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初めて会ったその子は、氷みたいに冷たかった。差し出した手を見もせず、「三代目」と呼んで突き放す。
けど、その声の奥に揺れてるのは、ただの冷たさじゃない――もっと深い、痛みだった。
「“家族”とか“仲間”とか、簡単に口にするな」
その言葉が刺さった瞬間、俺の胸がズキッとした。
そうだよな。俺にとっては当たり前でも、彼女にとっては刃なんだ。
……でも、だからこそ。
「いずれ君も笑える日が来る」
そう言わずにはいられなかった。どれだけ拒まれても、俺は諦めない。
――そう思った矢先に現れた敵。
あの顔……父さんに似てる。
レンは迷わず刀を取って前に出た。
必死に止めようとしたけど、彼女の背中は揺るがなかった。
「簡単に“家族”なんて言うな……私に家族はいない!」
その叫びは、斬撃よりも重かった。
俺は動けなかった。強さに、孤独に、ただ圧倒されて。
戦いが終わって、やっと声をかけようとした。
――「レン」
返ってきたのは、冷たい刃みたいな一言だった。
「俺は……お前が大っ嫌いだ。」
心臓を直接殴られたみたいに、息が止まった。
けど、不思議と……それでも彼女を嫌いになんてなれなかった。
泣きたいほど孤独な背中を見て、ただ一つだけ決めた。
――絶対に、放っておかない。
どんなに拒まれても、何度でも隣に立ってやる。