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『JKの雑談』
「ねぇ最近ウチらの町、治安悪過ぎじゃない?」
ファーストフード店で冷めきったポテトを食べながら、一人の女子高生がぼやく。
「そうだっけ?」
彼女の前に座っている別の高校の制服を着た友人は、ハンバーガーを頬張りながら首を傾げる。
「フツーに考えたらおかしいでしょ。冷蔵庫ん中に親子の頭部があるとか、別荘で惨殺事件があるとか。月イチでなんか起こってるじゃん」
「んーそっか」
「反応薄っ!!」
「梨々花(りりか)がいちいち反応し過ぎなんだよ」
「茉優(まゆ)の関心が薄いんだって」
二人は同時にポテトを口に運び、無言で咀嚼する。
「まぁでも、前から物騒だったじゃん」
先に口を開いたのは、茉優だった。
「そうだっけ?」
梨々花は首を傾げる。
「そうだよ。一家惨殺事件が起こったり、うちの学校でも確かなんか事件があったはず」
「ざっくりだなぁ」
梨々花はスマホを取り出して検索する。
「あ〜これか。男性教諭が教室で自殺」
「うん、たぶんそれ」
「六年前の記事だね。自殺した教諭のパソコンから女子生徒の裸の写真が多数見つかるって、うわっきもっ」
梨々花は不快な感情を露わにして、また一口ポテトを食べる。
「今もその教室には男性教諭の幽霊が……」
「え…」
「出ない」
「出ないんかい!」
ガクッと体勢を崩す梨々花を見て、茉優は笑みを浮かべる。
「梨々花の反応ウケるぅ」
「あのねぇ…」
体勢を整えて、再びスマホに視線を落とす。
「でもこれ、男性教諭が女子生徒に嵌められたとか、女子生徒と共謀してたとか色んな噂があるみたい」
「ふぅん…」
「またそんな反応…こういうの、ウチの”ノベセン”が好きそう…」
「”ノベセン”?」
「野邊(のべ)先生、略してノベセン。国語教諭なんだけどミステリーが好きで、この間”生徒におすすめのミステリー小説5選”っての熱弁してた」
「授業しろや」
「それな。でも、面白かったから別に構わないんだけどねぇ。あ、そんときノベセンがおすすめしてた本が」
そう言って梨々花が鞄の中に手を入れた瞬間、突然パトカーがサイレンを鳴り響かせてファーストフード店の前を駆け抜けていった。
「また事件かなぁ?」
11,300
立秋 芽々(りしゅう めめ)
219
茉優はそう言ってジュースを啜る。
「治安悪いなぁ…」
梨々花は最後の一本になったポテトを口に放り込んだ。
翌朝。
「うそでしょ…」
朝ご飯を食べながらネットニュースを見ていた梨々花は、驚きを隠せなかった。
そこには、山中で女性の遺体が発見されたと報じられていた。
遺体の損傷は激しく、身元の特定には時間がかかるとのこと。
「遺体の右手が無かったって……物騒過ぎるよ…これ、学校休みにならないかな…」
「なに言ってるの」
後ろからヌッと現れた母親が呆れたように言う。
「バカなこと言ってないで早く学校行きなさい。今日から期末テストでしょ?」
「はいはい、行ってきますよ」
(テストが終わったらノベセンに話そっと…)
最後の一欠片になったトーストを口に放り込み、鞄を掴んで家を出た───。
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