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うあぁ…… 地獄に天使連れて行っちゃダメでしょう!
おい待て全然通知来ないんだけど いっぱい読みたいんだけど ガチ凄いじゃん……………… あの子、何も悪いことしてないから地獄で辛いことされないのでは…!?
こ れ は 凄 い あの子が純粋だからこそ、見てる側が辛い…… 超絶望って感じじゃないんだよ!うん!すこ!
僕はママに教えてもらった『悪魔さんの話』をときどき思い出す。
小さい頃の記憶だ。
読み聞かせをされた時、1回だけ。
『正義の悪魔の話』を。
ママはときどき変だった。
大きな声「ああ!」って叫んだり
毛布にくるまってずっと泣いてたり
いつからこうなっちゃったのか、僕には分からなかった。
定期的にくる アパートのボロボロのドアを叩く音と
うるさいおじさんの声が夜に響いた日は
ママと一緒の布団にくるまって、
僕は涙目になったけれど、ママは震えてブツブツ何か言っていた。
その日は寝れなかった。
みんな怖い。そう思ったから。
そういう日が明けたら
大家さんが来て、ママを怒る。
ママは悲しい顔をした後、疲れた顔をして、
僕が「いってきます」って言って学校に行こうとすると、「いってらっしゃい」って笑う。
僕はその笑顔が好き。
そんな日々を送っていたら。
ママに言われた。
「ねぇ。███、悪魔さんの話の続き、話してあげよぉか?」
「うん!話して!」
悪魔さんの話をしているママの顔は、疲れた顔を一生懸命とりつくろっている。
ママは悪魔さんの話を終わらせたあと、こんなことを聞いてきた。
「ねぇ、███。」
「悪魔さんに…会ってみたい?」
「ん?うん!会ってみたい!」
ママは悪魔さんの話をしている時だけ、少しだけ楽になれるらしい。
ぼくがニコニコして聞いてくれるのが嬉しいんだって。
ママもニコニコになれる悪魔さん。
会ってみたいと思ってしまった。
それから2日くらい経った朝。
ママはニコニコして僕に言った。
「ねぇ、███。今から悪魔さんに会わない?」
「今から?」
「でも、ぼく今から学校だよ?」
「そうだねぇ、でも今しか会えないんだ」
「一緒に会いに行こうよ」
「うーん……うん!いいよ!」
そう返してしまった。
ママがニコニコしているのが嬉しくて、心から笑ってくれたと思えたから。
ここでぼくが応えなければまた、泣いてしまうかもと思ったから。
<はい>を選択してしまった。
「███、これを飲むと早く会えるんだよ〜」
渡された錠剤。
ぼくは粉の薬しか飲めなかったから最初は拒んだ。
でも
「飲んで」
って、ママが僕に飲ませた。
ママは錠剤を飲んだあとゆっくり目を閉じて
「こうするとすぐに会えるんだって」
って言ってきた。
僕はドキドキして目を閉じてもしばらく眠れなかった。
嫌な予感。
ママはぐっすり寝ている。
深い眠りだ。
後ろから嫌な匂いがした。
ソファーに2人で座った時になんとなく変な匂いがしていた。
少しずつ天井を這っていく匂い。煙。
「これが『悪魔』?」
「…ママ?」
ママが笑わなくなった。
眠っている。
立とうと思って腰を起こした時
ふらついた。
上手く立てない。
目の前が歪んだ時、苦しくなった。
怖い。
ぼくのアパートは小さい部屋だったから玄関までの距離はすぐそこ……なのに。
なん百倍にも感じる遠さ。
地面を這って、ドアノブに手を伸ばす。
息が荒くなっていることに気づいた。
天井から近づいてくる悪魔さん。
ニコニコしていない。
その不気味な笑みがぼくの邪魔をする。
やっと掴めたドアノブを捻ろうと力を入れた。
「あ、れ?」
回らない。
鍵がかかってた。
息が苦しい。
目の前が暗くてわからない。
手にも力が入らない。
ギリギリ届いたドアノブから手が剥がされていく。
悪魔が剥がした。
見えないのに、悪魔の存在がすぐそこにいる。
ママが話していた**『正義の悪魔』**とは大違い。
…ううん。
なんとなくわかっていた。
ママが話していた悪魔さんの正体。
「これ、が…せい、ぎの?あくま??」
何も感じなくなった時、ぼくの目の前に居たのは
気味の悪い悪魔だった。
ん?ここは?
明るい日差しが直接、ぼくの目の前に差し込んだ。
夢のような感覚。
ふわふわした足元。
なにか気配を感じて後ろを振り返った。
後ろは目の前と全く同じ景色が水平線上に広がっていた。
でも、違和感があった。
誰かいた。
いや、少し不気味だなって思ったのは…
…浮いている??
そこにいたのは1人の女の子だった。
こんにちは、僕。
ここは天界だよ。
君は、どっちに行きたい?
天国、地獄、転生の生
選んでいいよ。
ぼくに微笑みかける女の子。
ぼくは女の子の質問に答えた。
「ママがいるところ! 」
うーん?ママ?
ママのところはわからないけど…
ママはどんなところに行きそう?
「悪魔さんのいるところ」
そう答えた。
ママが笑ったから。
ママならそこに行く。
そっか、悪魔さんねぇ……
じゃあこっちの扉に入りな。
女の子はちょっと考えて、ぼくを連れてった。
連れていかれたのは黒い大きい扉。
ぼくの何倍あるんだろう。
そんなことを思いながら扉に近づく。
すると、大きな音を立てて扉が開いた。
女の子が「どうぞ」ってニコニコしていた。
この笑みはママとは別のニコニコだ。
ぼくは言われるがまま、その地に足を踏み入れた。
勢いよく扉がしまった。
彼はまだ小さいのに地獄へ行ってしまった。
ママと同じところ…か。
可哀想な子。
彼はなにも悪いことはしていない。
ただママと一緒に寝ただけ。
それに、
「君の言う悪魔さんは、正義なんかじゃなかっただろうに…」