璃羅(今日は,零斗に作ったミサンガを渡すんだ……!)
璃羅「…う……!!!!あ……。」
(え……,どう…して…今…?)
きゃああああ……!
早く!!早く担架を……!!!!
先生はどこにいるの?!早く呼んで……!!
看護師A「璃羅ちゃん……!璃羅ちゃん……っ……!!!!」
看護師B「早く……!!!!早く集中治療室へ!!!!」
看護師A「大丈夫だよ……!!!!大丈夫だからね……!!!!しっかりしてね……!!!!」
璃羅(誰…の声…?誰か…声掛けてくれてるけど…意識…保てない…や…。)
零斗(…璃羅お姉ちゃん…遅いなぁ…。
何かあったのかなぁ…?)
零斗(何だか看護師さんたちが騒がしいなぁ…。どうしたんだろう…。)
零斗「あの…看護師さん…璃羅お姉ちゃんは……?」
看護師B「あ……零斗君……。」
僕が看護師さんにそう訪ねると
看護師さんは濁したような言い方でゆっくりと僕に伝えた。
看護師B「あのね…零斗君…
その…璃羅ちゃんはね…今すごく難しい手術をしてるの…だから…ね今はまだお話できないの。」
零斗「…そうなんだ…」
零斗(璃羅お姉ちゃん…
大丈夫…だよね…?)
僕がそんなことを思っているとふと声を掛けられた。
???「零斗君…。」
零斗「あ…璃羅お姉ちゃんのお母さん……。」
璃羅の母親「…いつも璃羅と仲良くしてくれてありがとうね…。」
零斗「…うん」
しばらくの間,お互いに何も話さない沈黙があった。
そうするうちに緊急治療室の扉が開いた。
璃羅の母親「せ、先生…!!!!璃羅は…!!!!うちの子は大丈夫ですか……?!?!」
先生「…零斗君…それに璃羅さんのお母さん…。」
先生「…零斗君…少しだけ,あのお姉さんと一緒に遊んで居てくれるかな…?
君…零斗君を頼むよ。」
看護師B「は、はい!分かりました。
零斗君…ちょっとこっちでお姉さんと一緒に遊ぼうね…?」
零斗「…はい…。」
璃羅の母親「……それで…璃羅の様子は…。」
先生「…高崎さん…今から申し上げることは非常に残酷なことかもしれません…。覚悟して聞いてください…」
璃羅の母親「は…はい…。」
先生「璃羅さんは恐らくもうー…」
璃羅の母親「……っ……!!!!」
璃羅「…。」
璃羅「はい」
璃羅の母親「準備できた……?そろそろ行こっか…?」
璃羅「…うん…。」
あれから暫く眠っていた私だけど,何とか持ち越すことが出来て目を覚ますことが出来た。
お医者さんからは稀に見ない奇跡だと言われた。
今日は一時退院が許されたから,久しぶりに家へと帰る日だ。
だけど私は何だか憂鬱だった…。
零斗「璃羅…お姉ちゃん…!」
璃羅「零斗…。」
はぁはぁと息を切らしながら零斗が私の元へ走ってきた。
璃羅「どうしたの…?そんなに慌てて走ってきて…。」
零斗「あのね…あの…その…。
こっ,これ…!!!!」
零斗は,恥ずかしそうにしながらも私に1枚の紙を手渡ししてきた。
璃羅「これって……。」
零斗「あのね…。もう少ししたらね…商店街でお祭りがあるんだって…。その…璃羅お姉ちゃんが良かったら一緒に行きたいなって……。」
(…可愛いなぁ…零斗は…。)
璃羅「良いよ。行こうか。」
零斗「……!!!!やったあ……!!!!」
璃羅「でも。その代わり私も頑張るから。零斗も頑張って病気治してね??璃羅お姉ちゃんとの約束。」
零斗「うん……!!!!璃羅お姉ちゃんも早く病気治して,また一緒にお話しようね!」
璃羅「うん。約束。」
璃羅(久しぶりだな…この景色も…。)
???「ワン!ワン!!!!」
璃羅「あははっ!くすぐったいよぉ…
ただいま…ポチ!」
ポチ「ワン♬.*゚」
璃羅(ふぅ…。なんかこの景色も久しぶりだなぁ……。)
私は久しぶりに自分の部屋のベットに潜り,天井を見上げた。
璃羅(私が病院に入院するようになってから…もうどれくらい経つんだろう…。
私のこの病気は…。いつになれば治るんだろう…。)
そんな事を考えているとお母さんに呼ばれた。
璃羅の母親「璃羅〜クッキー焼いたよ〜食べよ〜!!!!」
璃羅「はぁい。今行く〜」
璃羅「ん〜!!!!美味しい!やっぱりこのクッキーがいちばん美味しい♬.*゚」
璃羅の母親「そんなに一気に食べたら喉に詰まるわよ〜」
璃羅「だってぇ〜。お母さんのクッキー…久しぶりに食べるんだもん……。
それが凄く…嬉しくて…。あれ…なんで泣いて…。」
璃羅の母親「…璃羅…。」
璃羅「え…お母さ……?」
璃羅の母親「璃羅…これからはずっと一緒に居よう…。一緒に色々,今まで行けてなかったところに…みんなで行こう……?」
璃羅「…お母さん…。」
璃羅の父親「…そうだ!今から,みんなでドライブしに行こう。昔家族で行っていた公園にもう一度行こうか。」
璃羅「やったぁ……!!!!楽しみ……!!!!」
璃羅の母親「じゃあお母さんは,お弁当を作るわね。」
璃羅「うん!私着替えてくるね……!」
璃羅「わぁ…あの時と少し変わっちゃったなぁ……。」
璃羅の父親「璃羅〜こっちに来てみなよ〜」
璃羅「んー?」
璃羅「これって……。」
璃羅の父親「覚えているかい…?昔,璃羅がこのアスレチックに登って,降りられなくなって…お父さんが助けに行ったんだよ。」
璃羅「懐かしいなぁ……。」
璃羅の父親「だ,大丈夫かい…?」
璃羅「大丈夫!大丈夫!!!!
うわぁ〜…。」
璃羅の父親「どうしたんだい?」
璃羅「小さい頃は分からなかったけど,ここに登るとね…色々な景色が見えるの。色々な家族が居て。色んな子が居て…色々な家族の形がある。凄いなぁ…。普段は分からなくとも…高いところに登ると分かることもあるんだね……。」
璃羅の父親「…そうだね…。」
璃羅「お父さん…大丈夫?」
璃羅の父親「大丈夫。大丈夫。
…本当だね…。子供の頃は分からなかったけど,今みるとすごくいい景色だ…。」
璃羅「でしょ???」
璃羅の母親「2人とも〜そろそろ降りておいで〜ご飯にするわよ〜」
2人「はぁーい」
璃羅(今日はすごく楽しかったな…。お父さんと一緒にアスレチック登って…
みんなでご飯を食べて…。こんな日々がずっと…続けばいいのにな…。)