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ごきげんよう、シャーリィです。孤児院から教会へと帰還した私は、直ぐにシスターを探します。

「シスターカテリナならば、礼拝堂にいらっしゃいますぞ」

「ありがとう、ロウ」

「お役に立ててなによりです、お嬢様」

偶然正門に居たロウにシスターの居場所を教えて貰い、私は礼拝堂へと向かいました。幸いシスターは礼拝堂に居てくれたので、探す手間が省けましたね。

さて、礼拝堂ですがシスターが殊勝に祈りを捧げている筈もなく、いつものように祭壇に脚を組んで腰掛けてウイスキー飲んでます。修道服の隙間から覗く真っ白な脚が映えます。わんだふる。

「シャーリィ、随分と早かったですね。ルミと喧嘩でもしましたか」

「それは天変地異が起きようとあり得ないことです。それよりシスター、お願いがあるのですが」

「シャーリィがお願いですか。珍しい事もある。話を聞きましょう」

ここは最大限外見と年齢を活かして!

「シスタ~」

「妙な声を出さないで下さい。寒気がします」

失礼な、十二歳の少女に向かって言う言葉ではありません。まあ、それよりも。

「調べたいことが出来たんです。シスターは情報を生業にする方を知りませんか?」

「情報屋を紹介して欲しいと?私が調べても良いのですよ」

「シスターには返しきれない程のご恩があります。これ以上は増やせません」

「たまには甘えてくれても良いのですよ?農園が出来てから、お願い事も減りました。親離れには早すぎますよ」

「それを言われると辛いのですが、将来のためと思ってどうか。シスターにしか頼めないんです」

「……良いでしょう。頼ってくれたのは素直に嬉しいので、知り合いの情報屋を紹介します。ただし、ただ金を払うだけでは偽の情報を掴まされます。彼らも情報を糧にしているのです。下手な輩に売ると身の破滅を招くので。大切なのは信頼関係。私が紹介したとは言え、貴女自身が評価を勝ち取る必要がありますよ」

「分かりました。ありがとうございます、シスター」

シスターに情報屋を紹介していただけることになりました。信頼関係、難しいです。同年代はもちろん、大人にも不気味と呼ばれる私にそんなものが築けるのか些か不安ではありますが。

「シスター、あんまりお嬢を脅かさないでくれ。」

考えていると、それまで黙っていたベルが口を挟みました。

「お嬢、難しく考えなくて良い。大事なのはしっかりと金を払い、買った情報の取り扱いに気を付けることだよ。あいつから情報を買いましたなんて宣言したら、二度と情報屋を利用できないって事を覚えておけば良い。」

「なるほど」

「情報屋にも、ちゃちな野郎はいくらでも居る。だがシスターの紹介なら信頼できる。お嬢は仁義を通せば良い」

「……厄介なボディーガードです。それでは学びになりません」

「シスターはお嬢に情報屋の世界を教えたいんだろうが、下手に興味を持たせたらまた何かやらかすぞ?」

「確かに」

失礼な、まるで人を歩くトラブルメーカー扱いして。否定は出来ませんが。

翌日、私はベルを連れて大衆酒場ラッキーロウへと脚を運びました。まだ昼間だからか、店内のお客さんは疎らで、いかにも愛想が悪そうなマスターがじろりとこちらを見てきます。

「……ここは子供連れが来るような場所じゃねぇぞ」

「待ち合わせに使わせて貰うだけだ。マスター、一杯くれ」

ベルがなれた動きでカウンター席に座り、注文しています。私は奥のテーブル席に座り、店内を見渡します。

「……揉め事じゃねぇだろうな。それなら他所でやってくれ」

「何、ただ人に会うだけだ。揉め事を起こした訳じゃない。マスターには迷惑かけねぇさ。お嬢!何か飲むか?」

「ではミルクを」

「だそうだ」

「…ふん」

マスターは無愛想ながら、ミルクを用意してくれました。あるんですね、ミルク。しかも地味に美味しい。ミルクを飲みながら時間を潰していると、痩せた男の人が近寄ってきました。あの人がシスターの言ってたラメルさんかな?そう考えていると、ベルが話しかけます。

「待ちな、旦那。アンタがラメルさんか?」

「そうだが?」

「シスターの紹介だ、信用はしてるが…お嬢に近付くなら懐の物を預からせてくれないか?これでもボディーガードなんでな」

えっ、武器を持ってる?って、当たり前か。

「そいつは飲めねぇな。丸腰で話し合えるほどお互い信用がないだろ、兄ちゃん」

「これはごもっともだがな、此方にも譲れねぇ所があるんだ。折れてくれないか?」

「ならこの話は無しだ、他を当たるんだな」

「ベル」

私は口を挟むことにしました。喧嘩をするために来たわけではありませんし、今は時間が惜しいので。

「護衛が失礼しました。私はシャーリィ、シスターカテリナの下でお世話になっています。貴方がラメルさんですか?」

「ああ、そうだよ。姐さんから話は聞いてる。聞いた通りだな、無表情じゃねぇか」

そう言いながら、ラメルさんは私の前に腰掛けます。

「それで、情報が欲しいんだろ?扱う奴で相場が変わるぜ」

「構いません。私が知りたいのは。国立孤児院で起きていること全てです」

「ほう……彼処か。言っとくが危ない橋を渡ることに成るからな、高いぜ?」

「お幾らで?」

「姐さんのガキだからな……割り引きするとして、前金で金貨三枚貰うぞ」

おや、いきなり大金が飛び出しました。まあ、問題はありませんが。気前の良さを見せるべきですか。

「では前金で金貨五枚。成功したら金貨を更に五枚差し上げます」

私は金貨を五枚懐から取り出して、テーブルに並べます。

「気前が良いなぁ。農園は随分と儲けてるみたいだな」

「ご存知でしたか」

「お嬢ちゃん、自覚がないようだから教えてやるよ。あんたは有名なんだぜ。三年前の活躍はもちろん、ターラン商会とつるんで大金を稼いでるガキが居るってな。しかもシスターカテリナの娘なんて噂まである」

「有名である自覚はありませんが」

シスターの娘でもありませんし、儲けもマーサさんの手腕によるものですし。

「無自覚か。まあ良い、いつかわかるさ。有名になるのは良いことばかりじゃねぇってな」

「退屈しないで済みますね」

「くくくっ、ああ楽しみだよ。数日貰うぜ、ちゃんと仕事はこなすからよ。」

「期待しています」

こうして情報収集を開始した私は、次の一手を考えます。情報の次は武器。良質な武器を手に入れるため、直ぐ様行動を開始するのでした。

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