テラーノベル
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気がつくと、あの時の花屋の前に、宮舘は立っていた。手には大きな鉢植えを持っている。鉢植えの中にはたっぷりの土が入っていて、片葉の芽が出ていた。
老人の店主が杖をついてよぼよぼと店から出て来た。今日は入れ歯をしていない。しかし、補聴器を付けていた。プラスマイナスゼロだと宮舘は思った。
❤️「翔太の花を返して欲しいんです。かけがえのない恋人ですから」
『ふぁふぁった。ほまえさんのふぁいはふぉんものだ』
❤️「………え?」
店の奥から、孫らしき男の子が出て来て、老人に入れ歯を渡した。
よかった、これでちゃんと話ができる。
『わかった。お前さんの愛は本物だ』
❤️「そう言ったんですね、さっき」
店主は恭しく頷く。
頷いた拍子に前歯が落ちそうになっている。
❤️「…いい歯医者、紹介しましょうか?」
『少し時間を戻そう。もう、花を他の人に会わせてはいけないよ』
❤️「わかりました」
『秘密を守ることが出来れば、あの花は永遠にお前のものだ』
❤️「ありがとうございます……!」
まばゆいばかりの光に包まれて、宮舘は意識を過去に飛ばした。
目が覚めると、いつかの楽屋。
💙「ねぇ、今日久々に涼太の家行ってもいい?」
渡辺が宮舘に甘えるように言った。
しかし、宮舘は答えた。
❤️「ごめん。俺、今日急いでるから」
後ろで渡辺が文句を言うのが聞こえたが、宮舘は構わず、自宅へと走った。
おわり。
コメント
4件
迷わず植物翔太を選ぶ舘さんの愛が素敵😊 よちよち翔太からしばらく抜けられない。ありがと!可愛かった!
良き良き良き🤭🤭🤭