テラーノベル
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「天竺く〜ん!」
「どうしましたか?」
「今日さぁ、カラオケ行かな〜い?」
「カラオケ?ふふ、良いですよ。最近行ってませんでしたし。」
「やったぁ!」
キャーキャー言う女子ほど、自分の嫌いなものはない。いや、自分も女子だが。
自分は何かあるごとに囃し騒ぐ女子達と同じになりたくなかったので、ほぼ全員がなんかしらのグループに入っているこのクラスで、自分は孤立している。
いや、友達はいるのだ。ただ、入学早々に別のクラスになってしまった。
そのせいで、まっったく学校生活が楽しくない。唯一楽しいのは国語と購買の焼きそばパンを頬張る事だ。
あまりの孤立さに、自分は「お一人様」という悪口気味なあだ名をつけられてしまった。仕方ない話だが。
今日も今日とて、一人でテスト範囲を復習する。今回の数学は手強い、なにせ2次関数だからだ。
それを考慮せずにこうやってはしゃいでいるのだから、きっと点数は悪いんだろうな……
「あ、襟風さんも行きません?」
「え」
ポカンとしてしまった。
唐突に自分に声をかけたのは、クラスでもトップの人気を誇る男子。
見るからにしてモテる顔、服装。勉強もよく出来て運動神経も良く、そして人に対して慈悲深くとても優しい…というのを、友達から語られた記憶がある。
いや、なんでそう言う人が自分に話しかけてくる?
「あー…ごめんなさい。今日は勉強する日なんで。」
「良いじゃないですか。いつも襟風さんは勉強してますし、たまには休むことも大切ですよ。」
「いや、マジ自分に構わなくていいっす。」
「天竺君。その人、お一人様だから…」
カラオケに誘っていた女子が、苦笑いで話す。だが、構わず彼は話し続ける。
「いーきーまーしょーうーって!!」
「嫌なもんは嫌さ。諦めてくれないっすか?」
「嫌なのは僕もですよ!」
「…いや、しぶとすぎっすね?でも今日は絶対無理っす。」
「えぇ…」
彼…天竺は、はぁとため息を吐いた後に咳払いをした。
「じゃあ、一生付き纏います。」
「はぁ!?」
「なんて、嘘ですって。そんなに無理なら良いです。」
「は、はぁ…」
意外とあっさり諦めてくれて良かった。このままだと、超ド下手クソの歌を披露する事になっていた。
自分は歌が音痴だから、カラオケは本気で行きたくない。というか、人生で一回しか行ったことが無い。
でも、ちょっとばかし強引だった気はする。事情を話せばよかったか?
『キーンコーンカーンコーン』
「あ、授業。」
一時間目は数学。テストだ。
気分は億劫だが、焼きそばパンを考えればこんなものどうでも良くなる。
そもそも、自分は大体のテストは100点だ。超絶最低でも90点はいく。
先生がテストを配っていく。とりあえず頑張るか。
「姈沙〜!ごめん、今日色々あって一緒に食べられんわ!」
「はいほーい。」
今日は珍しく、友達の穂ノ実が食べられなくなった。でも自分は察しがついている。彼氏と食うんっしょ。
最近彼氏出来たもんな。
そういや、自分は恋愛にも興味がない。なんか嫌なんだよな…
「購買所向かうかぁ〜」
「あったァァァァァァァ!!!」
人の混む中、焼きそばパンを掴みとる。しまった、焼きそば王に取られた!という声が聞こえる。
あれ、自分って焼きそば王ってあだ名もついていたのか?
「よし、屋上屋上…」
「屋上行くんですか?」
「そう、屋上お気に入りだから…って天竺!?!?」
後ろには、お弁当箱を持った天竺がいた。
2mほど後ろに跳ぶ。「わーお。」と言い、天竺は拍手をした。
本気で意味が分からず、質問攻めをしてしまう。
#参加型
105
ruruha
818
1,298
「自分に付き纏うって本当だったんすか!?」
「え?付き纏ってるんじゃないです、興味があるんです。」
「それを付き纏うって言うんすわ、それに一緒にいたらとんでもない勘違いされるっすよ!?」
「いえ、平気ですよ。」
「…はぁ…」
階段を速く登る。彼も同じく、速く登る。
立ち止まって後ろを振り向くと、彼もまた立ち止まる。
とにかく焼きそばパンが食べたかったので、仕方なく屋上に向かった。
「いただきますっす。」
「いただきます〜」
チラチラ、天竺の方を見てみる。確かに整った顔立ちだが、目は糸目なんだ。見えるのか?
あと大前提として、何で自分に興味を持てる?
『お一人様』に関心を示す人間は初めて見た。
「目って見えるんすか?」
「ええ、勿論。初めて会った方にはよく聞かれます。」
「糸目だと見え辛いんじゃあないんすかね。」
「いいえ、全然大丈夫ですよ。もう慣れましたし。」
「へーえ。というか、何で自分に興味を持ったんすか?」
「なんだか、僕と似てる気がしたんです。」
「どこらへんがっすかね?結構違う気がしますっす。」
「うーん。言うなれば、」
彼はお弁当箱を置き、フェンスの近くまで歩いた。その後に思いっきり振り返って、
「すぐ騒ぐあんな下衆共を、嫌っているところとかですかねぇ!?」
「分かりますよ、自分は棚に上げて他の気に入らない相手は卑下しますものね?」
「特に貴方が丁度いい例ですよ!!『お一人様』ですもんね!?」
ニヤリと嗤いながら叫んだ。
「う…お…え?」
状況が一気に読み込めなくなった。しかも、糸目が思いっきり見開いている。
色は赤や朱色ではなく、朱殷。計り知れない闇のありそうな眼だった。
「お、お前あのキャラはどうした。演技なんすか?」
「え?演技に決まってるじゃないですか。だって本性を表したらどんな目で見られると思います?」
「つまり女子とかを嫌ってるって事っすか?え、マジすか?」
「貴方と理由は同じですよ。」
「あ、嫌ってるの知ってたんすね…知ってるんすか!?」
「カラオケの態度で大体把握出来ましたよ。」
「わ、わぁ…」
洞察力が凄いけど、かなり自分重視な人だな。演技が上手いのも相当だ。
フフフフフ、と彼は不敵に笑う。「不敵」の文字通り。
「あ、言わないと思いますが。この姿の僕を誰かに言ったら…どうなるか分かりますよねぇ?」
「言わないっす。言えないっす。」
「それで良いんですよ、姈沙さん。」
「何で下の名前呼び?」
「気分ですよ。」
「あっそうっすか、碧。」
「あれ、貴方も僕の下の名前知ってたんですね。」
「当たり前っすわ。」
しかし、これのせいで焼きそばパンを食べた気にならなかったぞ。ヤバいな。
そうして、屋上を出ようとした時だった。
「あーそれと。ここまで知られてしまったら、もう一つだけ言っておく事があります。」
「ん?」
「僕は、誰にだって親しくする事も裏切る事も出来ますからね?勿論貴方にも。」
「あ、ほーい。」
この言葉の意味はよく分からなかったが、昼休みが終わりそうだったので帰った。
「…フフフフフ。襟風を味方につけてしまったのは想定外だったなぁ。」
「まぁでも、彼女はこれから良い的になってくれるだろ。成績良いし。」
「僕は、この学園で“一番”になる…あんな下衆達とは違う。」
「その計画の為なら、犠牲も厭わないからなぁ。」
「あ、天竺君?こんなところにいたの、もう授業だよ!」
「あれ、もうそんな時間でしたか?ありがとうございます。」
「い、いや、大丈夫です…!」
「ふふ。」
「……っ」
「僕に気軽に感謝など…しなくて良いんですからね?」
コメント
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す、すげぇ…すげぇっす天宮さん……(((
ちょっとしたネタ 天竺碧→天竺葵 「ゼラニウム」という花の別名です。 花言葉…「偽り」「詭計」「尊敬」「信頼」 襟風姈沙→襟風 「エリカ」という花から来ています。 エリカの花言葉…「孤独」「寂しさ」 姈という字は「女性で賢い事」を表しています。
闇が深いな..()