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「お疲れ! 驚かせるなよ、ナギ。フラットも!」

あはは、マックスさん、驚いちゃったんだ。

「ナギ、本当に君は素晴らしい。領主にはきちんと報告しよう」

いえいえ、騎士団長。余計なことですよ。


オーク班はどうなのかと聞けば、今のところ問題ないらしい。

「お前は少し休め。魔力もかなり使っただろうしな。フラットも一緒に休んでいいぞ。その代わり、何かあったら呼ぶからな」

あははは、はい。


隊長さんとマックスさんたちは、森の奥へと入って行った。連絡を取り合っているみたい。

オークたちも地下の魔物と同じで、どこからか送られてるのかな。送られてるって認識で間違いないと思うけど。

でなきゃ、無音でオークが近づくことはないでしょ。


何か食べる? とフラットに聞いたら、お肉と言われたので大きいな皿にステーキを出した。俺はホットドッグだ。

ゴクゴク水を飲んだ俺たちは、がぶり、ゴクリを繰り返すんだけど、やっぱりお腹すいてたのかな。


フラットはお代わりをして、俺も二本食べた。

さて、これからどうすればいいの?

ぐるりと見回せば、小隊長は木にグルグル巻きにされてる。五人の騎士さんが逃げないようになのか、魔物から守っているのかわからないけど、警戒してるね。

隊長クラスの人たちが行っちゃったら、俺はどうすればいいのよ。


とりあえず、フラットに乗って、さっきの穴を見てみたけど、問題なく凍ってるね。

じゃあ、森を探索してみるかな。

『どうするの? 森に行く? ナギって入っていいのかな』

そこだよね。

でも、調査に来てるんだからいいでしょうよ。

じゃあ、行くよ。

とりあえず、フラットはのしのし歩く。

俺は楽ちんだね。


森に入って、少し進めば、草原の風のメンバーとあった。

「ナギ、フラット。お疲れ様。大活躍だったって聞いたよ。それでオークなんだけど。このあたりにはいない気がするんだ」

そうなの?

えっとオークは……

近くにはいないようだね。もっと奥でしょ。

「ナギたちと合流しました。この近くにはいないようです。もっと奥だと言ってますが、俺たちはどうしましょうか」

おお、連絡カード持ってたんだ。

『それなら少し奥へ来てくれ。気をつけろよ』

はい、と全員で移動する。

もちろん、俺とフラットが殿だ。

フラットなら皆が見えない場所まで見えるからね。


しばらく進んでもオークの気配はない。

奥では戦ってるみたいだけど。

『ナギ。奥にたくさんいるよ。皆戦ってる』

『そうだよね。でも、この人たちじゃ無理でしょ』

間違いない、と納得するフラット。

『ナギ! 助っ人を頼む! 数が多すぎる。草原の風はゆっくりこい。でなきゃ、危険だ!』

了解だよ。

『ナギ、僕がこの人たちと一緒に行こうか? ナギは先に行って助けてあげて』

いいの?

もちろん!

あは、うちの相棒は頼りになるよ。


事情を話して、俺はフラットから降りる。動きにくいかもと椅子も外した。

「じゃあ、気をつけてね!」

わかった! とフラットの周りで草原の風のメンバーたちが送り出してくれた。


それならば、と一気に駆け出す。

場所はわかってるから、森を駆け抜けた。

「ナギです!」

おう! と大剣を振るうマックスさんが答えてくれる。

見れば、たくさんのオークに半分囲まれてるよ。それに負傷者がたくさんいる。

フラットに頼もうか。

『フラット、ケガしてる人がたくさんいるんだ。引き取りに来てくれるかな』

『わかった。みんなで行くよ』

頼むね~

「マックスさん! フラットに負傷者の回収を頼んだから、草原の風に手伝ってもらって!」

よっしゃ!

マックスさんは、右手で大剣を振りながらオークを切り裂く。その間に連絡してるんだけど、すごいね、この人は。

俺は囲まれそうな端から片付けて行くことにする。

左に寄って右を見れば、皆気づいてない。


<氷の矢>


バンバンバンバン!

右端のオークに向けて矢を放つ。

その間に左側のやつらを切り裂いた。

最初の一頭の肩に乗って首を切り裂き、吹き出す血で滑らないように、隣のオークへと飛び移る。そして首を切る。

そんな風に繰り返して倒していく。

それを三度繰り返せば、囲みこもうとしてたオークはいなくなった。

後ろを見れば、倒れた騎士たちをフラットが背に乗せて、下がって行くのが見える。

草原の風のメンバーも必死で大柄な騎士たちを引きずる。こういうとき、大柄で鎧を身につけた騎士さんは邪魔だよね。

前にいる人たちは問題ないけど、レインさんには戻ってもらいたい。治療を頼みたいからね。

「ミミカさん、レインさん! 今、フラットたちが負傷者を移動してます。治療とその護衛を頼めますか!」

「ナギくん! わかった、じゃあ、ここお願い!」

そう言い二人はかけてくる。

すれ違い様に回復したら、ありがとうって笑顔をもらったよ。うれしいな。


じゃあ、行きますか。

戦況はそこそこだけど、数が多すぎる。

上から見てみるかな。

飛翔してオークがどこから来るのかを見てみようとしたんだけど、たくさんすぎでわからない。でも、列をなして向かってくるということは、あっちの方角だよね。

少し上まであがって奥へと移動してみる。誰も気づいてないから大丈夫でしょ。

そこから数百メートル先には岩山がある。行き止まり?

よく見てみれば洞窟があるよ。

もしかして、ここも同じかな。それなら潰すしかないよね。

でも、このままじゃ無理だ。

どうしようかな。この辺のオークを凍らせる?

それも邪魔かな。でも一部やっつけても次々出てくるならダメでしょ。

氷の壁を作っちゃおうかな。

土の壁でもいいかな。

進行方向に壁を作っちゃえば、他所にはいかないでしょ。

うん、それいいかも。

洞窟の入り口の幅で両側に土の強固な壁を作りたいんだけど。


<魔力増量・土壁>


ぞぞぞぞぞぞぞーーーーー

ちょっと背中が冷えそうな音だけど、分厚い壁ができて行く。オークがいても何のその。あれ、どうなってるんだろう。オークも埋まった? 外にこぼれたやつもいるけど、少しだけだ。

バンバンバン! と氷の矢で仕留めた。


皆のところへ戻れば、マックスさんたちは変わらず戦っている。

「マックスさん!」

近くにいたオークたちを打ち倒して行く。

バンバン! バンバン! バンバン!

指拳銃、最高でしょう。

驚いてこっちを見てるマックスさんだけど、気づいてくれたみたい。土壁がオークを挟んでいるんだから気づくよね。

ついでに、と押し合いへし合いしてるオークたちの出口も塞いじゃった。


「ナギ。お前はなんちゅう魔法の使い方するんだよ。でも助かった。これで少しは休める」

お疲れ様です、と買いだめしておいた果実水を取り出した。

サンキューと皆受け取ってくれる。

騎士さんたちもね。騎士なら自分で用意しなよ!

「奥を見てきたんですけど、洞窟があって、そこからオークが出てきてます。今はとりあえず土壁で囲んでますけど。これ、どうしますか?」

おまえ、すごいな。

なんか聞こえたけど、誰ですか?

「あの穴の底にできた洞窟みたいなやつか?」

多分ね。

「こりゃ、やっぱりどっかの迷宮と繋がってると考える方がいいかもな。塞ぐとして、地下なら氷でかなりの強度が保てるが、ここはどうやるか……」

「洞窟は岩山にあります。岩で塞ぎますか?」

岩?

「そんなことできるのか?」

「うーん、やったことはないけどできるかなと。土魔法の応用でなら」

やっぱりすごいよ、ナギ君。

あは、騎士団長さんと副団長さんが優しい目で見てくれる。

「それにそろそろお昼でしょ。お腹すきませんか?」

「でも、オークをなんとかしておきたいな。負傷者は?」

ちょっとまって、とフラットに連絡だ。

『フラット、そっちはどう?』

『うん、大丈夫みたいだよ。今は結界に入れた。一人だけ酷い人がいて、今治療中』

『わかった。また連絡する』

了解と聞こえて顔を上げた。

「今は結界の中にいるって。一人ケガが酷い人がいて、今治療中らしいよ」

結界? うん、フラットの結界だよ。

はぁ、お前らは。

なんで?

「フラットも素晴らしい。聞いたことのないコンビですね」

嬉しそうに笑う騎士団長につられてマックスさんも笑い出しちゃった。

それでどうするかな。このまま狩ってたら今日中に終わらないけど。

「マックスさん。オークって持って帰った方がいいの? 素材が必要かな」

うーん、と考えてるけど、決まったみたいだね。

「いや、考えなくていいけど、どうするんだ?」

「えっとね。あのまま凍らせちゃおうかと思って。だから明日の朝くらいならぶっ壊せばバラバラになっちゃうでしょ。土壁をどけて一頭ずつってことになれば、何日もかかるし。速くどけて、洞窟を塞いだ方がいいと思うんだ」

そうだな、と同意してくれる。

今倒してるやつは持って帰れるけど。

「でも、誰が倒したかはわからんだろ?」

鑑定すればわかるよ。

「ほんとか? それならそうするか。この壁の中のオークはもったいないけどしかたないだろうな」

凍ったまま持って帰れるかな……

「ちょっとまて。お前、今とんでもないこと言ったぞ。それに持って帰っても全部お前の獲物だし」

そういうこと?

そういうことだ、と返ってきた。それなら別にいいや。

「いいのか?」

うん、オークも結構倒したから。

なるほど、と感心している。

「じゃあ、凍らせていい? そのあと、ご飯にしよ」

あはははーと皆が笑うんだけど。

じゃあ、頼むと言われて空にあがった。

土壁の中では押しくらまんじゅう状態だ。

それなら一気に行こうかな。土壁のオークを完全凍結したい。


<魔力増量・完全凍結>


ベキベキベキベキと手前から奥に向かってオークが凍って行く。一瞬だよね。

あ、洞窟の中にも届いた? っていうかまだ凍ってる?

どうやら岩でできた洞窟の中も同じと判断されたんでしょうね。オークがどんどん凍ってるみたいだよ。どこまでいくんだろう。

ベキベキベキベキ……

永遠に続くかと思ったくらいだったよ。

途中で飽きて、皆のところへ戻った。


「どうだ?」

「あのね、土壁内のオークを完全凍結したいって思って魔法使ったら、洞窟の中まで凍り始めた。オークだけだよ。壁とかは凍ってないから大丈夫。あんまり奥まで伸びてるから放ってきた」

はあ?

変な声が聞こえて、みんなの呆れ顔が見える。

なんで呆れるの? 仕事してきただけだよ。


「お前にばかり負担かけて悪いな」

「そんなことない。僕たちが見てないところで戦ってくれてたでしょ。できること、得意なことをしただけだし」

本当に、お前ってやつは! って、髪の毛をぐしゃぐしゃにしないで!

長い髪は少々こんがらがっちゃった。

それを整えながら結界へ向かって歩き出す。


到着すれば、フラットが結界を解除してくれた。

よしよしと撫でれば嬉しそうだ。

「治療、どうだ?」

「うん。ちょっと酷くて、魔力切れみたいよ」

ミミカさんが教えてくれる。

「じゃあ、僕が代わります」

お願い、と言われたので騎士さんを見てみれば、中途半端に治ってるんだけど、辛いだろうね。


<ミドルヒール>


ふわりと光ってゆっくりと傷が塞がっていく。傷口もきれいだったから問題ないでしょうね。

光が収まったとき、薬を出して飲んでもらった。ギルドで買った化膿止めみたいな薬だよ。

ありがとう、と弱々しい声は血が流れすぎたからだろうね。

「この人休ませた方がいいよ。出血が酷かったみたいだし」

そうか、と騎士さんたちが数人で抱えていった。

他の人たちも包帯を巻いたり湿布を貼ったりと、草原の風のみんなが活躍してくれたみたい。

「お前たち、ありがとうな。助かったぞ」

マックスさんの声に嬉しそうだ。


昼食を終えて、午後からはオークの回収と岩で洞窟を塞ぐ作業だ。

外側の土壁をぶっ壊してみれば、冷凍オークのオンパレードだね。とりあえず、洞窟の中を確認する。

オークだけしか凍ってないので、壁際は通れるんだよ。そこをするりと奥へ向かうと、爆笑しちゃった。だって、岩から出てくる途中のオークがそのまま固まってるから。

これは写真を取っておこう。アルムおじいちゃんに送るべきだよね。

タブレットを取り出して写真を取り、すぐにメールしておいた。これからオークを回収するんだとコメントを付けてね。


さて。これをどうやって出すかな。

とりあえず、岩ギリギリでカットする。そのあと、弱い火魔法を使ってみたが、失敗だ。こまったな、と考えているとフラットから念話が来た。

『ナギ、どうしたの? 洞窟の中は大丈夫?』

『うん、大丈夫なんだけどね、オークの塊をどうやって出そうかと悩んでるんだ』

『出せばいいの? じゃあ、ナギは出てきてよ。僕がやるから』

わ、嬉しいな。

急いで洞窟のすみっこを通って外に出た。


じゃあ、やるね、とフラットが魔法を使う。

なるほど、水か!

周りを溶かしてから、そのまま引きずり出してくれた。

『フラット、すごいね。流石だよ、フラットの方が魔法の使い方が上手だね』

そんなことないよ~と頭を寄せてくれる。

いや、すごいよ。フラットの能力なんだろうけど、見習わないとね。

外に出てきたオークの塊は、そのままアイテムボックスに入れました。うん、きれいになったね。

その後は俺の仕事だね。


ミノタウロスが出てきた穴と同じようにしようと考えて、まず、一番奥で分厚く凍結した。それから洞窟の入口近くまでは氷塊を詰め込んでゆく。隙間なく、詰め込んで、最後の入り口は土魔法で、圧縮して岩を作って塞いだ。うん、とっても自然に塞がったね。

すべてを見ていたマックスさんたちは、呆れてた。なんでだろうね、一所懸命やったのに。

転生した少年は三歳から冒険者生活始めました。

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