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錆の都送り

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錆の都送り

第40話 - 第40話　過去編２

3

2024年11月04日

#ダークファンタジー

#錆

#黒蜜の賞金付きコンテスト

伊琉夏

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伊琉夏

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私立幽霊高校。錆の都の片隅にひっそりと佇むその学校は、普通の高校とは異なり、幽霊や霊的存在に特化した教育を行っていた。鋼谷はそこに通う生徒の一人であり、彼の高校生活は普通の青春とはかけ離れたものだった。

校門をくぐると、薄暗い雰囲気に包まれた校舎が目の前に広がる。廊下には幽霊の姿がちらほら見え、学生たちが平然と彼らと話をしているのが見える。鋼谷はそんな環境に少し戸惑いながらも、自身の成長のためにこの学校を選んだのだ。

「おい、鋼谷！また幽霊を怖がっているのか？」クラスメートの真嶋が、鋼谷の背後から声をかけてきた。彼は鋼谷の良き友人であり、同時に彼を試すかのような挑発をすることもあった。真嶋の目にはいつもいたずらっぽい光が宿っている。

「別に怖がってないよ。ただ、いきなり幽霊が出てきたらビックリするじゃん。」鋼谷は照れ隠しにそう答えた。実際には、彼はまだ幼いころのトラウマから、幽霊が近づいてくると心臓が高鳴ってしまうのだ。

ある日の授業で、鋼谷たちは「霊的存在とのコミュニケーション」というテーマについて学ぶことになった。先生は、さまざまな幽霊との接触方法や、彼らの未練を解消するためのテクニックを教えてくれた。

「皆さん、幽霊は必ずしも悪い存在ではありません。彼らの中には、助けを求めている者も多いのです。」先生の言葉に、鋼谷は自分の過去を思い返していた。父の事故後、彼もまた幽霊に対して複雑な感情を抱くようになっていたからだ。

その日の放課後、鋼谷は友達と一緒に幽霊研究室を訪れた。そこには古びた書物や霊具が並べられており、雰囲気は神秘的であった。彼は真嶋と一緒に、興味本位でいくつかの霊具を手に取ってみた。

「おお、これが鉄鎖か…。」真嶋が、鋼谷が父から受け継いだ霊具の一つを見つめている。「お前が使うのか？」

「うん、いずれ使うことになると思う。」鋼谷は少し不安になりながら答えた。鉄鎖は父が大切にしていたものであり、自分にはまだ重すぎる道具だと感じていた。

その後、鋼谷たちは学校の裏庭に向かい、幽霊を呼び寄せる儀式を試みることにした。真嶋が中心になり、周囲に友達を集めて話し始める。「今日は、誰か一人でも幽霊と話してみたいと思います！」

鋼谷は緊張しながらも、仲間たちと一緒に円を作り、目を閉じた。心の中で父に向かって呼びかける。すると、ふと冷たい風が吹き抜け、鋼谷は何かの気配を感じた。目を開けると、目の前に一人の幽霊が立っていた。

その幽霊は鋼谷の父に似ていた。彼の顔は柔和で、まるで自分を見守っているかのようだった。鋼谷の心は一瞬にして高鳴り、彼は声をかけた。「お父さん？」

幽霊は微笑んだが、すぐに消えてしまった。その瞬間、鋼谷は何かを得たような気がした。彼は父がいつも自分を見守ってくれていることを実感し、心の中に新たな決意が芽生えた。

「私は絶対に強くなる！」鋼谷は心に誓った。私立幽霊高校での経験が、彼をさらなる成長へと導いてくれると信じていた。