鉄臭く、生臭いそしてあまりにも暗すぎる空。辺り一面には仲間の死体や敵の死体が沢山あるその中で立って居るのは奇跡なのだろうか。今でも見る前世の記憶忘れられない脳にこびり付くように取れない。今世には戦争など考えられないぐらい平和なのにどうして忘れられないのだろう。ただの記憶ではない、刀を握る感触、敵を斬る感触、そして師匠を斬られる悲しみ、左目を突き刺される痛み。痛みや感触、感情何かもがあるのだ。ずっとこの悪夢を見続けないといけないのだろうか。
ピピピとうるさいアラームの音が鳴る。
また、悪夢を見たようだ。俺は鏡を慌ててみる。確認するように左目を見る勿論潰されてはおらず、両目とも見えた。今日は高校の入学式だ。初春から我儘を言い、一人暮らしをさせてもらった。俺はベッドから起き、顔を洗ったり歯を磨き終わり朝ご飯を食べるためキッチンへと向かう。適当にあるものを食べる。
時間を確認しながら、服を着替え家を出る。なんにも変わらない、戦など起きぬ平凡な日常だ。
学校に着き、クラスを確認し席に着いた。中学の頃の同級生など居ないだろう。地元とは離れた場所にある高校だったからだ。ガラッと教室のドアが開いたと思うとおはようございますと大きな声で挨拶する。俺は思わずドアの方を見る。そこには前世の記憶に居た、友人の姿があった。長髪で男前世にいた桂小太郎だと一瞬で分かった。そちらも記憶があったの分からないがスサスサと歩きこっちに向かってきた。そして耳打ちで伝えてくる。
『もしかして貴様高杉か?』
その言葉に俺は一瞬固まった、だが俺もすかさず言葉を返す。
『そういうてめぇはヅラか』
と俺が言うと前と変わらずヅラじゃない桂だっ!と言ってくる。偶然なことにヅラに会った。勿論ヅラも前世の記憶があるようで“銀時”や”辰馬“の事も覚えているらしい。久しぶりに会った、いや、数百年だろうか、懐かしいような感じがする。前世では仲違いし、最終的には俺は死んでしまったが、仲直り(?)は出来た気がする。それから数十分間ヅラと今世の事や前世のことを語り合っていたら、また教室の戸を開ける音が鳴った。
『アハハハハ、皆さんどうもぜよ』
聞いたことのあるうるさい声そして訛りのある特徴的な方言が、聞こえた。“彼奴”は覚えているのだろうか。前世の事を、俺の事を。
『坂本ではないか!!』
ヅラが、辰馬に喋りかける。そうすると辰馬も返答する。
『誰じゃァ?おんしは?なんでわしの名前知っちょるがか?』
辰馬が放った言葉に俺は落胆した。だが、辰馬にとっては前世の記憶など忘れていた方がいいだろう。悪夢など見ずに済む話なのだから。仮に前世で恋人だったとしても今世では、関係などない話なのだから……
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