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#独占欲
めんだこ
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港に到着。
それではいつも通り、釣り方の説明を開始しよう。
「今回はサビキ釣り、カゴ釣り、投げ釣り、ヘチ釣りという釣り方をしてみます。
サビキ釣りはカンディルー釣りでやった方法です。今回はウキをつけた投げサビキの方法で釣ります。これなら近くでも少し離れた場所でも釣れますから。カゴ釣りはまあ、投げサビキの針を1本か2本に減らした代わりに、サイズを大きくしたものだと思ってください。この2つの釣りは堤防の先端で、ジョンにやってもらうつもりです」
「基本的には前にやった、ウキをつけたカンディルー釣りでいいんだな」
「ああ。それで大丈夫だ」
本当は仕掛けが絡まないように、投げるときに針をエサカゴに入れるとか、微妙に方法論が違う場所もある。
しかし投げて釣り上げる部分は同じだ。
だからきっと問題ない。
「俺は投げ釣りをやります。これは海の底にいるカレイやヒラメ、キスなどを狙う仕掛けです。そしてミーニャさんには、ヘチ釣りという釣り方で魚を釣ってもらいます」
そう、これが昼食のテイクアウトを良い棒にしたのに続く、ミーニャさん対策第2弾だ。
「どんな釣り方ニャ」
よしよし。
それでは丁寧な説明、開始だ。
「これは岸壁近くに居着いて、上から落ちてくるカニや貝などをエサにしている、そこそこ歯が強い大きめの魚を狙います。針と簡単なおもりが付いただけの仕掛けに、このリールが付いた竿を使用します」
先ほど作ったタイコリール付きの竿に、針と小さな重りが付いただけの仕掛けを収納から出して見せる。
「この針にエサをつけて、岸ギリギリの海に落としてやる。それだけです。落ちなくなって魚がかからなかったら、仕掛けを巻いて移動して、2~3mくらい離れたところでもう一度落とす。この繰り返しになります。ですがこの釣り方は岸に近いところの魚を釣るので、魚に人がいると気づかれると警戒されて釣れないことがあります。ですから人は水面から見えない場所を動くこと。あと足音や気配で魚に気づかれないようにしてください。ミーニャさんなら足音を立てないことも、気配を消すことも問題ないでしょう。だからこのヘチ釣りは、ミーニャさんにお願いします」
もちろんミーニャさんにヘチ釣りをしてもらう真の理由は、この説明とは異なる。
しかしミーニャさんは、納得した様だ。
「わかったニャ。足音と気配を消す。魚から見えない様に移動。端ギリギリにエサを落として、釣れずに底まで行ったら移動。それでいいかニャ」
「その通りです。あとは魚の気配が読めれば、出来るだけいそうな場所を攻めてください。エサは最初は大物狙いでこの貝を使います。エサをつけるのは俺がやりますので、釣れたりエサがなくなったりした時は、俺のところまで来てください」
エサに使うカラス貝は、以前釣りに使おうと思って採取済みだ。
そしてヘチ釣りをミーニャさんにさせる本当の目的は、食欲を感じるような隙を与えないこと。
他の釣り方なら、釣れずに間が空くなんてことは結構ある。
しかしヘチ釣りなら、落として移動を繰り返すから、やることがなくて暇になることがない。
つまりミーニャさんを故意に忙しくさせて『腹減ったニャ』と言わせないという作戦だ。
「それじゃまず、見本でヘチ釣りはどんな感じにやるかを1回やってみます。その後、俺とジョンは潮通しがいい堤防先端部に行きますので、少しずつ移動しながら探ってみてください」
それではまずは、見本の釣り方からだ。
「まずはこんな感じで、水面を見ないように近づいて、糸をゆっくり落としていきます」
俺の場所からは堤防が邪魔で水面が見えないが、実は魔法を使って見えていたりする。
おまけに魚がどこにいるかも、魔法で見える。
ということで実はチートなのだけれど、それは内緒で。
「こうやって、落ちる速度にあわせてリールを逆回転させて糸を出していきます。糸は張り詰めた感じではなく、こんな感じで常に余裕を持たせて。出し過ぎた場合は親指でリールを押さえたり、糸が張りそうになった場合はこうやって送ったりして……」
自然な感じで縁ギリギリを落として、そして予定通り魚が食いついた。
「釣れました。あとはこうやって竿を引いてやり、頑張って巻いてやる。場合によっては竿の操作でこうやって魚を走らせつつ水面近くまで浮かせる。一度水面に出して空気を吸わせてしまえば、魚は大分弱ります。そうしたら巻き上げて釣り上げて、俺のところに持ってきてください。魚を外してエサをつけます」
上がってきたのは40cmにぎりぎり満たない程度の黒鯛だ。
ここは岸に近くて浅いし、まあこんなものだろう。
ということで、魚を取り込んで、またエサのカラス貝を出してつけて。
「それじゃミーニャさん、お願いします」
「わかったのニャ。ニャんとなく魚の気配もわかったので、やってみるのニャ」
ということで一式をミーニャさんに渡して、俺とジョンは堤防先端近くへと移動する。
◇◇◇
ジョンとやっているのは、廃坑調査の捕食用に釣りをした時と同じ釣り方だ。
しかし最初のうちは、落ち着いて釣りができなかった。
サビキ釣りで忙しかっただけではない。
ミーニャさんのヘチ釣り、とんでもなく絶好調だったのだ。
ヘチ釣りなんてする人がいなかったから、魚が思い切り居着いていたのだろうか。
ミーニャさんが魚の気配がわかったと言っていたのが、本当だったのだろうか。
わからないけれど、3回落とせば1回は『釣れたニャ』という状態では、俺も自分の釣りができない。
ジョンも投げサビキでガンガンと釣り上げているし。
いや、釣れているのは嬉しい。
でも自分の釣りができず人の世話ばかりするのは、あまり楽しくないのだ。
あとミーニャさん、単なるヘチ釣りだけで早くも黒鯛6枚目というのは凶悪過ぎないだろうか。
どれもこれも最初に俺が釣り上げたのよりいい型だったりするし。
仕掛けをほぼ確実に狙ったところに投げているジョンも、ただ者ではないのだけれど。
仕方ないので、ミーニャさんには氷&海水入りバケツとエサの貝、ラジオペンチを渡して、基本的に自分で針を外して、3匹釣れたら持ってくるようにお願いした。
そしてジョンの方も、投げサビキが好調すぎて忙しいので、カゴ釣りに変更。
少しだけ落ち着いた状態になった後、やっと俺は自分の投げ釣りを開始できたのだった。