テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
弍十さんお誕生日おめでとうございます!
前回の続き!
「……間違いなく、花吐き病ですね。」
「は……?」
難しい表情をした医者に言われて、俺は思わず声が漏れてしまった。
花吐き病……?何それ、聞いたこともないんだけど。
せんせーは知ってたのかやっぱり、というようにはぁ、と息を吐いて医者の言葉の続きを待つ。自分のことであるはずなのに俺が一番状況を理解していなかった。
「花吐き病とは、片思いをこじらせることによって発症することがある病気です。花を吐き続け、酷い場合には花が器官につまったりすることによって窒息死することもあります。」
「そのほかにも、酷い感情の変化があると花に血が混じり吐血する恐れがあり、危険なので早期解決が望ましいでしょう。」
そこまで言い切ると、医者の先生は事情はお二人で話し合ってください、と言い部屋を出ていった。白い壁に囲まれた深夜の診療室に残された俺とせんせーの間に気まずい沈黙が落ちた。
しろ「……ごめんな、弐十ちゃん。あの場で説明できれば、病院まで態々来る必要はなかったんやけど。」
弐十「……ううん、せんせーは悪くないよ。」
しろ「……言い訳になってまうかもしれんけど……」
しろ「弐十ちゃん、きっとキルちゃんのことが好きやろ?」
呼吸が止まった。言葉が出ない。誰にも悟らせていないはずだった、自分の中で必死に抑えていたはずなのに。
俺の表情を見て、苦笑いを浮かべてせんせーは言葉を続ける。
しろ「……弐十ちゃんは、上手く隠せてたと思うで?只、俺が一回推測してもうたからそうなのかもって思えただけや。」
弐十「……なら、本人には言わないでくれる?」
しろ「弐十ちゃんがそういうなら、勿論。」
しっかりとせんせーは俺の目を見て言った。その真っすぐな目を見て、俺は唇を噛んだ。
……花吐き病は、直さなければいけない。
俺が死にたくないのもそうだし、みんなにも迷惑をかける。配信とかつけてて途中で咳き込んだりしてみれば瞬く間に話は広がってしまうだろう。だから、直ぐに直さなきゃいけない。そのことは自分でもよくわかっていた。
只、でもそれ以上に俺は……
しろ「……因みに、何でキルちゃんに思いを伝えようと思わないん?」
弐十「うーん……脈なんてないでしょ?笑。フラれたら普通に今後の活動にも支障がでるかもしれない。」
弐十「……後は、俺がもしトルテさんに突き放されたらって考えて怖い。」
しろ「……そっか。」
弐十「……う”っ、」
急に吐き気が襲ってきて俺は口元を抑えた。せんせーが背中をさすってくれ、咳き込みながら花を吐き出した。
弐十「げほっ、げほっ、う”ぇ…ッ、」
吐き出したのは、アネモネの花。
先程とは違い、数個の花がでてきて、苦しさは倍増していた。全部吐き出して冷や汗をながしながら深呼吸をする俺。
しろ「大丈夫か?」
弐十「うん”、ありがとせんせー。」
安心させるように笑っても、せんせーは苦しそうに表情を歪めるだけ。でも、決意をしたように拳を握りしめて俺の目を見て言った。
しろ「……協力できることがあったら、何でも言ってや。絶対に協力する。」
弐十「……ありがとう。」
嗚呼、いい仲間を持ったな。
心からそう思った。せんせーにお礼を言って、診察室を二人で出る。医者の先生に俺を言った後、せんせーがタクシーを出すと言ってくれたので、その言葉に甘えて俺は家まで送ってもらうことになった。
弐十「うわ、通知やばぁ。」
しろ「まぁ急に抜け出したからな。俺の方にもめっちゃきとるわ。」
ぱっ、と画面を付けて一番最初に出てきた名前に俺は息を呑んだ。
弐十「トルテ、さん……」
一番上にあって、一番通知が多い。
俺はトーク画面を開いて返信する。
”色々あったから、明日まとめて説明するね”
送信ボタンを押して俺はスマホをしまった。右には鬼電と大量のメッセージを裁いているせんせーがいて、左には窓から白み始めた空が見える。
その空に目を細めて、俺はそのまま目を閉じた。
弐十「__っていう感じ。まだ全然症状は軽いし、花を吐くのも数時間に一回くらいだから撮影とか背信とかは一瞬ミュートにすればいいだけだから今まで通りできるよ。」
ニキ「わかった。……弐十ちゃんは、その、大丈夫?精神的に…」
弐十「全然大丈夫!片思いしてたのは、結構前からだから変わったのは花吐くことだけだからね。」
その翌日に最強無敵連合のみんなにディスコで説明する。ニキ君だけでなく他の人達も心配そうな声色で少し笑ってしまったのを怒られたばかりだけど、いつもの調子じゃないニキ君にまた笑いそうになる。
シード「まじできつくなったら我慢せずに言えよ?弐十君に倒れられても俺等困るけぇね。」
弐十「はーい。」
キャメ「あの後みんな落ち着いてなかったんだから。特にキルちゃんとか。」
はとね「めっちゃ鬼電かけてたよねw」
弐十「お前まじでそういうところ優しいよなぁw」
キル「はぁー、心配して損したんだけど。」
ほんのわずかな期待を押し殺す。もう慣れっこだ。期待しなければ苦しくなんてない。
みんななんやかんや言いながらも結局誰に対して想いを抱いているのか茶化すようなことはされなかった。優しいなぁ、なんて思いながら俺は能天気に笑う。
この後どうなるかなんて、考えもせずに。