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「…洞窟の崩落、メテヲ達はそれに巻き込まれた被害者、ねぇ。」
メテヲはどこか土埃の舞ったような質素な街の景色と、間をすり抜けるように窓から差し込むぬるい陽を見つめながらそう呟く。
(…違うよ。)
メテヲは引っ掛かりを覚えた。
だがそれをはっきりとすることが正しいことなのか、ただ旅に狂い、社会から姿を消していたメテヲには分からなかった。
財閥があるということ、そして上位者と一般人では格が違う_それはわかっている。
そこには虫と人間くらいの違いがあるものだ、メテヲは勝手にそう思っていた。
(けど、一般人の被害だけしか無かったのに、上位者がみーんな注目してんの?)
だが今は__どうも違うようだ。
「…」
窓に反射する御茶屋の姿を見やって、顔を顰める。
今、メテヲのいなかった社会では何が起こっている?
メテヲは考える。
「…大規模な…まぁ、”事故”なのかな…」
「…御茶屋さんはわかんないでしょうから、今はそう言っておきます。」
「…分からない、ですか?」
「いや…そうだね。」
「…そうだと思いたいんだけど。」
そう言って、嫌な沈黙が流れる。
_先程絶えず笑っていた彼女の姿はまるで別人に変わったかのように、表情が動かなくなっていた。
(…あぁもう、なんでこうもこの人は変なの?)
勝手に病室にいるわ、目が覚めたと思ったら笑われるわ、終わったと思ったら表情が固くなるわ_
メテヲはさらに顔を顰め、目の悪い人が目を細めて物事を見ようとするそれほどに、目が細くなる。
寝ぼけから覚めたばかりの頭には全てが怖く思えた。
メテヲは長くため息をつく。
とりあえず頭を整理しようと、御茶屋に聞けそうなことは聞くことにした。
まず何故ここにいるかだ、メテヲが社会にいた頃は皇も妃もむやみに接触しようとはしてこなかった。
_メテヲは、上位者はもっと神聖なものだと勝手に思い込んでいた。
「…ねぇ御茶屋さん、なんで貴女ここにいるの?」
「…皇の方に頼まれたんです。」
「…………はぁ?」
メテヲにとっては意味がわからない状態だ。
(…い、意味がわからない…)
御茶屋はため息をつく。
「すみません、ずっとなんの説明もしておらず。」
御茶屋は軽く頭を下げた。
「私が属する財閥の皇の方が、貴方にすごく興味があるようなのです。」
口角を上げ、ドヤ顔をしているかのような表情を作る。
メテヲはそれを顰めた顔のまま見るのみで、特に反応はしなかった。
御茶屋はため息を着き、元の表情に戻った。
「改めて、私はヴァゲリスタ財閥妃の”御茶屋”と申します。」
御茶屋は胸あたりに手を当てながら、そう自己紹介をする。
「き、妃ですか…。」
「とりあえず身分は分かりました、どうして皇の方はメテヲに興味を持ってるんです?」
メテヲは呆れ顔で御茶屋を見やる。
彼女は想像するような妃が着る少し豪華な格好はしておらず、むしろピシッとしたスーツを身にまとっている。
一般人に擬態しているのだろうか?とメテヲは考える。
「…えっと…」
心底質問に困ってしまい、また嫌な静寂が流れる。
心電図の音がメテヲは不慣れであり、余計に嫌な空気が流れる。
いつもは誰かが仲裁してくれたり、勝手に話し始めたりしていたが、今のメテヲにそのような人物はいない。
互いにやりずらそうな顔をしながら、探り合いをしている。
沈黙が、ずっと続く。
メテヲは病院すら数年行っていない。
無機質な空間が余計に嫌に感じ、心の底からシャバに出たいなどと感じてしまう。
「…そうですね、えっと…」
御茶屋はどうにかこの空気を破ろうと、視線をきょろきょろと至る所に移していた。
「…あ…」
メテヲはそれを思わずユピテに重ねてしまい、ほんの一瞬、表情が緩む。
そんなメテヲを見て、御茶屋はほんの少し驚いた顔をする。
「…どうかしたんですか?」
御茶屋は思わず聞いた。
御茶屋にとってそれは条件反射のようなものだが、ほんの少しだけ空気は澄んだように感じる。
まぁ、少し掃除をしただけの汚い部屋くらいの違いしかないが、そんなことはいい。
メテヲは困ったように笑いながら、仲間について語り始めた。
「…ニュースにあったのかは分からないですけど、メテヲは仲間と行動してたんです。」
「今の御茶屋さんが、ちょっとその…仲間っぽくて、思わず…。」
御茶屋は少し驚いた表情をする。
だがニュースに載っていたかなんて覚えていなかった。
そのため、一旦は静かにメテヲの言葉を聞くことにする。
メテヲは、今までの頼れる自分はどこにいったんだ、なんて考えながら、仲間について話した。
このことについて語る間は、嫌な空気を気にしなくて済む。
しかも皇の人が興味を持っているというのだ、これくらいはいいだろう。
メテヲはそう自分の中で結論付けた。
だが_話しているうちに気がついてしまった。
「あー、えっと…メル、リウス?は_」
メテヲの記憶の中から、仲間達の記憶が少し、ほんの少し薄れていることに。
必死に言葉を紡ぎながら、せめて誰かに知ってもらおうなんて淡い思いを抱き、ただ彼らに関する情報を羅列した。
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Mist-404
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