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児童養護施設に来るのは初めてで、どんなところなのかもわからず、不安だった。
その施設の名前は『雪学園』。みんなからは“スノ学”と呼ばれている。
当時のことはあまりよく覚えていない。
だが、入ってすぐに声をかけてくれた一人の人物のことは、今でもはっきり覚えている。
💛「誰?」
💜「深澤辰哉…」
💛「俺は岩本照。よろしく」
💜「うん…」
💛「ふっかでいい?」
💜「ふっか…?」
💛「うん、ふっか。」
知り合って30秒も経たないうちに、あだ名をつけられてしまった。
“ふっか”。悪くないな、と思ったのをよく覚えている。
💛「俺はなんでもいいよ」
💜「…ひかる」
💛「はい、なんでしょうか?」
💜「ふふっ…」
💛「にひっ」
💛「ふっか、笑ったほうがかわいいよ」
突然の褒め言葉。
祖父母にしか褒められたことがなかった俺は、少しドキッとした。
ひかるは俺と同い年だった。
その後、成人して退所するまで、ずっと一緒に過ごした。
本当に、ずっと一緒だった。
成人し、スノ学を退所したのは、ひかると同じタイミングだった。
それからすぐ、俺たちは二人でシェアハウスを始めた。
——俺は、ひかるが好きだった。
~♡~♡♡
シェアハウスを始めてから、1年と半年が経とうとしていた。
普段、友達も来ないし、配達員も押さないインターフォンが鳴った。
💛「誰だろ」
💜「…俺、行ってくる」
インターフォン越しに立っていたのは——
俺を捨てた母親だった。