誰もいない部屋にあなたと2人
ここは、2人だけの空間
何を話すまでもなく
ただ、2人で外を見つめる
これが、心地よかった
時々吹く風に吹かれ髪が揺れる
「ねぇ、」
彼が俺に話しかける
「ん〜?」
俺は、いつも通り返事をする
「……なんか、照れるな、」
「なんだよぉ笑」
彼が照れると言って、
俺はそれを茶化す
「ねぇ、」
「ん〜?」
また同じ問いかけに
また同じ返事をする
「これからも、俺と一緒にいてくれる?」
突然、告白のようなものをされる
それに少し戸惑う
でも、そんなものの答えはすぐに浮かぶ
「もちろん」
そう言うと、彼は嬉しそうに笑う
「絶対、離れたりしねぇから」
そう言って、俺は右手の小指を出す
彼の右手の小指と絡める
「約束」
少し照れ臭くなって俺が彼から目をそらす
「目そらさないで」
そう言われ、彼に顔を上げられる
彼の方が身長が高いので見上げる形になる
そのまま、どちらからともなく微笑み合う
そして、2人、唇を重ね合わせた
こんなことがあってから3年と数ヶ月
俺は、いつもこの場所に来ている
もう見なくても歩ける道を辿る
真っ白なドアを開けると、彼がいる
彼の目は固く閉じられたまま
「なぁ、まだ目覚まさねぇの?」
答えられないと分かっていても
質問をする
「いい加減、早く目覚ませよ」
「約束したよな……?」
絶対、離れないって
なのに、
「破ってんじゃねぇよ……」
「なぁ、もういいじゃん」
「目開けろよ……」
「みんな心配してんだぞ……」
「早く、声が聞きたい……」
今日は、何の日か分かってる?
お前の誕生日だよ
そして、目を覚まさなくなってちょうど3年
忘れもしない
あの時、俺が気づいていれば__
でも、後悔しても何も変わらない
俺はただ、祈るしかない
君の目が覚めることを
「なに……ないてん……の」
ハッと顔を上げる
目の前には、目を細めた彼がいた
「遅せぇよ……」
俺は、涙を流しながら笑った
彼は数週間で家に戻ってきた
「俺、ほんとにびっくりしたんだからな」
そう言って、拗ねた振りをする
「ごめんって」
「……約束」
「ん?」
「約束、忘れたのかと思った」
「覚えてるよ」
「忘れるわけない」
そう言って、後ろから抱きつかれる
振り向くと、彼の顔が近くにあった
俺は、恥ずかしくて顔を背けようとする
でも、彼に顔を掴まれ、それすらできない
彼の顔が近づいてきて、唇が重なり合う
「ッッ……何してんだよ」
「いいでしょ?別に」
「ん、」
俺は、右手の小指を出す
それを彼の右手の小指と絡める
「ずっと一緒にいろよ、”涼太”」
「当たり前だよ」
数年後、
俺らの薬指にはキラキラ光るものがあった
『オッケーです!!』
「うぅ……さ”っ”く”ん”ん”ん”」
「うわっ、汚ぇ」
「そ”ん”な”こ”と”い”わ”ん”と”い”て”ーーー」
「読んでる人見づらいからやめて」
「メタい話せんといて」
カットがかかった瞬間、目に入ったのは康二
涙で顔をぐしゃぐしゃにして濁ってる汚い声を出す
「濁ってる汚いは言い過ぎやで」
「エスパーかよ」
コメント
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マジで天才すぎるっ!!!
毎回毎回が神すぎるぅ✨…