テラーノベル
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―「WaveVibe」最上階・社長室の手前のフロア
エレベーターのドアが開いた瞬間、桜は一歩踏み出してそしてハッとして止まった、今は平日の夕方、淡路島のゆったりとした休日はとっくに終わり、みんな残業組はあくせく仕事をしている
なつかしい、フロア全体に整然と衝立で仕切られたデスクの上で、何十台ものモニターが青白く光っている、スタイリッシュな照明、観葉植物、ガラス張りの会議室——
毎日ここで自分も仕事をしていたのに、ほんの数日間ここを離れていただけなのに、今では自分は部外者のような気さえする、そしてそこで働く社員全員が顔を上げて入り口に立つ桜を見ていた
「あれ~?山田主任?お休みじゃなかったんですかぁ~」
「それにその服装・・・今日はずいぶんカジュアルですね!」
中には桜にむかって親しげに声をかけるものもいた
桜が一歩踏み出しても気にならないのか、ジンとの仲を知っている者は社内でほとんどいない、暫くすると誰も彼女のことなど気にかけずに、みんなそれぞれの仕事を行っている
その時、社長室からジンと浜崎が出てきた、一気にフロアはシ・・ンと静まり返り、みんな仕事をするフリをして辞任してこの会社を出ていくジンを見ていた
「いたわ!ジンさん!」
「婿殿!」
「ジンさぁ~ん」
みや江達の声が、静まり返ったフロアに飛び込んできて、そこにいる従業員ほとんどが、ジンと桜率いる変わった訪問客をキョロキョロ見ている
ジンの目が、エレベーターホールへ向いた、正宗を先頭に、松吉、米吉、みや江、すず江、誠一郎、そしてフネ・・・山田旅館の面々がどやどやとフロアに踏み込んできた、その後ろから奈々が追いついた
ジンは驚いて目を見開いた
「み・・・みなさん・・・どうして・・・?」
「どうしてもこうしてもないよ、ジンさん」
「あんな言い訳じゃ俺らも納得いかんぞ!」
正宗とその横で誠一郎が腕を組んで言った
「わあ!ドラマに出てくるような綺麗なオフィス」
「素敵な会社ね~♪福利厚生はどんなのがあるの?」
みや江とすず江はすでにフロアを楽しそうにキョロキョロと見回している
「あれは山田主任じゃないか?」
「社長と見つめあってるぞ?」
「ザワザワ」と色んな人の気配が、フロア全体からじわじわと滲み出ていた、一番手前のデスクの女性社員が、画面を見るふりをしながらモニターの角からそっと二人を覗いている
その隣の男性社員は受話器を耳に当てたまま通話していないし、その隣の社員はマウスを握ったままじっと桜とジンを見ている、奥の会議室では、ガラス越しに会議中だったはずの数人が、ホワイトボードを完全に無視して何が起こっている?と全員こちらに顔を向けていた
いまここのフロアでは誰も仕事をしておらず、ただじっと桜とジンの動向を全員が見守っていた
コメント
3件
もぉードキドキするーー💦 皆さん同様、私も2人の行方を見守る🙏🙏 ジンさん、桜ちゃん頑張って‼️
あー続きが気になる〜💦2人が本当の夫婦になれますように❗️
きゃ〜😭ドキドキが最高潮なんですけど🤩 みんなか見守ってる! どうかふたりを応援してあげて😣🙏🙏
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