渋谷の能力者

「どうしてブラウが…」

川宮がそう言うと、尚斗が続けて言う。

『ともかく敵意があるのは間違いなさそうですね』

「ロート」はマフィアと言っても主な依頼は人助けで、「ブラウ」は簡単に言えば犯罪組織。

ロートとブラウのボス同士も仲が悪く、ロートはそれぞれの武器に赤のライン、ブラウはメンバー全員が青のチョーカーを付けている。

ブラウはある日を境に大きく動いておらず、最近になって再び目立ち始めた。

矢野が少し困惑したような声で聞く

「僕達に何の用だい？」

すると、集団の中からリーダーらしき少年が出てきた

「君達の実力を確認しておきたくてね！」

「本当はもうちょっと後に来る予定だったけどぉ〜、待てずに来ちゃった！」

「ってことでお前ら、やっちゃえーい♪」

少年が手を振り上げて合図すると、尚斗達の方へ一斉に銃で攻撃してきた。

尚斗は自分の武器、ドスを盾に変えて自分と2人を守った

※ドスとは、簡単に言うと短刀の事である。

飛貴尚斗＿”触れた物の形を変えられる能力”

『2人とも、大丈夫ですか？』

「ええ、ありがとう尚斗」

「急に来て驚いたけど、これだけの人数で僕達に勝てると思わない方がいいよ？」

矢野は敵の影を操り、その影で拘束した。

矢野影汰＿”影を操る能力”

「最後はアンタだけよ？」

川宮は少年に銃を突きつけた。

「わ、お姉さん怖ーい！」

そう言って少年は、鉤爪で川宮の肩を攻撃した

『「！！」』

だが川宮には傷一つ無い。

「全く、回復できると言っても痛いもんは痛いんだからねー？」

川宮亜美＿”回復・蘇生の能力”

「へぇー、回復も居るんだ？」

「よし、今回は帰ってあげるっ！」

「元々どんな能力かを見るために来たからね！」

少年は鉤爪で影を切った

「今度はちゃんと戦おーね♪」

「ほらお前ら立てよ、早く来ないと殺すよ？」

部下を蹴って起き上がらせる。

「じゃーねぇー！」

『結局なんだったんだ…？』

「勝手に来て勝手に帰っていったわね」

「それよりブラウが動き出していた事が問題だね」

「あ、亜美ちゃん肩大丈夫！？思いっきり切られてたよね！？」

矢野が川宮の肩を触りながら確認する

「…私の回復力は知ってるでしょ？というか触んな！」

「ウッ」

矢野の腹を川宮が殴った。

『途中までちゃんとした事言ってたのに…』

尚斗が苦笑いしながら言う

すると、ドアがゆっくり開き女性が入ってきた

「あ、皆さんもう集まってたんですね…」

「霧松結(キリマツユイ)」

紺色のポニーテールで眼鏡をかけている女性。

職業は教師。

マフィア「ロート」の1人

「結ちゃーん！今日も仕事大変だったねぇ、僕が癒してあげようか？」

矢野が早速霧松に絡みに行く

「あ…えっと、だ、大丈夫です…」

「もう矢野！霧松ちゃん困ってるでしょーが！」

川宮が矢野を蹴る

「おぉ、お前ら今日も元気だなあ」

霧松の奥から男性が顔を出した

『ボス！』

「よう尚斗、今日もお前がBARの仕事してたんだろ？」

『はい！僕が1番最初に来たので！』

尚斗が嬉しそうに答える

「お前らも尚斗を見習えよー？」

「大島灘蜜(オオシマナダミツ)」

茶髪で顎髭の男性。

職業は会社員。

マフィア「ロート」のボス

「…そこらじゅう穴空いているが、なにかあったのか？」

大島が穴だらけのBARの様子に、少し険しい顔をして聞いた

「実は結ちゃんとボスが来る前、ブラウの連中がここに攻めてきまして」

矢野が先程起こったことを説明する

「ブ、ブラウが…？」

霧松が怯えた様子で言う

「そうか…ちょうど今日ブラウについて話そうと思っていたところだ」

大島が椅子に座り、腕を組んで話し出す。

「最近ブラウの動きが活発になってきてな」

「周りを見たら分かるが、奴らはお構い無しに攻撃してくる」

「たとえそれが能力を持たない一般人でも、だ」

その言葉に、場は張り詰めた空気になる。

「そんな事したら警察も黙ってないんじゃない？」

川宮が聞く

「それがな…」

大島が困った様子で言った

「あいつら、証拠を全く残さないんだ」

「恐らく証拠を消す能力者が居るんだろう」

「だが＿」

大島は笑って言った

「そのための俺達だろ？ 」

その一言で、全員安心したように頷いた。

同じ言葉でも、大島が言えばメンバー達は必ず着いていくだろう。

「後にブラウと戦うことになるだろう」

「しかし俺達は負けん」

「なぜか分かるか？」

大島は正面を向いて言う。

「俺達にはあいつらと違って”絆”があるからだ」

「さすがボス！男らしーい！」

少し笑みを浮かべながら川宮が言った

「あなたらしいね、僕がいちばんっ華麗にっ決めてやるさっ！」

ポーズを決めながら言う矢野

「わ、私も！足でまといにならないように頑張ります…！」

続いて霧松

『ボスのためなら、どんなところでも着いていきます！』

尚斗が真っ直ぐな眼差しで言った

「お前らならそう言ってくれると思ってたよ」

すると大島は付け足して言った

「あぁそれと、もうすぐあいつが帰ってくる頃だな」

「ロート」メンバー

1人目

飛貴尚斗 能力＿自分が触れた武器を操る

2人目

川宮亜美 能力＿回復・蘇生

3人目

矢野影汰 能力＿影を操る

4人目

霧松結 能力＿姿を消す

5人目

？？？ 能力＿？？？

6人目

大島灘蜜 能力＿人や物の攻撃力や威力を操る

7人目

？？？ 能力＿？？？