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ピロンッ…ピロンッ…
鳴り止まない通知音。
そして止まることを知らない電話。
私はスマホから視線を逸らす。
パソコンと向き合えばX(旧ツイッター)を開く。
カーソルを下に下げても私に関する投稿。
“騙された”
“ワンシーンで500円?高すぎる”
“ワンシーンしか書けない奴がでしゃばるな”
“上と比べればお前は才能なしの無駄な夢に焦がれているバカ”
私が一生懸命に書いたワンシーンを無断で取った写真。
それと私に向けた心を抉るような言葉。
そんな投稿がいっぱい投稿されていた。
毎回朝…私は必ずXを開き、投稿を全て見る。
心にダメージがくるって分かっているのに。
それでも私は見てしまう…いや見なくてはいけないのだ。
たまに良い投稿がされているのを見かける。
でも…その良い投稿はアンチコメが付きもの。
私のせいであの人まで傷ついている。
アンチコメに苦しむ人が…。
そう思うと申し訳なくない気持ちでいっぱいになってしまう。
パタンっと音を立てながらパソコンを閉じる。
そしてスマホに手を出す。
本当はスマホに手を出したくない。
スマホを開き、電話は全部拒否。
電話が落ち着くと、パソコンと繋がっているXを開く。
そして…自分のアカに移動する。
カタカタッと打つ音が自室に響く。
“今日のワンシーン 【肉食は草食に喰われる】“
金額…、500円っと打ったが消し、450円っと打つ。
「才能がないのに、値段だけつけていいのかな…」
そう呟きながら投稿をする。
でも…それぐらいの値段にしないと人生やっていけない。
願望は…ワンシーンの金額を1000円にしたい。
だが…有名な小説家でもないし…地道に頑張る小説家でもないのだ。
小説家志望している腐女子。
そんな人が作ったワンシーンが1000円…500円。
…それを買うかって言われたら買わないかもしれない。
だが、癖に刺さればそんなの安すぎる。
一万出しても読みたいほど。
そう思った瞬間、自分で苦笑する。
私はいつかきちんとした小説を書きたい。
今…ワンシーンしか書けなくてもいつかは小説が書けるかもしれない。
短編小説…あわよくば長編小説。
ワクワクとした感情が溢れ出てくる。
こんな悪い投稿なんか気にせず、前を向いて書いていこう。
私はスマホの電源を落せば身だしなみを整える。
今日は友達とカフェに行く約束をしている。
ふぅ…っと深呼吸をする。
ギュッと軽く服を掴む。
玄関に向かい取手を掴む。
「ワンシーンしか書けなくても、私は書くんだ。夢に向かって」
「誰に笑われても、からかわれても、それでも…」
眩しい外の世界に足を進める。
今日はどんな話を友達にしようかな。
そんな事を考えながら私は目的地へと向かった。