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錆の都送り

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錆の都送り

第41話 - 第41話　過去編3️⃣

48

2024年11月04日

#ダークファンタジー

#錆

#黒蜜の賞金付きコンテスト

伊琉夏

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伊琉夏

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錆の都送り
#41 第41話　過去編3️⃣ / 伊琉夏

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私立幽霊高校の教室。鋼谷は黒板の前で担任の先生からの特別任務を告げられていた。「鋼谷君、あなたにしかできない任務があります。」先生の声は真剣で、クラスメートたちも静まり返った。

その任務とは、ある政治家が幽霊になってしまう危険があるということだった。政治家は汚職に手を染めていたが、今、彼は何かに怯えているらしい。幽霊化する前に、彼の未練を解消しなければならないのだ。

「この政治家、特別な存在です。彼が幽霊になると、都市に大きな混乱をもたらす可能性があります。」先生が続ける。「しかし、彼を助けるためには、ある条件があります。彼に赤子を食べさせなければならないのです。」

その言葉に、教室の中はざわついた。鋼谷は驚き、心の中で葛藤が始まった。赤子の命を犠牲にしてまで、政治家を救うべきなのか。果たして、その選択が本当に正しいのか。

「赤子を食べさせることで、彼はその重い罪を引き受けずに済む。それが幽霊化を防ぐ方法です。」先生は、鋼谷の表情を見て理解を示した。「しかし、倫理的な問題がある。あなた自身の判断に委ねます。」

鋼谷は自分の過去を思い返した。幼い頃、父を亡くした日々。その悲しみを抱えながら、幽霊に向き合い、少しでも助けようとしてきた。しかし、赤子の命を奪うことはできないと、彼は直感的に思った。

「私にはできません。」鋼谷は言った。クラスメートたちの視線が彼に集まる。鋼谷の決意は固かった。命を奪うことは、たとえそれが正当化されるような状況であっても、彼には耐えられないことだ。

「それでも、他に方法はないのか？」彼は真嶋に相談した。真嶋は少し考え、こう答えた。「他の方法を探すしかないだろう。何か手がかりを見つけて、彼の未練を解消する方法を探してみるんだ。」

鋼谷はうなずいた。「そうだな。やってみる。」彼は自分の決意を新たにし、任務を果たすための方法を探し始めた。彼は政治家の過去を調べ、彼が抱えている未練を見つけ出そうとした。

数日後、鋼谷は政治家の事務所に忍び込むことに成功した。書類の山の中から、彼の過去の罪が記された文書を見つけた。その中には、彼が見捨てた家族や、裏切った仲間たちの名前があった。

「これが未練の正体か…。」鋼谷は思った。政治家は自らの過去を忘れられず、幽霊化への道を辿っている。しかし、赤子の命を奪うことなく、彼を救う手段があると信じた。

鋼谷は自らの心に問いかける。赤子の命を奪わずに、政治家の未練を解消するためにはどうすればいいのか。考えを巡らせる中で、彼は一つのアイディアを思いついた。

「家族を呼び寄せれば、彼は自分の過去を思い出し、幽霊化を防げるはずだ。」鋼谷は行動を起こすことを決意した。

彼は政治家の家族を探し出し、連絡を取った。すると、彼らはすぐに政治家の元へ駆けつけた。鋼谷はその姿を見て、心が少し軽くなった。

政治家は彼らの姿を見て、過去の罪を思い出す。彼は涙を流しながら、家族に謝罪し、心の中で整理をつけることができた。幽霊化の危機は去り、鋼谷はほっと胸を撫で下ろした。

「私は、赤子の命を奪わなくてよかった…。」鋼谷は心の中で呟き、任務を終えたことに安堵した。彼の心には、これまで以上に強い決意が宿っていた。命を大切にし、他者を思いやることが、ゴーストバスターとしての彼の使命だと、改めて感じるのだった。