―4月某日 春空(はるぞら)高校 入学式―
???「今日から高校生活か〜 待ちに待った夢の青春がついに始まるぜ!」
この、夢の青春とか抜かしてやがる少年の名は逢坂 琉生(おうさか るい)。
この春から春空高校に入学する新一年生だ。
琉生 (この高校は雰囲気も良さそうだし、受験頑張って良かったー!)
???「お、琉生じゃん! 久しぶり!」
琉生の小学校からの親友で同じ高校に進学した木下 健龍(きのした たける)が後ろから話しかけてきた。
琉生「健龍! 元気にしてたか?」
健龍「そりゃあもう、高校で彼女作って青春を楽しむイメトレを春休み中ずっとしてたから、モチベMAXだぜ!」
琉生「相変わらず恋に飢えてやがるなあ。」
健龍「お前だって、新たな出会いと恋に期待してるんだろぉ?」
琉生「別にしてねーし!!」
健龍「あっ、あれ見ろよ、俺達同じクラスだぜ」
琉生「マジ!?良かったあー。初対面の人しかいなかったらしんどいから助かるわ〜。」
健龍「これでぼっち回避確定だな」
琉生「というか、早く1-2の教室行こうぜ!」
健龍「そうだな、メンツも気になるし。」
健龍「あ、そうだ! 入学式終わったら打ち上げにカラオケでも行こうぜ!」
琉生「オッケー! 1時集合な!」
琉生は無事に入学式を終え、新たな環境での生活を健龍や新たな友人と楽しんだ。
―1ヶ月後 1年生用玄関―
琉生 (入学してもう1ヶ月経つのか。 今日も健龍たちとゲームの話の続きでもしようかな… )
琉生 (ん?なんだこれ。)
琉生は自分の靴箱に1枚の手紙が入っているのに気づいた。
琉生 (もしかして…ラブレターかな!?)
琉生はウッキウキで手紙を開封した。
――――――――――――――――――――――――――
逢坂くんへ
放課後に体育館の裏に来てください。
伝えたいことがあります。
赤坂(あかさか)より
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琉生 (赤坂さんって、確か同じクラスの美人で、お嬢様みたいな人だったよな…)
琉生は3つの可能性を考えた。
1 ガチの告白
2 罰ゲーム告白
3 そもそもラブレターじゃなくて果たし状
琉生 (まあ、放課後行ってみるか。 ガチの告白だったら嬉しいし。)
―1-2教室―
琉生「おはよー」
健龍含む友達たち「おはよ〜!」
健龍「あれ?なんか琉生やけに嬉しそうじゃん。なんか良いことでもあったか?」
琉生「お前らには内緒♡」
健龍「なんだよそれ〜笑」
琉生「お前らに言うかもしれないし、言わないかもしれないな……ん?…」
琉生は自分の座席に座ったとき、机の中に紙切れが入ってることに気づいた。
琉生「これは…!!」
――――――――――――――――――――――――――
逢坂くんへ
放課後に体育館裏に来てください。用事があるのならこの紙を私の机の中に入れておいてください。でも、できれば来て欲しいです。
山吹(やまぶき)より
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琉生 (またラブレター!?それに、山吹さんってあの同じクラスの絵が上手い子か。 )
琉生が山吹の方を見ると、山吹は恥ずかしそうに目を逸らした。
健龍「琉生、どうかしたのか?」
琉生「いや、なんでもない。 それより、昨日のドラマについて熱く語ろうぜ!」
友人A「昨日の回は…確か主人公の正体がついに判明したよな。」
健龍「まさか、主人公が記憶喪失の連続殺人犯だったとは思わなかったぜ…」
琉生はラブレターの件は一旦置いといて、いつも通り中の良い友達と楽しく談笑した。
―昼休み―
琉生は教室で友達がトイレから戻って来るのを待っていた。
???「逢坂、ちょっといい?」
その時、後ろから突然声をかけられた。
琉生 「どうしたんだ?」
琉生 (ギャルっぽいクラスメイトの水雲(みずも)さんか、何かあったのかな。)
水雲 「あのさ…放課後に何か用事はある?」
琉生「あるにはあるけど、割とすぐに終わるかもだから、大丈夫だけど。」
水雲「じゃあさ、体育館裏に来てくれない?
伝えたいことがあるの…」
琉生「えっ!?」
水雲「駄目なら、別に良いんだけど…」
琉生「大丈夫、ちゃんと行くよ。」
水雲「分かった!待ってるからね!」
琉生「…」
もし仮に3人とも告白目的なら修羅場になる可能性だってあるのだ。琉生も普通なら断るべきだと分かってはいた。
だが、琉生はこれで1人だけを選んでしまったら、きっとその子の告白をokしてしまい、他の2人にとって不平等ではないかとも考えていた。
琉生は、中2の夏に初恋の人に告白して振られた経験から、振られるつらさや告白にどれだけの勇気が必要かを知っていた。
だから、琉生は3人の思いを受け止めるために
、それぞれの呼び出しを断ろうとは思わなかった。
琉生 (全部果たし状なら、こんな悩むこと無くて良いのになぁ…)
琉生はタコ殴りされてしまうのか、それとも修羅場になってしまうのか考えながら午後の授業を受けた。
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