでいく。
上着を脱いだ瞬間、胸元が視界に入った。
――あれ?
なんか前より余計な脂肪ついてないか?
今まで気にしたことなかったのに、急に意識してしまう。
さらにスカート、靴下と順に脱いでいく。
姫衣装はコスプレみたいなもので、可愛いリボンも好きだし、
自分で考えた衣装だから抵抗もなかった。
……のだが。
「なんじゃこりゃーーっ!」
パンツに手をかけて下げたとき、鮮血がついているのが目に入った。
落ち着け、落ち着け……。
とにかくスマホで検索だ。
震える指で検索をかけ、
すぐに答えは出てきた。
その瞬間、思わずスマホを落としそうになる。
憧れの【漢】ヤンキーから、一気に遠ざかる致命傷。
胸の奥がぎゅっと縮むような感覚がした。